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  • 執筆者の写真株式会社ビジョンクリエイト

不況へ向かう 第96号

平成21年は「100年に一度の大不況」と云われています。 今私達は、世界中で陥っている世界的な経済不況連鎖の中にいるばかりか、良きにつけ悪しきにつけ、自由経済大国の象徴であるアメリカ次第で世界経済が決まることが、これまで以上に明白になったことを知らされました。 好むと好まざるとに関係なく、例え、旧共産圏諸国ですら非難して来たアメリカ経済から多大な影響を受けていることが分かりました。 これからはアメリカ経済の影響を極小化する動きも経済や政治を含めて出て来るでしょうし、その逆の動きも出て来るように思います。

それにしても、このアメリカが震源地であるサブプライム問題の影響は計り知れず、日本ももろに影響を受けています。日本企業のトップであるトヨタですら、今期は営業損失が確実ですし、輸出中心の日本企業大手は大きな痛手を受けています。 日本では法人数の実に90%以上が中小企業であり、その大半は大手企業の下請けとして生命線を維持して来ているのが実態です。中小企業ではこれらの影響が深刻で、仕事が減ったばかりか、人手が余り、資金繰りが厳しくなるなど苦しい悲鳴が聞こえて来ています。 現に、政府からの緊急融資保証制度などは申請がパンク状態と聞いています。 世間では賞与は貰えるのが当たり前と思っているサラリーマンが多いようですが、果たして、中小企業の何割が昨年冬の賞与支給が出来たことでしょうか?・・・ この不況が大企業へ長期的な影響を落とすようだと、これから中小企業の倒産が確実に増えて来ると思います。

私達のいるIT業界も同様で、常駐を中心とした案件は発注元である大手企業からのニーズで成り立っているのですが、そのニーズが確実に減って来ており、余剰気味となった技術者の対応に各社とも苦慮している有様です。また、持ち帰り案件の開発を主に行っているIT企業でも、仕掛り中の案件以降は苦しくなる傾向が強く、苦しい局面が待ち受けているのが実情です。 既に昨年後半から在阪のIT企業が数社、倒産或いは経営が苦しくなっている噂話は有名です。

こんな状況ながら、だからと言って、当社のような小さな企業は経営が悪くても仕方がない、売上が伸びなくても仕方がない、利益が出なくても仕方がない、・・・・とそんなふうに私は思いたくありません。 何故なら、当社が何千名も社員がいるような大手IT企業ならば、景気とか世間動向とか、お客様の経営状況は大変に影響があると思うのですが、40名程度の企業にとっては競争が激しくなっただけで、当社が困るほどの仕事量はいつだってあるじゃないかと私は思うからです。 世間のことを気にして大企業のように悩むことは、当社にとっては先の先の話で良いと思うからです。それよりも当社のような零細企業では、その以前からいつでも大変でしたし、今だって大変に変わりはありません。 つまり、いつだって油断は許されない状況の中にいるのです。 こう考えると、これから当社にとって何が大事かという話になりますが、次のようなことが大事だと私は思います。

以前、平成不況の真只中の頃、アサヒビール社長だった樋口廣太郎氏の書いた「今より5センチ頭を下げよ」というタイトルだったかサブタイトルだったか忘れましたが、その本を読んで感銘を受けたことがありました。 それは何か企業にとって不都合で不利な経済環境に陥った時、人はとかく改めて特別なことを方針に掲げますが、樋口氏はそうではなく、普段から実践していることを更にシビアに実践し続けることが重要だと説いていました。 アサヒビールは樋口氏の采配によって、見事に立ち直ったばかりか、あのスーパードライ一品種で業界のトップシェアまでになりました。 この樋口氏と松下幸之助氏に共通する点は「不況時でも人は解雇しない」ということです。

私は正直に言ってそこまでは出来ません。 しかし、この二人に共通する「不況の時にも人を辞めさせない経営哲学」には強い意志とやり抜く決意を感じるのです。 また、もっと重要なのは「普段が一番大事。普段で非常時が決まる」という考えです。 不況に即効薬はないと私も思います。 火事でも災害でも普段の訓練がものを言います。 いざという時の備えは普段の日常で決まります。

これからの一年、いろいろ不都合なことが起きるし、向って来ると思います。 逃げようとしても逃げられませんし、難題と戦うことでしか道は拓かれません。 戦うという表現がまずいならば正面から立ち向かうという意味に捉えて下さい。 もう既に、毎日という日々の戦いは始まっています。 時間は連続して間断なくやって来ます。そして、瞬間的に消えてなくなります。 音と同じで、姿も見えず、そこに留め置くことも出来ません。 そうならば、音でいう五線譜を同じで時間にも歴史という五線譜が残せる筈です。 当社はこの一年、そんな歴史を書き上げて行きたいと心から願っています。 それが当社にとっての不況の一年への決意です。 策は特別何もありません。

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