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  • 執筆者の写真社長

お母さんのお弁当 第268号

今から話す逸話は嘘の話ではなく本当の話です。その話をどこで聞いたかと言うとラジオ放送で、東京のある高級レストランのオーナーシェフの話でした・・・

何年か前の放送でもあり、細かい部分までは正確ではないかも知れませんが、少なくとも大筋は今でも憶えている話です。


東京のある高級レストランへ良く食事に来られていた、お金持ちの家の娘さんの話でした。そのレストランは恵比寿か目黒あたりだったでしょうか・・・

一般的なお金持ちでもそうそう頻繁に来られる店ではない高級店だそうです。分かり易く言えば料金の高い高級レストランです。その一家はお父さんとお母さんと娘さんの3人揃って何回も来店されていたそうです。

その頻度からもシェフは普通のお金持ちとは違い、特別なお金持ちだと感じていたそうです。そこの娘さんには好きなメニューがあって、何度も来ている間に、シェフと娘さんも言葉を交わすようになって仲良くなったそうです。シェフはその娘さんの多少の無理も聞いてくれたんだと思います。言わば、上得意のお客様だったと思います。その娘さんは屈託がなくて明るくていい子だなあと感じていたそうです・・・

そんなお金持ち一家の娘さんなのでフランスを始めとしたヨーロッパの三つ星とか二つ星のレストランは殆ど行ったことがあったっそうで、そんなレストランの料理は美味しいけれどもう一度食べたいと思う程の料理ではなかったそうで、娘さんはここのレストランの方が美味しいよと言っていたそうです。

こんな明るい娘さんなので、シェフも心を開いて次第に仲良くなったんだろうと思います。


しかし、ある日からその家族揃っての姿がレストランで見かけなくなったそうです。

1ケ月、2ケ月、・・・と時間は過ぎていったそうで、何かあったのかなと思っていたそうです。

そしてある日、シェフへその娘さんのお父さんから電話があって、娘は一月ほど前に亡くなりましたと告げられたそうです・・・


娘が入院中もシェフのレストランの料理が食べたいとよく話していたそうで、それが実現出来なくて本当に残念ですとお父さんは電話の向こうで嗚咽していたそうです・・・

その娘さんはシェフの料理は世界で2番目に美味しいと言っていたそうで、一番目はお母さんが作ってくれたお弁当だったそうです。

自宅ではお母さんは一回も料理をしたことがなく、全てメイドさんが作ってくれていたそうです。娘さんは入院していて、体調が一時的に良くなった時に一時的に家に帰っれることになり、その時にお母さんに一回でいいから、私にお母さんの作ってくれたお弁当が食べたいと頼んだそうです・・・

一時的に帰宅出たのも、それが最後になるからだったのか、娘さんは自分の運命が分かっていたのか、お母さんに手作りのお弁当が食べたいと一度も言ったことはなかったので、お母さんも前日から準備して、娘の為に初めての手作り弁当を作ったあげたそうです。

それを食べた娘さんは、お母さんのお弁当が世界で一番おいしい!!と言ってくれたそうです。お母さんも涙を浮かべていたそうです。病気が早く良くなることを心から祈っていたことと思います。

こんな訳で、お母さんの作ってくれたお弁当が世界中で一番美味しくて、二番目がそのシェフの作ってくれる料理だと娘さんは言っていたそうです。

この話を涙声でお父さんからシェフは聞かされて、嗚咽が暫く止まらなかったそうです。


この話は実話だそうです。

私はシェフの話をラジオで聞きましたし、その店へ後日電話して、いつか行きたいので私の名前を伝えて貰いました。しかし、あれから何年も経ち、この話も店の名前もシェフの名前もすっかり忘れてしまいました・・・

東京へ出掛ける機会は何度もあったのに、この話をすっかり忘れていました・・・

どうして忘れていたのか自分でも分かりませんが、頭の奥底に記憶だけは残っていたのでしょうか?・・・急にこの話を何かのきっかけで思い出してしまいました。

何で今頃、突然、こんな話を思い出したのでしょうか・・・

恐らく、脳の中に記録されていた小さな細胞へ何かの刺激が伝わって反応したのだろうと思います。自分の顕在意識ではなく、潜在意識が刺激を与えたのだろうと思います。


ネットでこの話を散々探しましたが、関連する情報は見つかりませんでした。

しかし、この話は嘘ではないのです。

シェフもお父さんも私が涙を出したことも事実なのです。


この話を通じて思うのは人の命のはかなさや尊さです。

10代の命が失われることは本当に悲しいことです。

天はどうしてこんな酷い結果を人へ与えるのでしょうか・・・

生きたいと願った人の命を奪い、生きられる命を自ら断つ人もいます。

命ある限り一生懸命に生きると強さや幸せこそ大切だと思います。

一人に一つしかない命・・・

人はいつか必ず死ぬ時が来ます。

私は可能な限り最後まで精一杯、生き抜いて行きます。









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