4月という時期は多くの企業にとって、一年の内で最も新入社員や中途採用社員の多い時期ではないでしょうか。 また、3月末にて退職される方も多いようで、職安には手続きに来た企業の女性社員の長蛇の列をよく見かけます。 企業にとって、この時期が一年の内で最も人の出入りが多いのではないでしょうか?
当社はまだまだ零細で新卒者採用まで至っておらず、早く新入社員を迎いられるようになりたいのですが、それでも中途採用は一年中行っています。 私自身、今まで何百人もの方にお会いし、面接をやって来ました。また、これからもやり続けなければなりません。
今月はこの採用面接で感じたり気付いたりしたことを、私なりにまとめてみました。 ひょっとして若い方が参考にされるかも知れませんが、あくまでも私だけの意見ですのでご了解下さい。中には反発される方もいらっしゃるかと思いますが、この点もお許し下さい。
まず私が現在、実施している求人方法ですが、殆ど公的機関を利用しています。 職安や若者向けのユースハローワーク、或いは人材銀行などです。 従来は民間の求人媒体誌も活用していましたが、効果が少なくなってきたので現在は中止しています。また、Webサービスでの誘いもありますが、これも大手企業と共存で勝ち目がないので一回きりで辞めました。 求人は合理的なことよりも手間隙かけることが大事ではないでしょうか・・・
さて、面接で私がいつも質問することが幾つかあります。 中には人権上の問題があるので質問してはいけないと言われていることもありますが、私には大事なことですのでズケズケと聞いています。 当社ではまだ一般常識や適性検査等は行っていないので、とても大事な判断材料となります。 特に、未経験者では、潜在能力の判定基準になると考えています。 質問する項目は次のとおりです。 ・氏名、生年月日、現住所、本籍、最寄駅、血液型、干支 ・ご両親等の生年月日、職業 ・最終学歴までの選択と内容 ・アルバイトやクラブや同好会の内容 ・志望動機 ・好きなこと、嫌いなこと これ位で経験上、大体のことが分かります。 本人と親との関り、親や関わった人達への接し方、生き方、何がしたいのか、自尊的か内向的か、上がり性か冷静か、論理的か感性的か、社会との関わり合い度、躾、礼儀、敬語への習慣などが分かります。 更に、業務経験者や他業種経験者なら、これに転職状況が加味されます。特に、退職や離職理由は重要な判断ポイントとなります。
実は、面接の中心はこれらのことを聞き出すことではないのです。 奇異に思われるかも知れませんが、実は、面接者への判断は事務所に入って来る瞬間から、たったの4,5分で大体決めてしまっているように思います。 それは直感というか感性というか、面接に来られた人から感じることです。 結局、大半の時間は自分が直感や感性で感じたり判断したりしたことを確認する後作業を行っているのです。 確かに、世の中には人を騙す人もいるでしょうし、面接となればいいことしか話さない人もいると思います。 しかし、にわか仕立ての人であればそんなものは直ぐに面接者にバレてしまいます。 面接する方がされる人より圧倒的に数多くの経験をしているからです。 「嘘」と「いいことしか話さない」のも違います。 嘘は偽りです。いいことしか言わないのは悪いこと、不利になることを自ら言い出さないだけです。後者については面接に長けた人なら何とか見破ってしまいます。 黙って採点するか、じっくり質問攻めするかの違いだけです。
ちなみに私はトコトン質問攻めします。だから相手の機嫌を害してしまうことも幾度もあります。 私は折角、何かの縁で当社に面接に来て下さったのだから、自分なりに思っていることを伝え、お節介でも構わないから話し続けます。 だから、中には傘を振り回して去って行った方や大泣きされた方もいます。 泣かれた方の多くは、まさか面接で、今まで会ったこともない相手から自分のことをズカズカと言われたことがショックであり、また思い当たる部分もあったからだと思います。
生きている間には多くの出会いがあります。 縁あって入社してくれる方、惜しくも縁がなかった方・・・ いずれも、より幸せな人生を送って欲しいと願わずにはいられません。 今も手元には、縁がなかったけれど忘れられない、気になり続けている方の履歴書が幾つか置いてあります。 そんな方に連絡したことも手紙を出したこともあります。 私は気になるのです・・・
その一方で、面接から今の日本の縮図を感じることが多々あります。 それは若者から夢とか目標とか情熱が薄れて来ているように感じることです。 それよりは現実的で、そこそこ感で、それ以上はしんどいからいいですみたいなエネルギーを感じるのです。 きっと大人が今そうなっているからです。
未来の大人たちは今の若者や子供達であり、大人の世界からあらゆる影響を受けます。 今の大人が損得中心から超えた生き方の機軸を持たないと、いつまでも経済大国だけで顔や表情や感情の見えない姿の日本人のままではないでしょうか・・・
「貴方にとって幸せとは何ですか?」と聞かれて窮するようでは幸せにはなれないのだと思います。 人生は一回しかありません。 命も一つだけです。 懸命に生きる、額に汗して働く、大きな理屈より小さな行動が、とても大事と思います。
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