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不況のど真ん中で 第108号

丁度、1年前の本コラムを「不況に向かう」という題目で書きましたが、今年はその不況が更に悪くなり深刻化するのではないかと危惧されています。そこで改めて「不況のど真ん中で」という題目で書いてみたいと思います。

最近の日本経済は全般的に明るい話がなく、1990年頃にバブル経済が弾けて以来、約20年間に渡り日本経済はその出口を見つけられず、今でももがき苦しんでいます。 約20年前より前はバブル景気と呼ばれ、「不動産投資」、「地上げ」、「海外投資、「財テク」、「海外投資」、「高級外車ブーム」などと狂乱した日本経済でした・・・ その当時のツケが今でも完全には完済出来ておらず、20年もの長い間、景気が本格的に回復しない世の中となってしまいました。 今、社会で活躍している40才台の方は、社会に出てから景気の良い時期を体験しておらず、厳しい社会ばかりを過ごしています。言わば、景気が良いとはどんなものか経験がない世代と言えます。

さて、昨年が100年に一度の本格的不況の序盤ならば、今年は本番ということになります。1%未満の大企業と99%以上の中小企業が占める日本経済の景気は、良くも悪くも大企業次第ということになります。これら大企業は創業も古く、規模も大きく、事業も手広く手掛けている「総合企業」と言えるのではないでしょうか・・・ しかし、この何年かの間に大企業の利益率が年度によって上下動しています。誰もが知っているようにブランド力があり、人材も豊富であり、そして資金もあるのにです。 反面、企業規模はそれほど大きくはなくても利益率が高く、一つの分野に特化している企業は利益率も高く、先の大企業に一人当たり指標で勝っています。特に京都に多いのです。

これは一体どういうことでしょうか?・・・ 何を示唆しているのでしょうか?・・・ 繁栄する企業カテゴリーが明らかに、この数年間で変わりつつあるのではないでしょうか?・・・ 当社はIT業界に属していますが、パソコンや携帯電話は大企業である総合家電メーカーが製造しています。そんな大企業は他にも生活家電であるテレビや冷蔵庫、洗濯機、ビデオやDVD等も製造しています。 確かに、それらで利益は出ているのでしょうが、それ以上にパソコンや携帯電話の売れ行きが大企業の収益に大きな影響を与えるようになっているように思えます。 マスコミでもよく、半導体事業での収益が取り沙汰されていますが、それらの収益は旧態からの事業収益より大きな比率を占めるようになっているように思えます。 こうなると、日本経済を牽引していた大企業にも何か限界を感じてしまうのです。

先に挙げた京都の会社群には収益性、独自性、成長性から観て可能性を感じます。特に、社員一人当たりの経営指標では旧態の大企業は負けています。 例えて説明すると、太平洋戦争時の大鑑巨砲が今の大企業であり、京都に代表される業界に特化した専業企業が空母や駆逐艦です。 どちらに勝ち目があるかは歴史が証明しています。

もう、日本国内の需要のみで日本の大企業が生き残れることもありませんし、世界中で売らない限り多岐に渡る総合企業に生き残る余地はありません。 しかし、そこが問題だと思います。 何故なら、今の地球規模の市場では競争相手もいます。 中国やインドや台湾や東南アジア、あるいは南米が自ら作り始めていることも影響しています。 これが進むと、日本は行き場を失います。 失うと同時に、日本経済も更に悪化し下落します。 下落させない為には、特化、独自化、成長性が必要になります。 大企業経済型から多種の専業特化型へ移行しなければなりません。

量で戦う時代は終わったと思います。 独自性や成長性が重要な時代になったと思います。 その証拠に、地球環境とかエコとか太陽光発電とか、独自で成長性のある特定の分野が脚光を浴びています。 量は他国に任せ、独自な道を模索する時代になったのではないでしょうか?・・・ 明治時代には国を挙げて「富国強兵」という旗印がありました。 今は「富人強企」という言葉がマッチするのではないでしょうか? 企業を強くし、人を富ませる意味です。

今年は大変な一年になると思いますが、不況こそチャンスだという 気持ちを強く持ちながら、時には揺らぎそうになる自分を叱咤激励 しながら機軸を沿ってビジョン達成へ向け頑張ります。 従来の大企業中心であった事業が、インターネットの台頭により揺らぎ始めています。特にペーパー商品を取り扱う業界では顕著になっています。もはや、駅前にデーんとした店舗などは不要なのです。クラウド・コンピューティングの成長に伴い、いろいろな業種で一大変革が連鎖して行きます。 これからの5年以内で産業界も随分と様変わりすると推測します。 世の中の変化をよく観ながら対応しないと生き残れません。

大昔、恐竜が1億5千万年間の間、繁栄しました。 今、人類は何十万年間の間に驚異的な進歩を遂げました。 産業革命からたかが250年でコンピューターを生み出し駆使する文明を築いています。 そこには人類が強いから繁栄しているのではなく、変化に対応できたから栄えているのだと思います。 企業も同じです。強いからではなく、変化に対応できた企業が生き残るのです。永遠に栄え続ける万物はありえないのです。 だから、小なりと言えども可能性があるのです。 少なくとも、私はそう信じています。 しかし、結果は天のみぞ知るです。 天に任せられる心境になるまで努力を傾けることが大事なのだ と思います。

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