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悔いなく生きる難しさ 第3号

とうとう2001年も師走となりました・・・ 21世紀の最初の一年は、全体として楽しいことより苦しいことや辛いことの多い一年だったように思います。日本経済は低迷を続け、庶民生活では我慢が増え、社会全体の不安も広がった年だと思います。 大企業と言われる「人、もの、お金、情報」が潤沢だった安全神話も脅かされる時代になり、赤字決算が当たり前のように増えています。 当然、日本を支える中小企業は更に逼迫しているのが現状です。

しかしながら、企業全てが赤字であることはなく、増収増益や過去最高益の企業もあります。厳しい言い方をすれば、不況のせい、社会のせい、政策のせいと言っているのは言い訳かも知れません。こんな時だからこそ、本業回帰を行い、一層の努力をしなければならないのだと思います。 とかく、日本人は他人や他社のことが気になりがちです。どこが儲かっているとかいないとか、どこどこが危ないらしいとか、そんな話に熱中する人が多いように思います。そんなことに目を奪われることより、今やっている本業をもっと深く見直し、改善出来る部分を探し出し、懸命に努力し続けることが現状を打破する為には大切なのではないでしょうか?・・・

企業は経営者の「基軸」によって大きく業績や将来が左右されます。 経営でこれで満足だと思えることは瞬間的にも存在しないのだと思います。 常に、前進しなければならないと思います。よく、経営者の器とか言われますが、本当は器ではなく基軸がそうさせるのではないかと思います。 何の為に事業を起こしたのか、自分の私利私欲の為なのか、それとも社会や世の中に役立ち喜んで貰える為に起こしたのかという基軸です。 この基軸がある限り、日々での判断も自ずとそれに沿ったものとなる筈です。 事業である以上、損益の変動があることは当然であり、一喜一憂するよりも私欲のない基軸に沿って発展させ続けることの方が、はるかに尊く難しいことだと思います。 経営者ばかりではなく社員と一緒になり、今やっている仕事を天職と思える位まで前向きに明るく精進して行くことが、変化のない日常生活を変化させ生き甲斐ややり甲斐のある仕事に変えて行けるのではないでしょうか・・

私はよく社員にこんな話をします。 「人生は一度きりしかない。命も一つしかない。だから、悔いなく一生懸命に生きよう。例え、自分達が死んでも事業を後代まで残せることが出来れば立派な生き方ではないか。人間はいつかは誰だって死ぬ。自分達が生きた証をこの世に残すことが出来れば幸せではないか。だから、志を高く持って、世の中や社会に役立ち喜ばれる事業や会社にして行こうじゃないか」と。 私は「志」という言葉が好きです。 小さい頃、学校で聞かされた話に「ボーイズビーアンビシャス」という札幌農学校のクラーク博士の言葉があります。日本語では「少年よ大志を抱け!」。 「高い大きな志」です。「志を持ち続け、事業を発展させて行く」ことが私の願いなのです。

このように考えると、全ては回りから与えられたことで決まるのではなく、自分から発したことで決まるのだと思います。回りが自分にとって都合の良い居心地のよい環境であれば満足かも知れませんが、そんなことは少ないことだと思います。それでは人間は伸びないのではないでしょうか?・・・ 不平や不満ではなく、感謝や謙虚さで接して行けば自ずと心が磨かれて行くのだとも思います。

「苦しい時にこそ感謝を!」 「悲しい時にこそ笑顔を!」 「うまく行っている時にこそ反省を!」

私の経営者としての理想は「定年制の廃止」です。 定年は自分で決めて貰うのです。 一生を通じて働いて貰える、親子二代、三代と働いて貰える、そんな会社作りを目指したい。今時そんな会社が実現出来るような環境じゃないよと言われる でしょうが、私は理想に向かって燃えて行きたいと思います。 その為には相当な努力が必要ですし、社員の意識改革、とりわけ仕事に対する考え方に共鳴して貰わねばなりません。 「仕事は与えられるものでなく創り出すものであり、収益は努力の結果である」 「仕事は自分を成長させる人生の大きな道である」ことが不可欠だと思っています。 この考え方が実現されるようになった時こそ、定年制を廃止する時だと思います。まだまだ先は遠いですが、一歩一歩進むしか道はありません。 悔いなく生きて行く、高い志を持ち続ける、こんな人生がつまらない訳がありません。言い訳も必要ありません。

最後に、これを読んで頂いた皆さんに自問して頂けたらと思います。

「貴方の人生は一度しかありません。命も一つだけです。今迄、悔いなく生きて来ましたか? 悔いはどれほどありますか? これから取戻すことは出来ませんか? 取戻す勇気はありますか? このままで一生を終えて満足ですか? 今、幸せですか? また同じ自分に生まれ変わってきたいと思いますか?」

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