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今年の考察 第152号

今年に入って早々、関西の某家電メーカーでIT要員の大幅減員のニュースが報道され、景気は明るくなって行くのでは

ないかと期待していた矢先の気持ちを、一挙に奈落の底へ引き落とすようなショッキングな気分になりました・・・

2020年、東京オリンピックも決まり、安倍政権の三本の矢もどうやら何がしかの効果を期待されている中での出来事

でしたので、関西では本当にショックでした。

それから1ケ月が過ぎ、どうやら日本経済は危うい部分はありながらも、徐々に景気回復基調にあるのではないかと

思うようになりました。

その証拠に、大手企業で円安効果もあって収益改善が進んでいるからです。

その典型が自動車業界であり、各種電子部品業界ではないだろうかと思います。

また、不振業界の代表であった総合家電メーカーも、収益改善が出始め利益面での数値が好転して来ています。

一月に行われた某都銀主催の講演会では、「日本経済は概ね良好であろう」と説明されていました。

大きな背景となったのは、日米政府の経済環境への方針の違いが大きく、アメリカの日銀とも言えるFRB議長が

バーナンキ議長からイエレン新議長へ交代することが挙げられます。

イエレン議長は、オバマ大統領の考えていることを実現する方向で動くものと期待されています。

それは、リーマンショック以降の金融開放政策路線の引き締めであり、市場にばらまかれたドルを回収して

行くことだと云われています。

オバマ政権が抱える問題には、自由主義圏における内乱や政情不安、テロなどばかりではなく、オババケアと

呼ばれる日本の健康保険制度なようなものまで、うまく進んではいません。

一方、日本では安倍首相のデフレ脱出路線が徐々に現実味を増して来ています。

消費者物価指数が5年ぶりにプラスになり、賃上げ等が行われば、そのスパイラルは今までと異なる動きが

加速されて行くかも知れません。

現に、大手製造業の収益改善にその効果が出始めています。

ここに、市場からドルを回収するアメリカと、逆に円を市場へ出して、円安を引き起こそうとする日本の方針の

違いが顕著になっています。

この為、円安が続き、大手製造業の輸出も増えて行くというサイクルが続くと言われています。

逆に、原料や食料の輸入では輸入金額が膨らみ、値上げが行われるようになりました。

特に、エネルギー関連ではシビアな問題と言えます。

コスト高となる石油や石炭による火力発電だけでは持たないというのが、エネルギー産業であり、製品価格に

影響することは避けたい大手製造業からは、原発再稼働の声が大きくなって来るものと思います。

安全性と共に、原発再稼働の声が経済界から出て来るのは時間の問題です。

ところで、大手企業では業績回復が顕著なのですが、中堅中小企業にはその恩恵はまだ届いていないように

思います。

どうしても大手からの下請け的な仕事が多く、そう簡単に価格改定には結び付かない側面があるからです。

また、2017年に団塊の世代が70歳を迎え、いよいよ雇用延長による年金受給者問題の先送りは出来なく

なり、巨大な年金支出が避けられなくなります。

今は、60歳以上65歳まで小刻みに雇用延長が指導されていますが、幾ら何でも70歳以上まで定年が

延長されることには無理があります。

こうなると、少子化、大量の雇用者退職と年金支給、労働力確保の必要性から次なる労働力確保策が

必要となり、それらが奨励されることは明らかです。

つまり、女性の活用、外国人労働者採用、フリーターや派遣社員制度の見直し、将来年金問題の改定

などが必要となります。

大手企業の海外進出はもっと常態化するでしょうし、英語力がもっと必要ですので国人社員等の

採用による社内国際化も増えると思います。

2020年には東京オリンピックも予定されており、日本、とりわけ首都圏では追い風が続くもの推測されます。

反面、危険性もあり、とりわけ日本は自然災害の多い国であり、その典型が巨大地震の可能性だろうと思います。

また、リーマンショックのような金融ショックがあると、一挙に世界不況に陥る危険も残されています。

こればかりは先行きが読めない為、備えに限界があります。

また、関西圏での景気動向は家電メーカーが多い為、首都圏ほどの追い風は吹かないと思います。

どちらかといえば、首都圏の景気次第ではないでしょうか?・・・

関西の中小企業に必要なのは、首都圏の景気にぶら下がるのではなく、その先の国際化に目を向け、

いち早くその先陣を切る行動が必要なことです。

大手企業の海外進出ではなく、中小企業自らがその販路や技術や人材確保を実施することで、大手に

依存しない企業体質への転換が必要だと私は考えます。

アジアの時代であり、関西の中小企業はじっと潜んで待っているのではなく、逆に海外へ出て行く気構えや

経営が不可欠だと思います。

それを支える、支援する、それらを後押しする、奨励する、行政や金融機関に変貌して欲しいと望みます。

当社は海外に取引先を持っていますが、もっと異なる国や地域や製品にその将来の活路を拡げたいと願っています。

井の中の蛙にならない為にも、刺激のない会社にならない為にも、行きがいを少しでも感じることが出来るためにも、

海外拠点構築を何年か後には実現したい。

先月もそのように思う商談機会があり、会社の進むべき方向の一つであると実感しました。

今年は東京拡大と新事業への邁進がテーマです。

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