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夏の甲子園 第217号

先日、居ても立ってもいられず夏の甲子園球場へ出掛けてしまいました・・・ どうしても、夏の高校野球の決勝戦が観たくて、急に夏休みを取ることにしました。 その決勝戦は、履正社高校と星稜高校でした。 私のお目当ては星稜高校の奥川投手を、この目で実際に観たかったからで、このチャンスしかないと考えたからです。

当日は朝早く起きて出かける支度をしました。 試合は午後2時からだったのですが、10時半にはもう甲子園へ着いていました。 夏の甲子園は実際の試合開始前より2時間は早く行かないと気持ちが高ぶりません。 到着すると、もう既に多くの高校野球ファンでいっぱいでした。 案の定、外野自由席以外は全部、チケット売り切れでした・・・

今まで夏の甲子園は3回ほど観戦しているのですが、全部、外野自由席ばかりです。 高校野球はここがまたいいのです。 焼けつくような太陽のもとで熱中症の心配もしながら、サウナのように我慢して観るのがいいのです。 一昔前は 外野自由席は無料で、しかもコンクリート席で、お尻が凄い熱さになって痛かったことを憶えています。その為か、外野自由席は無料でした。

外野席はホームベースから100メートル以上も離れているので、ピッチャーもバッターも誰が誰なのか分かりません。 残念ですが、お目当ての奥川君の球の速さも変化球やストレートの速さも分からないのです。 かろうじて、スピードだけは表示されます。 どうしてそれでもいいのか?・・・ それは選手と一緒に時間も空間も共有しているその実感が心地良いからです。 それが夏の甲子園です・・・

涼しいエアコンがあって、冷たい飲み物があって、ごろんと横になって大きなテレビで観るのとは違いますが、球場は紛れもなく本物の場所なのです。 投げて、走って、声援をして、一生懸命なのです。ブラスバンドの生の音も聞こえます。

私は外野自由席に着いて、外野自由席の中で自分に合った場所を探しました。 その後、団扇やタオルを敷いて、早めの昼食をとりに一旦席を離れました。 外野席の下にはいろいろな食べ物屋があり、その中でチャーハンと焼きそばを食べました。 そして早めにトイレへ行って、元の外野席に戻りました。 その間にも来場者はひっきりなしにスタンドへ詰め掛けて来ます。 飲食店の横や前の通路には新聞紙を拡げて、その上で寝たり横になったり、話し込んでいたりと、試合までの時間を過ごしている人達が大勢います。 その人達は勿論、先に席取りが済んでいる人達です。

私は帽子、タオル、水筒、そして忘れてはならない携帯ラジオを持って来ましたので、席に着いてからはラジオで時間を潰していました。 ラジオはAMの雑音が入った音が、これまた何とも言えない程ムードを盛り上げてくれるのです。 真夏の甲子園にはAMラジオがよく似合うのです。勿論、イヤホン付きです。

そこまでやるかあ?と思われるでしょうが、食事を終えても11時半から試合までは2時間半はあります。 新幹線で東京まで行ける時間以上です。 この永い時間はひたすら日光浴です・・・ ダラダラ汗が出てきますが、これが夏の高校野球なのです。

その時、一人の女子高校生位の女の子が背中に大きなビールのサーバーを背負って販売していました。 何気なくその方を向いたら、目と目が合ってしまい、目線を少し外して、再度、見たら、こちらを観ていました・・・やばい・・・ 次の瞬間、私は思わず「ビールちょうだーい!」と言っていました・・・ その子も「買ってくれると思っていましたー!」だって・・・ これも夏の甲子園なのです。

こんな暑い中、重いサーバーを背負って、階段を上ったり下ったりです。 男でも大変なバイトです。 思わずそんな気持ちが私に働いたようでした。 その子もタオルを首にかけていました。勿論、陽に焼けてまっ黒です。 背中に背負っているビールはさぞかし重いだろうなと思います。 ましてや、太陽の照りっぱなしの階段を登ったり降りたり、汗を流して一生懸命です。 つい、おいちゃんが買ったる!といった気持ちになるのです・・・ 太陽が遠慮なく照りつける夏の甲子園です・・・ジリジリジリ・・・

そうこうしている内に、グランドが整備され、水撒きもされ、約1時間ちょっと前になると各チームのノックや守備練習が始まります。 テレビでも同じように観られますが、球場での臨場感はまるで違います・・・ 選手の威勢のいい大きな声が外野まで聞こえてきます・・・ このレベルの高校生はエラーもしないし、よく訓練されていて、流石に凄くて上手い。 両チームのノックが終わると、再びグランド整備が行われ、水撒きもされ、しばし休憩となります。

そしていよいよ、今か今かと観衆はその一刻を待ちます・・・ 審判団が先に出て来て、掛け声と共に両チームの選手がホームベース近くへ走って来ます。 この時、球場は歓声や拍手で大きく盛上がりになります。 両チームの選手が向かい合って、大きな声を出して試合前の挨拶をします。 会場は最高潮です!!・・・ (プロにはこれがありませんので、やはり高校野球の純粋さとは雰囲気が全く違います)

そして、始球式の人名がアナウンスされます。 今回は、元広島カープの捕手だった達川光男氏でしたが、名うての詐欺師と言われたデッドボールのアピールは今でもビデオを観ると笑ってしまいます・・・ しかし、さすがに元プロ野球選手です。 その投球を観て球場には大きなどよめきがと歓声が起りました。 ノーバウンドでキャッチャーミットへストレートでした。 そして、いよいよ、サイレンが鳴って試合開始です!!

何せ100メートル以上離れているので、変化球もストレートの速さも分かりません。 分かるのはスピードガンの速度表示とカウントだけです。 ただ、それでも履正社の井上君が打ったホームランは素晴らしいものでした。 しかし、奥川君の失投に見えました。 高めだしスライダーが落ちなかったように見えました・・・

夜、家でテレビで観ていたら、やはり失投だと思いました。 (履正社ファンには申し訳ありません) ただ、この失投を見逃さなかった井上君も只者ではありませんし、その後、完全に抑えた奥川君も只者ではありません。 ここまで高校生がやるかあ~?・・・と感じました。

是非、皆さんも一度、本物を観て欲しいです。 全国から選ばれた高校生のプレーがどれ程凄いものか、実際に観て感じて欲しいのです。 才能もあるでしょうが、多くは毎日の大変な練習の賜物だと思います。

奥川君は時々153キとか出していました。 でも履正社のバッターもそれを打ち込んでいました。 応援していた星陵は負けてしまいましたが、ヒット数も変わらないし、あと一打差の試合でした。 素晴らしい試合を観て感動すると、心が素直に洗われます。

その時に、私が中学生の時、短い間でしたが野球部にいたことがあります。 その中に上手い選手が一人、いました。 彼は卒業後、高校野球で当時、県内で有名だった高校へ進み、見事、甲子園へ出場しました。 しかし、一回戦で負けてしまいました。 それでも彼には大きな、大きな宝物だったと私には思えました。 彼も砂袋を今でも持ってるんだろうかなあと思ったりしました。 それは私の本物の時間だったからです・・・

私は本物の人生が好きです。 一回しかない、大切な人生だからです。 何度もやり直しは出来ないからです。 その時を一生懸命に生きる。 これが大事なんだと思います。 ですから、可能な限り、本物に触れたいといつも考えています。 皆さんもそんな夏の甲子園へ出掛けてみませんか? 熱いし、暑いし、陽に焼けますし、外野なら選手の顔など見えはしません。 でも、それが本物の球場、本物の高校野球なのです。

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当初、今月は別のタイトルを考えていたのですが、たまたま観ていたYouーTubeで懐かしい歌手が歌っているのを観てしまい、自分の10代後半から20代始めを思い出してしまいました。その当時の友人や東京という大都会での生活や風景などが懐かしく思い出され、年を重ねた今になって懐かしい思い出となったその頃の話をさせて貰います。 私が若い頃は日本が高度成長期へ突進し始めており、経済成長と安保、ベトナム戦争と学