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  • 執筆者の写真株式会社ビジョンクリエイト

同業者の危機 第97号

今年に入ってから日本経済の激変に耳を疑いたくなる話が続いています。 新聞では毎日、上場企業のどこかの営業利益が計画に比べ、数十パーセント下降する見込みであると報じられ、そんな記事が今や普通のことのように感じられるようになっています。

確かに中には、計画値よりも経常利益や純利益が計画値以上に、或いは過去最高益になりそうだとの大企業もありますが、そんな会社は例外的な印象を持つのが今の状況だと思います。 実のところ、私個人としては新聞で報じられているように多くの企業が疲弊し、赤字になり、苦しんでいることは間違いのないことだと思っています。 しかし、その中に多くの企業の調子悪さに便乗して、普段の中で出来た贅肉を切り落とそうとしている企業もあるのではないかと思ってしまいます。従業員のリストラ、経費の切り詰め、下請けの減少や解約、内定者の取り消し、給与のカット、・・・こんなことがいろいろ行われています。しかし、その実態は経営陣等には判っていても、社員や取引先、或いはそれらの周辺取引先や一般読者には本当の経営状況など外からは判らないと思います。 こう考えると、果たしてどの会社が本当に危なくて、どこの会社が安全な取引先なのかは、与信管理がかなり正確に出来ないと難しいと思うのです。

このような世界的不況感の中で、輸出を主業とする日本企業界が上から下まで大きな影響を受けていることは誰もが知っている通りです。 中でも製造業ではその影響が大きく、日本のIT業界は製造業を中心に開発を行い発展して来たといっても過言ではなく、昨年来からシステム化ニーズの落ち込みによる契約終了や委託開発の量的な落ち込みが激しく、それも西日本から関西、中部、関東へと拡がっています。 具体的には、IT需要が減少した為に技術者が不要となり、IT会社の経営基盤すら揺るがし始めており、倒産や取引先への支払い遅延や分割支払い、或いは社員の給与支払いの遅延など、外部に漏れ始めたIT企業名の噂が絶えません。 昨年末から僅か1ケ月余りしか経っていませんが、この間に危険信号が点滅し始めたIT企業数は関西だけでも20社前後にはなると思います。

しかも、これから新年度を迎える多くの大企業では、年度計画の見直しや緊縮を行い、本業の守りを強化します。こうなると、IT化投資も抑えることは必至で少なくとも上半期、つまり9月までは現状レベル以上の厳しい対応が続くと予想されます。 もし新年度に今の落ち込みがなくなり、反対に押し上げられるには海外市場の冷え込みの回復が不可欠な条件となると思うのです。内需だけでは製造業大手各社は事業が成り立たなくなっているほど市場が小さくなっています。海外市場があってこその製造業大手だと思います。

こうなると、IT企業は最低でもこの3月までが耐えうる第一期関門となり、その先は9月までが第二期関門となるのではないでしょうか?・・・売掛金の回収サイクルを考えると、これらの時期は1,2ケ月ずれることになりますが。

10年も20年も事業を営んで来た経験ある中堅IT企業が多いのには全く驚きの感があります。よく考えてみると何かを示唆しているのかも知れません。 内部留保が少ない、取引先が固まっている、利益率が低いなど過去のような事業の将来性が確保出来なくなったことを意味しているのではないでしょうか。 本来ならば、当社のような零細規模の会社が倒産の危機に陥っていても不思議ではありません。実はその差は、薄紙一枚の差程度しかないのです。 明日は我が身だと思います。(冗談ではなく真実そう思います) 今はたまたま運が良くて、お客様に恵まれていて、取引先に恵まれていて、社員に恵まれていて、そしてもっと大きな何かの力に恵まれている・・・そんな思いです。

当社の中心事業は同業他社の多くと全く遜色がありません。 しかし、時代は必ず変わります。 お客様の考え方や求められる具体的ニーズは必ず変わります。そのことは誰しも頭では分かっていますが、いつ頃どんな技術や商品が求められるのかと言われると、誰しも時期を特定することは難しいと思います。 だから、運がよくてその時期を当てる人もいれば、用意周到に準備して備えておく人もいます。いずれにしても変化は必ず訪れて来ます。

私は今回の急激な不況(=変化)の中で2つのことを真剣に思いました。 1つ目は事業がそのまま繁栄し続けることはなく、必ず低迷する時期がやって来ること。 2つ目はいざという時の為に備えをするということです。例えば、一年間全く仕事がなくても、全社員を食べさせることが出来るような蓄えです。

怖がってばかりではいけません。 不況という大波の向こうに大きな大陸があると信じて漕ぎ入れて行かなければ、陸地には着けません。 勇気と普段の地道な誰にも負けない努力と、そして必ず乗り越えてみせるぞという強い信念、そして明日を生きようとする大きな夢を持ち続けて進みます。

一度しかない人生、一つしかない命、 これ以上の勇気の出る励ましはありません。

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