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台湾のソフトウェア業界 第170号

先月、台北へ行く機会がありました。 今回はDIGITAL TAIPEI 2015という、ハードウェアではなくソフトウェアの 展示会へ行って来ました。

台湾のソフトウェア業界について、知り得る絶好の機会になることと、バイヤーとして招待を受けたこともキッカケとなりました。 前回の訪問では街中でパスポートやカード類が入った財布を落としてしまい、大変なことになる寸前でしたが、見ず知らぬお年寄りに拾って貰い、しかも届け出た警察署で隣のカウンターへその老人が現れるという奇跡的な出来事があって、事なきを得たことは私の人生の中でも大きな出来事となりました。

今回の展示会ではビジネスアプリや制御系ソフトウェアの開発などが中心の当社には縁が薄い、 アニメや漫画或いは教育関連ソフトウェアなどが中心の展示会でした。 出展企業数も200社余りと小さいうえ、ブースで話をしてみても事業分野が異なる印象が強く、2日間という日程でも時間を持て余すことになりました。

そこで、展示会場の通訳さんに聞いて、台北の名所を一人で回ることにしました。 中正記念堂、龍山寺、行天宮の3か所を3,4時間かけて回ってみました。

その中で中正記念堂は強く印象に残りました。 記念堂は、中国国民党のリーダーであった蒋介石の偉業を称えた記念堂で、その大きな銅像(実際には銅製ではありませんが、かなり大きなものです)と、その前で行われる衛兵の交代式は有名な光景となっているものでした。 実際、この記念堂は長い階段を登った所にあるので、蒋介石に対して畏敬の念が自然と生まれて来るようでした。

また、衛兵の交代式では2名の衛兵の交代が行われますが、指揮官1名を入れた3名の行進は本当に見事で、一糸乱れずといった行進には素晴らしさと感動すら感じました。 更に、その記念堂の下には蒋介石の偉業を紹介した書簡や写真やパネルが展示されており、抗日70年という大きな文字も見えました。

蒋介石と言えば、毛沢東率いる共産党と対立した国民党が、抗日を含めた内戦の中で負けたという知識程度しかなかったのですが、展示されてある資料を読んだり、写真を見たり、帰国後にネットで調べてみると、蒋介石は若い頃、日本陸軍にも正式に入隊しており、後年、国民軍に取り入れた制度や親日的な部分もあったことを知りました。 当時の複雑な政治的背景や軍事的背景の変化は、蒋介石にも紆余曲咳曲折の生き方が降りかかったことは間違いありません。

結局、共産党に負けて、追われ、台湾へ逃れ、そこで独立国を立ち上げたのですが、後年、中国との国交を樹立した日本は、台湾との国交を断絶し今日に至っています。 しかし、私達は台湾へ自由に行けますし、パスポートも必要ですし、台湾の人々もかなりの親日です。 東北を襲った3.11の大惨事でもいち早く支援の手を差し伸べてくれたのは台湾でした。 しかし、国と国とでは国交がないのは不思議です。勿論、大使館はありません。 経済と市民と政治は違うと言われますが、正にそのことを台湾では実感します。

さて、肝心のソフトウェア業界ですが、私にはこのように見えました。 まだまだビジネスユースのソフトウェア市場は築かれていないのではないか?・・・ まだまだこれからではないかということです。 反面、市場はそれほど大きくはありません。 これらを総合的に勘案すると、こういった見方が出て来ます。

それは中国進出での足場という立ち位置です。 漢民族が多い上、殆ど北京語に近い言葉、そして地理的にも香港や経済特区の深圳にも近く、中国ビジネスでの足場になるのではないかという考えです。 今すぐにどうのこうのはありませんが、今後はやはりアメリカに続く世界の超大国になるのは間違いありません。 中国とのビジネスは避けて通れる道ではありません。 ここに台湾の存在が欠かせないと思います。

当社はまだまだ小さな企業ですが、これからの日本の中小企業は生き方を変える必要があると思います。アジアとの取引はその重要部分です。 勿論、日本国内にも高齢化社会と国際的な労働力確保、お金の使い道、女性の活躍、高品質事業などあるかと思いますが、市場ではパイの取り合いになると思います。 私はそれよりも大きな市場がアジアだと考えており、そちらで進路を切り替えて行こうと思います。

国際化が叫ばれて久しいですが、日本人はまだまだ国際化が足りないように思います。 当社は少しずつ国際化を行って行きます。

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