今、IT業界で大きな話題になっていると言えば、間違いなくMETA VERSE(メタバース)です。江戸時代末期のペリー提督率いる鎖国時代の日本の目覚めさせた時代の幕開けと同じような気配です。
正確な言い方をすればもうその幕開けは始まっています。それも正確に言えばIT業界を超えて社会全体を変えていくエネルギーを持っています。国、行政、自治体、企業も試行や研究や開発が進んでいます。しかし、よくある例ですがマスコミが先行して番組やyou-tube、更には出版業界も動いて多種多様な書籍を出版しています。今までも話題が先行しセミナーや展示会で盛り上げやイメージアップを図り、結局は実需はそんなには無くて市場が沈静化することもありました。今回のメタバースもそうなのかどうかはこれから先に分かります。それでもメタバースには未来的で立体的表現や従来のテクノロジーを超える期待感も加わり久々に凄い時代が来るのではないかとワクワクします。
そんな中、書籍の中にはメタというタイトルが付いていながら、中身はGAFAやGAFAMの裏話に終始している本もあり、内容的に落胆するものもあります。メタという人目を引く単語を付ければそういった本も本屋の前列に並んでいるのが今のブームを象徴しています。
私自身もIT業界に携わっているのでこういったマスコミ先導のブームには何回か踊らされたことがあり、実際にそういった情報化がそれほど大きな規模で起こったかと聞かれると、そうでもなかったと言えるものもあります。中には沈静化した後にすっかり縮小し、何だったのだろうと自制することもありました。
それでも今度のメタバースは今迄とスケールも違い、影響も大きく、社会を変えて行く力を持っています。NFTやブロックチェーンでソフトの不正コピーを防いだり、役所での印鑑が不要になったり、遠隔治療の発達を促進させたり、テレワークがもっと進んだり、宇宙開発が進んだり、国家という枠を超えて情報が入手できるようになったりと、一言では言い表せられない変化が社会全体に押し寄せて来る予感がします。
今回の本コラムでは幾つかの段落に分けて書かせて貰いました。いつもながらの我流なので読み辛い点はご容赦下さい。
1.手に取った市販本
最近、私はメタバース関係の本を続けざまに読んでいます。家ではもっぱらネットで情報を閲覧し、書籍は仕事の行き帰りの電車の中で読んでいます。それでも片道20分余りながら毎日朝夕に読み続けていると、いつの間にか読み終えてしまいます。今はメタバースに興味津々です。読んでいると小さい頃に読んだ未来の姿を思い描くようで、少年の心のようにワクワクしてしまいます。また、本が違えば作者の知識の違いや視点の違い、はたまた情熱まで違っていることも感じます。こういう中で私なりにメタバース社会の輪郭が少しは見えるようになった気がしています。ひょっとしたら飛んでもない社会になっているかも知れません。
今までの価値観や概念が根底から変わる可能性を感じてしまいます。そんな未来、と言ってもこの10年以内の未来になるでしょうが、その時に活躍する世代は私達ではなく今の若い10代の若者達なのです。私には今の10代の若者の常識や価値観がよくは分かりません。ただ、スマホをずっと手放さずに画面を見続けていたり、片手でメッセージを打ち込んでいたり、或いはスマホ歩きが普通のことになっていたりしている姿を見ると、明らかに今の大人達とは異なる社会や価値観や情報に接しているなと確実に感じます。
更にSNSだけではなくNetflixなどもよく観ているようで、この数年前の若者達とも違うなと感じています。簡単に表現すればスマホなしで生活すること自体が出来ない世代であることは間違いありません。
今の若者達が大人になった頃には情報が社会の中心にあり、今とは違った社会規範になっていると思います。そして更にこのような子供達よりも下の年齢層はもっと違っているだろうと思います。情報社会にの中に居ながら、逆に情報格差を起こして社会的問題になるかも知れません。情報は人を幸せにも出来ますが逆に不幸にすることも出来ます。今の社会で起こりつつ側面です。これから先のメタバース社会では私達が考えている以上に加速度的に変化が起こり始めると考えています。決して何も不思議な変化ではありません。我々も初めて重くて大きな携帯電話を目にした時には持って歩ける電話など凄いなあと驚いたものです。現在の持ち手がなく、アンテナもない、軽くて薄いスマホなど誰が想像出来たでしょうか?・・・誰も想像など出来ていません。スティーブジョブスを除いては・・・
彼は間違いなく天才です。
さて、本を買う際の私なりのこだわりがあることをお話しします。科学、宇宙、物理的な本は出版された年月が新しい本を読むように心掛けており、初版でないものは慎重に他の類似した本と内容を見比べて少し読んでからどれかを買います。そうではない本は生鮮野菜と同じで1,2年前の発行日や初版から何回も増版されたものは買いません。初版以上に新鮮な本はないからです。発行日から2ケ月前の実際の話など紹介されている方が情報も新しいからです。初版以外の増版物は内容も相対的に古くなり、私には新鮮な本には思えないのです。結局、初版ほどの興味は持てなくなり購入もまずしません。立ち読みでざっと見るだけです。 しかし、文庫本や古典、経営者に関する本は発行年月日に内容の深さや感情に関係がないので古くても自分に合った本を買います。自分にあった本などと生意気ですが、人には必ず好き嫌いはありますし人間の思考や価値観もそれほど早く変わることはなく年数が経過しても変質はしません。
技術に関する本は新しい発行日の方が情報も新鮮で新しく提示された内容が多い上、早く知ることで無駄な時間や詮索が減り発刊直前の話題も書かれていたりするので、最近はもっぱら発行から半年以内の初版本を購入することが多くなりました。
また、本でも同じでしょうがネット上のウィキペディアも真偽の問題がありますが、情報量が多く入手出来ます。勿論、どれが真実でどれが偽物かまではとても分かりはしません。
例えば、ロシアのウクライナ侵攻の背景も作者によってはアメリカ在住のイスラエル系権力者達が議会や政治団体や経済界を裏からコントロールして戦争を引き起こすように持って行ったと書いている元外交官の方もいます。情報はどれが正しくどれが正しくないのかは必ずしも分かりませんが、そういった違った視点からの話も耳にすることも面白いものです。
結局、本を読んだくらいでは真偽のほどは分からないのです。例えば、著作が本物か偽物かはトークンリングを使ったNFTなら分かるかも知れませんが、著作物の中身の真偽までは判別が出来ません。結局はそのあたりの文意も加味して読めば読み手の解釈に依存することです。それ以上の真偽はその人の持つ知識や経験から察するしかないかなと思います。
こんな視点でいえば、メタバースだってひょっとしたら幻想かも知れない・・・
恐らく幻想ではなく現実化して来ることは間違いないだろうと私は信じます。
2.メタとは
さて、本論のメタについてですがメタとは(META)書き「超」という意味があり、バースとは(VERSE)と書き「宇宙」という意味があります。直訳すると超宇宙ということです。何か分かるような分からないような名称ですが、そういった超宇宙といった三次元世界をメタバースでは表現して行くことになるだろうと私は確信しています。よく仮想現実(VR)ではVRヘッドセットを装着してみると三次元化された世界が描かれ、その中で自分が思うままに動ける話を聞きますが、実際に私も3、4年前に台北の展示会で実演に参加したことがあります。その時はトナカイに引かれるソリに乗って空中を飛び回りましたがヘッドセットを取り外すと車酔いしたような気持ち悪さを感じました。人間の脳の処理速度とコンピュータの処理速度の差異による症状おようでした・・・
メタバースでも当初は専門家や興味のある方に偏るとは思いますが、応用分野が拡がるにつれ徐々に一般化していくと考えます。扱う情報量も二次元に比べ三次元では格段に量が増え、しかも処理速度は人間の感性に近くなければ使い物になりません。こんな要求を実現するには半導体も桁外れの処理時間が求められますし、処理するデータ量を途方もなく多くなります。ハードウェアだけでなくOSやプラットフォームもアプリケーションも格段の進歩が必要になります。初期のAIでもメモリが足りなくなり直ぐにPCが止まってしまいました・・・
当面は技術の開発や改良などが進み徐々に適用される範囲や機能が拡がり、次第に一般化して行き、正にメタバース社会の到来が来ると考えます。メタバースにはIoT、AI、ビッグデータ、XOなどブラックホールのようにいろいろな要素が吸い込まれて行きます。また、完成した技術ではないので時間も完成度が上がるにはまだまだ時間がかかります。この4,5年から数年以内には本格化して行くように語る作者が多いです。今はまだアバターがアニメみたいだったり、風景も背景も建物の中も同じようなものが多い。私はVRよりもARやMRの方が馴染みやすいのではないかと考えています。
3.本気になって来たGAFAM
よく紹介されるネタ話に昨年10月にフェイスブックがメタプラットフォームへ社名変更した話が世界をあっと驚かせました。マーク・ザッカーバーグCEOが本気でメタバースに取組む覚悟を示した訳です。今、世界のIT社会を牛耳るGAFAMがメタバースのプラットフォームも開発していますが、その背景にはWeb3も6GもブロックチェーンもNFTもアバターもVRもARもMRも新しい出場者がメタバース社会での活躍を狙っています。ザッカーバーグは社名の改名前にメタバースの仮想空間で使用するヘッドホンディスプレイを開発する企業を買収して傘下に収めました。次世代へ向けて積極的に投資を行っていることにはそれなりの理由があります。今のGAFAMを頂点としたIT社会のビジネスモデルがメタバース到来で崩れ、個人と個人が直接に結び付くIT社会の未来が押し寄せて来ると考えているからです。つまり、今までのようにGAFAMが頂点に立つビジネスモデルが崩れる可能性があるからです。今のように顧客情報や利用ソフトも誰が、いつ、どんな情報を閲覧しているかといったデータすら掌握出来なくなり、今の利源が減って行く可能性があるからです。また、ビジネスモデルも変わり主導権が企業から個人へ移っていくことを危惧し始めているからです。早く新しい技術対応を進め収益構造を変えて行かねばならないのではないでしょうか・・・
メタ社となった超SNS企業が社運を賭け動き始めている事実は恐ろしい凄さを感じます。日本のIT業界はいつまでもアメリカの後を追いかけるばかりで自国が自ら先頭へ出ようとする意欲させ感じません。隣国の韓国では今年、国がメタバース振興を支えようと200億円以上を事業振興へ拠出しました。日韓ではここまでIT振興に差異があります。政府も行政機関も既に日本の先を進んでいることを見習うべきだと私は常日頃感じています。
また、メタバースに対しては日本の大手企業は既存の利源の守りに徹しても新たな流れに対して社運を賭けるほどの攻めに転じることはまずありません。この点も企業活力の差になっているのではないでしょうか?・・・大きくなれば守りに回り、次第に社会ニーズと差が拡がり社員の活力が低下し、やがて業績悪化で解体されたり買収されたりする大企業が見受けられるのはそういったことが原因だと私は観察します。
GAFAMの一社である企業完成度の高いマイクロソフトもメタバースのプラットホームを開発し販売しています。メタバースはやがて宇宙開発や宇宙進出へと活躍の場が拡がります。各国の陣取り合戦も行われる段階まで行くに違いありません。何故ならテスラ―のオーナーである大金持ちのイーロン・マスクがロケットスペースX社を傘下に収め、はたやこちらも大金持ちのアマゾン創業者のジェフ・ベゾスがブルーオリジン社を傘下に収めたのは単なる大金持ちの道楽ではなく宇宙を対象にしたビジネス化を目論んでいるからだと睨んでいます。
そこにはメタバースを使った訓練やシミュレーションが行われ、ゲームよりももっと大きなビジネススケールが関係しています。最近、ロシアがISS(国際宇宙ステーション)から脱会表明をしましたが、今後は中国との連携へ進むと考えられます。中国は独自に宇宙船や宇宙ステーションを設置していく計画ですが、宇宙進出にメタバースが活用されるのは至極、道理に叶っています。当初は無人ロケットを飛ばし、そこで科学的な調査を徹底して行い、収集したデータをメタバース上で再現して最後は有人ロケットのシミュレーション飛行を行ない、そして最後に有人飛行へ進むのが中国の戦略ではないでしょうか?・・
宇宙もこれからは競争時代に進むだろうと思います。中国はアメリカを超えて世界のトップに立ちたいでしょうし、既存技術ではない未来の技術でアメリカに勝つことが猶更、満願成就の目標ではないのでしょうか?・・・
4.メタバースの浸透
メタバースは確かにこれから既存市場へ新しいビジネス市場として進出していくだろうと考えます。過去にホームページが企業向けに作られ始めた頃と同じです。次第にメタバースは拡がって行きます。しかし、UI機能としては優れていても、例えば物流システムに取って代わるかと言えばウーンと唸ってしまいます。そこまで私にはどうなるか分かりません。しかし、必ず変わっては行くだろうと希望します。仕事は効率化や生産性だけではなく人の持つ才能を引き出すことも大事です。メタバースはそこにも効果があると考えます。
日本は若い年齢層だけに活躍を期待しても人口自体が減少しています。結局は国力も経済力も低下して行きます。むしろ発想を変えてシニア層にメタバース展開を模索して貰い、日本らしいプラットホームを開発出来ないものでしょうか?
確かに知力は必要ですが、体力や発想力は年齢とは関係ありません。先ほども書きましたが企業内の一般業務までにメタバースの適用が可能かは分かりませんが、逆に経験は十分にある訳です。メタバースは何もゲームや暗号通貨が目覚ましい応用分野ではありません。
応用を考えることは得意なのが日本人です。独自な応用が出来ることを期待したいです。
5.社会に与える影響
よくメタバースではアバターと言われて自分の分身のデザインや機能が紹介されます。自分の分身なので自分を隠して表現することも可能ですし、自分とは異なる見た目や性別でも構わない訳です。
確かにデザインセンスによっては漫画的な表現は否めない傾向がありますが、もう一つホログラムという開発過程の動画人物もあります。初音ミグという3次元像の歌手が踊りながら歌を歌いながら踊ったりするのですが、ご覧になった方も多いと思います。実体はなく空間に映し出された動く映像でこちらは周囲から観られるのです。
この映像の中で投影される会場に実際にペンライトを持った若者達が集まり、そのライトを振り回してホログラム映像に酔いしれるのです。繰り返しますが、相手は作られた映像で実物の人間ではありません。こういったことがメタバース世界では増えていきます。
日本はアニメや漫画では世界から注目され羨望の的ですが、メタバースでは最初にそういった世界観から街や企業やイベントやキャラクターなどがメタバース上に作られるでしょうが、この点において日本は潜在的可能性に恵まれているかも知れません。一方では都市計画に使われる可能性も高いです。国や民間の投資や支援体制など本格的ビジネス開花までは試練の連続だと思いますが確実に増えて行きます。
韓国政府は今年、200億円以上のメタバース分野への産業振興投資を決めていますが、日本にはまだそおようなIT政策はありません。私は以前から韓国のIT化に驚きを持っていたのですが、今やゲームや投資や立法機関や行政機関のIT化には日本は学ぶべきものがあります。日本も国を挙げてIT化政策を掲げれば新事業や新産業を生み出す可能性がもっと出て来ます。これからは物つくりよりも人創りが重要です。メタバースではアニメの感性を生かして進めば日本にも新しい価値観やビジネス分野が生まれると考えます。
残念なのは今のメタバースブームもアメリカが発信地で、その余波はヨーロッパやアジアなどへ拡散はしましたがこれからどんな政策や戦略で進んで行くのかは傍観者としてではなく、主人公の一人になる位の勢いがあっても良いと考えます。私もIT業界に身を置く者としてどんなチャンスがあるのか資料や情報を集めて当社なりの関わり合いや方向性を決めていきます。
メタバースが本格化するまで停滞や衰退もあり、その上で今から数年はかかると考えていますので今からでも何か関わっていこうと考えています。今回の動きはIT業界にとっては大きなうねりで波に乗るには多大な努力が必要ではないかと考えています。
6.最後に
メタバースが本格化するといろいろな変化が起こり始めます。今迄のXT、IoT、ビッグデータ、AI、NFTやブロックチェーン、Web3、6Gなど技術革新の連続です。
一体どんな影響が出て、何がどう変わって行くのか実際のことは分かりません。しかし、大きな可能性とチャンスがあることは分かります。天の川には2000億もの恒星があると言われています。そんな壮大な大きさで考えるとメタバース世界は始まったばかりです。20年前に始まった今に至る変化の動きはようやく速度を上げて走り始めていると思います。
アメリカでは新型コロナ下で遠隔治療が広まったそうですが、日本ではその逆で日本医師会が反対したそうです。真偽は分かりませんがどこか分かるような気がします。日本人は変化に対して臆病だと思います。農耕民族の特徴でしょうか・・・
今は守る時代ではなく攻める時代だと考えます。医療での未来の姿がNetflixのアメリカドラマで観られます。サヴァン症候群の若いドクターのとんでもない才能には観ているだけでスゴイ!と医学の未来に期待してしまいます。これもメタバース社会で実現されて行くことを祈ります。日本が次第に国際社会からいろいろなランクから落ちて行く流れを少しでもメタバースで情報社会の転換点にと私は考えます。IT業界に居てその大きなトレンドの時代に入ったと感じます。
素晴らしい世界がそこまで迫って来ています。明日を夢見て頑張ります。
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