世の中には同じ事業を営みながら、成功して行く人がいるかと思えば、一方でなかなか成功へは辿り着けない人がいます。 どちらかと言えば、世の中には後者の人が多いと思います。 先日、成功された人、或いは成功しつつある人の話を直接に聞く機会があり、私自身、大いに触発されたことがありました。 成功した人、或いは成功しつつある人には、幾つかの共通点があることに気付きました。 今回はその話をしてみたいと思います。
共通点の一番目は「強い思い」ということです。 自分の事業をこうしたい、ああしたいう強い思いがあることです。 思いは形になり、次に目標に、或いはビジョンに結実して行きます。 ああしたい、こうしたいという思いは、やがて私利私欲の域を越え、「社会貢献」の域にまで達して行くように感じました。 強い思いがあると、内なるエネルギーも外なるエネルギーも更に強くなり、それが表情や行動に表れるようになり、やがて自然と人を魅了する力にまでなるようです。 二番目に挙げられるのが「話上手」ということです。 上手というと適切ではないかも知れませんが、その人の話に自然に聞き入ってしまう何かがあるのです。 頭で考えると、大勢の経営者の前で話すのは難しいことに思いますが、その人たちはいずれも話が上手でした。 私なりに観察していると、ストーリーがあってその通りに上手に話されているのではなく、思いが言葉に乗り移っていると感じるのでした。 つまり、思いを言葉にする時、話し方そのものは上手でないとしても、その内容に人が聞き惚れてしまうのです。そこには人を引き付ける素晴らしいダイヤモンドがあるのです。 三番目に挙げられるのは、「誰よりも努力されている 」ということでした。 当たり前かも知れませんが、少しくらい頑張ってみたところで簡単に人並み以上の成果が得られる筈がありません。 苦しい中で耐え忍び、その中で工夫し、知恵を働かせ、諦めないでやり続け、やがて急に開花するようです。 ともすれば苦しい時には愚痴が出、人のことを非難したり、自分自身になげやりになったりするものですが、自分が因果応報の源だと悟り、そこから這い出て自己改革を成し遂げて成功された人が多いのではないでしょうか・・・ そこには「執念」なようなものが不可欠だと感じました。
以前、私がお世話になっていた、業界でも有名なオーナーにこんな質問をした経験があります。 「どうしたら一代で事業を大きく出来るのでしょうか? 簡単な言葉で分かり易く教えて頂けないでしょうか?」・・・ そのオーナーはこう答えられました。 「 執念や! そんじゃそこらの執念じゃない、周りが皆反対してでもやってみせる執念や!」 と・・・ それから、暫くしてこんな言葉も言われました。 「経営者の器もあるな。会社というものは経営者の器以上には大きくならんなあ」 この二つの金言は私にとって、それ以来、自分の課題になっています。
さて、話は戻りますが、「思い」は非常に大切なものだと思います。 その思いを形にし、皆に共有して貰うのが、社是や経営理念ではないでしょうか? これらは無ければないで済むのかも知れませんが、人が集まって異なる仕事でそれぞれの成果を求めるなら、やはり、共通の求心力があった方が周りは分かり易いと思います。 ちなみに、私自身は「思い」ではなく、「想い」という言葉を好んで使っています。 こちらの方が「想念」とか「想像」とか「思想」とか「随想」とか、何となく思い入れが深いような気がしているからです。一度、広辞苑で調べてみたいと思っています。
いずれにしても、強く思うことが全ての始まりだと思います。 5年後はこうしたい、こうなりたい、10年後にはこうしたい、こうなりたい、そして自分の人生はこんな風にしたい、あんなことを実現したい・・・といったものではないでしょうか。 低い山に登ろうと思えば、直ぐにでも簡単に登れるでしょうが、何千メートルもする高い山に登ろうとすれば、直ぐには無理で準備も必要ですし、心構えも違って来ます。 自分がどの山に登りたいかで、人の生き方が違って来るのではないでしょうか?・・・
しかし、この思いを強く持って生きることは並大抵のことでは出来ません。 人生には思うようにならないことが沢山待ち受けています。 思いを実現したいのに、それを妨げるようなことが嫌というほど起こります。 その妨げを乗り越える強い思いがなければ、途中で諦めてしまいます。 その方が楽になれますし、妨げ自体も消滅するからです。 人間は苦しいこと、辛いことが苦手です。 どうしても耐えられないときは、もうどうなってもいいと思ってしまいます。 その上、年を重ねると挑戦的な気概が減り、現状維持になり易いものです。 体力も、気力も、知力もどうしても衰えて来ます。 それでも最後まで諦めないで思いの実現に向けて最大限の努力を続けることが、結果として何かしらの成果を残すことになるのだと思います。
冒頭で紹介しました成功しつつある人、成功した人にはそんなものがあるように感じます。 決して、今風の直ぐに上場しようとか、資金を他人様から集めようとか、そんなことばかりではないように思います。 今時、地道な努力といったら笑われるかも知れませんが、やはり、事業は人が中心です。 人に起因した泥臭い努力が、中小企業には特に重要なのではないでしょうか・・・ 人のことばかりに目を奪われるのではなく、明日は自分がそうなることを夢見、努力し、日々感謝の気持ちを忘れずに生きて行けば、きっと神様はご褒美をくれるのだと信じることなのかも知れません・・・
難しく生きるよりも前向きに明るく生きよう・・・ 苦しいと嘆くよりも笑顔で直面しよう・・・ 昨日を振り返るのではなく、今日一日を精一杯生きよう・・・ 人を疑うよりも人を愛そう・・・ 自分のことより人に尽くそう・・・
簡単ではないですが、心の中にこんな気持ちがあれば、きっと多くの人が集まり、共に思いを共有してくれると信じます。 誰しも苦労ばかりで失敗するよりは、いつかは成功して大きな幸せを手にしたいと望んでいます。 例え、大きくなくても、失敗よりは小さな成功が嬉しいに違いありません。 「失敗することを恐れるよりも、失敗しないことを恐れるべき」なのかも知れません。 多くの成功者は予想以上に失敗しています。 好んで失敗することは事業を営む者としては危険なことですが、例え失敗したとしても前向きであったならば、必ず何か学びがあるのだと思います。
私も大いに失敗すると思います・・・(本当は嫌ですが) 何年経っても成果を残せないかも知れません・・・ 私自身もこんな格好いいことを書いていても、本心は苦しみたくもないし失敗もしたくありません。 実は、恐怖心の強い小心者なのです。 成功はしたいけれど、失敗は怖いというのが本音です。 しかし、失敗するのが嫌なので、その分少しでも先輩諸氏の事例を学び役に立てたいと思います。
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