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あ・り・が・と・う 第99号

日本には本当に素晴らしい言葉があります。 音韻や響きの心地良い言葉は特に心に沁みるものです。

「あ・り・が・と・う」という言葉がそうです。 誰かが言っていましたが、語源は「有難う」の漢字から分かる通り、常々にはなかなか難しいことを意味しているのだそうです。 確かに「難」の漢字が入っているので、そうかと納得したのでした。つまり、常にはないことをして貰うので、感謝の気持ちを表している訳です。

たった5文字のひらがなですが、これ程幅広く日常的に使われて、尚且つ、言われた相手が嬉しくなある言葉は少ないと思います。 英語ではTHANK YOUと言いますが、YOUがあるということにとても感動を憶えてしまいます。英語は具体的な意味を含む言語ですが、日本語とはまた一味違う感慨があります。 ありがとうには日本でも英語圏でも、やはり、相手がいてこその気持ちを表す言葉なのです。何かをして貰った感謝の意だけでなく、相手の努力や辛抱や苦労へのねぎらいの意味もあるように思います。

多くの人々が、毎日、必ずどこかで「ありがとう」と言っています。子供でも、大人でも、年老いた老人でも、男性でも、女性でも、地球上のどこかで必ず言われています。 かの松下幸之助氏が毎日、「素直になろう、素直な気持ちになって今日一日を過ごそう」と自分に言い聞かせていたそうです。 これと同じように、もし誰もが毎日一回は「ありがとう」の言葉を発することを実行し続ければ、争い事も減るだろうし、いじめや虐待などもなくなるだろうと思います。 それがたったの5文字で出来るのではないかと思うのです。

世の中のせいにしたり、人のせいにしたり、環境のせいにしたり する人が大勢います。しかし、自分以外のせいにばかりする人は変化に対応が出来ません。 褒めることばかりでは変化に対応する力はつかないのです。 求めるのではなく、与えることが出来れば、より多くの人々を幸せな気持ちにしてあげられるのです。 「ありがとう」はいつだって、誰だって言える簡単な言葉なのです。

以前、ネットでセヴァン・カリス・スズキさんという日系カナダ人の少女がブラジルで開かれた「環境サミット1992」に参加して伝説のスピーチをしたのを観たことがあります。 彼女が12歳の時でした・・・ その演説を聞いたことがあります。 国を代表する偉い人達を前にして地球環境やエコを訴えたスピーチです。 大人達は彼女の演説に頭を垂れ、深刻な表情でただただ聞き入るばかりのグウ音も出ない名演説をやるのです。 ご覧になった方も結構いらっしゃると思います。 世間や社会はそこで暮らす人々が少しの努力や工夫を行なえば、社会やあ世の中は大きく変わるのだと思います。

そこで私から読者の方への提案がああります。 一日に一回で良いですから、心から気持ちを込めて自分以外の人へ「あ・り・が・と・う」と言ってみましょう。 毎日言い続ければ、1年、2年、3年・・・経てば周囲に変化が起こると思います。 理論理屈で全てが変わる訳ではありません。 行動してこそ、自分から手を差し伸べてこそ、ほんの少し、変化が起こるのだと思います。 「ありがとう」という5文字は大切な大切な人間の営みなのです。 素直に、心から、ありがとうと言える時こそが自分が成長している時期なのだと思います。 その時が来るまで今日からまた新たな再出発なのです。

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