これから日本は決して楽ではない道を進んでいくことになると私は考えています。
楽ではない道とは、少子高齢化、女性の社会進出、直近30年間のGDPと一人当たりGDP、労働生産性、税収、年金や社会保障費の財源、給与や初任給、・・・こういった問題が徐々に徐々に拡大するだろうと思うからです。どれをとっても大きな問題です。
私達はこのような問題の中へ否応なく身を置くことになります。国民の平均年齢も50歳に迫りつつありますし、平均寿命は延びて今や女性で80台後半、男性は80台半ば近くまでになりました。アジアの国によっては20才代後半の若い平均年齢の国もあります。こういった国は内需も次第に拡大し、経済発展の可能性も高くなるでしょうが、日本はその逆で高齢者は消費するものが異なって行きます。全体的に内需は落ち込んでいくのではないでしょうか?・・・
市場が小さくなり、消費者ニーズも徐々に変わり、若い人ほどお金は使わない時代になります。使うのは健康関係と医療費ではないでしょうか?・・・現在でも65歳以上者一人に対して労働生産人口は3.5人程度で、今後は3人向かって変化して行くそうです。
どうしても国や行政機関への税収や労働者の税金も増加せざるを得ないのではないでしょうか?・・・立法機関や行政機関の改革も必要だと考えます。まずは人数だろうと思います。
こういった日本の変化を日本沈没のような厳しい言葉で言い表す人もいますが、果たしてこれからどうなって行くのか、大きな不安を感じる人が増えているように感じます。
指示かしながら、そんな状況の日本に対して、別の観方を持っている人達もいます。今回はそんな考えを持った外国人を紹介したいと思います。但し、ご本人から直接聞いた話ではありませんので、真偽の程はご了承下さい。いずれも日本人へ対するご自身の見識をお持ちの方なので、言われている話を聞くと日本人の私は素直に嬉しく思います。
アルビン・トフラー
アメリカの未来学者で、1980年代に「情報化社会」という言葉を世に広めた人で、世界へ大きな影響を与えました。ニューヨーク大学に在学中に奥さんに出会い、卒業後はアメリカ中西部へ移り住んで工場で働いたりし、その後、IBMへ入り「コンピュータが社会や組織に及ぼす影響」について調査する仕事をしていたそうです。1980年に「第三の波」という衝撃的なベストセラーを出版し、世界中で大きな反響を呼びました・・
私も実兄から薦められ、内容が難し過ぎるにも関わらず、兎に角、読んだことがあります。当時の私には内容が難解で、そもそも本の厚さに読む前に圧倒された記憶があります。
そういった海外の本は分厚いだけでなく、言い回しも日本人とは異なる事例や表現を使い、日本人には分かりにくいもののようです。今もその傾向があるようです。
しかし、それでも「農行革命」、「産業革命」、「脱産業社会」という話は私に強く残りました。特に、各時代の長さが、その時代が変わる度に短くなっていくことに不思議な気持ちになりました・・・この不思議さ今も強い興味になっています。時代は変化と共に加速度がつくようです。そこには何かの因果関係があるだろうと思います。
実際に日本でも、縄文式時代や弥生式時代の長さがそうだと思います、文明が進むと徐々に変化のスピードが早くなるのは何故なのでしょうか?・・・
人類が地球上で生物の頂点的存在になってから、進化のスピードは更に速くなっているのではないでしょうか?・・・その最たる進化の象徴がコンピュータです。今後も加速度的な進化スピードに早くなるのはなって行くように予想します。人工知能はその代表例です。利用に対し反対意見や注意意見も多いですが、利便性が勝る以上、使われることは避けらないと思います。人工知能に人間がな何とか追いついていれば、文明が振り回されることはないでしょうが、人間の理解度を超えた時に、一体どんな社会になっていくのでしょうか?・・・人間がコントロール出来れば良いのですが、まさか人間がロボットの手足としてロボットに
指示されて働いていることなどないと言えるかです。
本当に空想なのでしょうか?・・・
トフラーの著作で読んだのは「未来の衝撃」と「第三の波」でした。
私はその部厚い本をめくっては読み続けました・・・
正直な所、同じように分厚い本なら「三国志」の方が遥かにワクワクしました!・・・
トフラーの本は読み終わった後、大きな疲れを感じました・・・
タイトル自体、読み手に大きく迫って来る迫力があって、読んでいてもその対象が大き過ぎて輪郭だけが分かったような感覚でした。もう一度、読みたいとは思いませんでした。
しかし、今となっては時代を透視した凄い一冊だったと尊敬します。
エドウィン・ライシャワー
この人は別段、未来学者ではありません。学者ではありますが、政治家に関わった人で、年配の日本人には好感を持って憶えている方が多いと思います。勿論、若い方は知らないと思います。
アメリカで尊敬されている、英雄的な大統領であるジョン・F・ケネディ大統領時代にその知日度と人格を請われ、日本でのアメリカ大使に任命された人です。
日本で生まれ育ちアメリカでの大学時代に、アメリカで日本語を勉強し、やがて日本人のように流暢な日本語を話せるようになったようです。最初の奥さんを失くし、後に明治の元勲である松方正義公(総理大臣経験者)の血筋にあたる松方ハルさんと方と結婚されました。
こういう側面もあって、人物も物腰が柔らかく、人格もや気遣いが日本人のようで多くの日本人に好まれていた大使でした。
しかし、そんな中、19歳だった日本人の若者に襲われ、刃物で太ももを刺傷し、病院へ運ばれて輸血を受けて一命を取り留めました。ライシャワー大使はこのことを「私には日本人の血が流れています」と話し、当時の日本人に強い感銘を与えた大使でした・・・
私もかすかにこの事件はニュースで憶えています。
しかしながら、この時の輸血が原因で、後年、アメリカで亡くなってしまいます。
後日談ですが、ライシャワー氏への自宅へ、今の上皇ご夫妻が滞在したことがあります。
それだけ深い感銘を日本人へ与えた大使でした・・・
また、ライシャワー氏は否定しているようですが、太平洋戦争中に京都が爆撃を免れたのはライシャワー氏の尽力があるといった話があります。アメリカ軍へ、京都は文化的遺産や日本人にとっての特別な存在であると、強く氏が訴えたことが一因だと言われています。
また、当時にアメリカがベトナム戦争へ突入したことに対し、反対の考えを持っており、結果的に日本大使を辞することになったそうです。
当時は日本の若者達もベトナム戦争反対の学生運動を起こしていたのですが、それが一因で日本人少年によるライシャワー氏刺傷事件は起きたのかも知れません。
大使を辞任した時はケネディ大領がダラスで銃弾に撃たれた後に副大統領から大統領になったジョンソン大統領でした。辞任は認められ、ライシャワー氏はアメリカへ帰国します。
帰国後は古巣のハーバード大学で日本関係の教授に就きました・・・
私はライシャワー氏ほど日本人に愛されたアメリカ大使はいないと思います。
日本とアメリカの友好に関わった大使の中でも最も印象深く、紳士的で誠実で聡明な大使だったと思います。
私自身、一生の書物としてライシャワー氏の自伝も残しています。
氏はアメリカ人ですがこよなく日本を愛し、精神は日本人だったように思います。
私には忘れられない人物です。
マイケル・サンデル
この人は世界的に有名な大学教授です。ハーバード大学の白熱教室で有名です。
白熱する授業だから白熱教室なのでしょうが、ご本人はそんな話の中で「正義」(JUSTICE)という言葉を時折使われます。
正義とは何か?と学生達へ問いかけるのです・・・
私が初めてサンデル教授の授業をTVで観た時のことは今でも忘れられません。
東京大学での特別授業でしたが、会場は東京大学の学生が講堂のような場所に集まり、今や話題のハーバード大学教授の特別授業の始まりです。
サンデル教授が投じたテーマは、当時のシアトルマリナーズの押しも押されぬ有名スターであるイチロー選手の年収と、当時のオバマ大統領の年収について、その金額を紹介し、イチローとオバマ大統領の収入が適切か?という問いでした。
すると会場からは高過ぎるとか、安過ぎるとか、その収入と根拠の説明まで行い、自分の意見の正当性を主張するのです。そんな中でサンデル教授は学生から投げられた意見や反論に対して、更に議論が活発になるような意見をぶつけるのです。
そうして次第にどちらに賛成か学生達を分けて、更に論争を続けていくのです。
授業の進め方はサンデル教授が離脱しないようにコントロールする訳です。
次第に問題を整理して、論点がズレないように議論の中心を掘り下げていくのです。
私はこの放送を見た時、凄い人だなあ!と驚きました・・・
深く広い知性があって、結論は出なくても色々な考えや意見があることを学生自身に気付かせるのです。私はサンデル教授なら立派な一流経営者にもなれると思いました・・・
考えやまとめることがとても上手なのです・・・正に経営者の姿です。
実はこのことがサンデル教授自身にも大きな経験になったことを最近、you-tubeで知りました。それは「これからの世界の中で中心的な役割を果たす国はどこでしょうか?」と聞かれた時にサンデル教授は「日本ではないでしょうか・・と」言ったそうです。
この発言はどちらかと言えば、日本に対し否定的だった私をもう一度、冷静に考え直す機会を与えてくれました。
実はこの話の発端は、アジアの大国であるC国に招かれたサンデル教授がそのキーパーソンから「これから世界の中で中心的役割を果たすアジアの国をどこですか?」と聞かれた際に少し考えた後に「それは日本です」と答えた話なのです。真偽の程は分かりませんが、あり得る話でもあります。そのキーパーソンは当然、自国であるC国ではないのかと怒ってしまい色々と大国に相応しい例を挙げたそうです。
しかし、サンデル教授は重ねてこのように言い返したそうです。
「確かにC国は経済的に発展し、世界でもその存在感や影響力も大きくなっています。しかし、人々は自己中心でマナーを守らないし、どこでも大声で話すし、ゴミもあちこちに捨てる、そして他の考え方も認めない。これでは世界のリーダーとは言えないのではないのですか? それに比べると、日本は台風や地震や自然災害も多く、決して恵まれた環境でもありません。更に敗戦国となり、焼野原からたったの30年で驚異的な復興をやり遂げました。このような国は世界に例がありません。日本は今も大きな問題にぶつかっています。しかし、この国は必ずそれを克服して立ち直ることでしょう。その姿はやがて世界に新しい姿を見せることになることでしょう」と・・・
一言一句、正しい言葉ではありませんが、要約すればサンデル教授の話はこの様です。
私がこの話を聞いて、私自身はまだまだ井の中の蛙だと感じたのです。井の外を知識だけでしか知りません。自分が当事者でありながら、他の世界から観た自分を知らないからです。サンデル教授の話を聞いて、私もC国のキーパーソンと同じだということです。
私は困難は自分達を新たに強く成長させることが役目だと気付いたのです。
会社経営と全く同じことなのです。
悲嘆するだけなら日本沈没です。嘆き悲しむ一方で世界に先駆けて立ち向かう、少子高齢化社会、日本経済の停滞感、働き方改革、CO2削減、世界の二極分化、軍事的脅威、自然災害、地球環境の悪化など人類が抱える問題へ積極的な立場になって改善や解決に力を発揮すべきではないかということです。
確かに日本は幾多の困難や危機、自然災害に対して大きな犠牲を払いながら乗り越えて来ました。国民は善人で自然を愛し、相手を重んじ、嘘をつかずに生きて来た国民ではないかと思います。結束すれば焼野原から驚異の復興をやり遂げることも出来ました。
しかし、それが終わりではないのです。これから乗り越えなければいけないのです。
ウォーレン・バフェット
オマハの賢人と言われる世界でも指折りの投資家であるウォーレン・バフェット氏もサンデル教授と同じように中国に招かれ、これからどこの企業に投資を考えているのですか?と質問を受けたそうです。
当然のように司会者は中国企業の成長が著しいので、中国企業への投資を熱心に語るであろうと考えていたところ、バフェット氏は日本企業への投資を考えていますと回答されて、その司会者を怒らせたそうです・・・
実際にバフェット氏は日本の大手商社に大きな投資をしています。
バフェット氏は更にこんな話もしたようです。
「私は投資家ですから損をするような投資は絶対にしません」と。
これは確かな名言です。小さい頃から投資の中で成長して来た人です。
損する投資は確かにしません。この考えの根底には色々な判断材料があるでしょうが、
その答えは情ではなく、ビジネスで言われているのです。
オマハの賢人で、且つ世界の賢者が話しているのです。
日本人はもっと勇気と自信を持っていいのかも知れません。
日本人は昔からアジアの中でも特異な国として周囲から見えたのは間違いありません。
江戸時代には江戸の街には下水道が整備され、井戸から汲み上げる水も水路の整備がされていたようです。このような国はアジアの中では他になかったそうです。
こんな話を西洋から訪れた人々が書き綴ったり、写真に撮ったりしています。
例えば駕籠や渡し船の運賃も決められた料金以外はきちんと返す人々だったそうです。
このことは現代でも生きています。拾った財布が本人へ戻って来る驚異の国だと言われています。そういった教育や躾が昔から行われてきている国なのです・・・
人や国同士の根底に信頼という価値観が重視されているからです。
日本人は人を裏切ることを恥としています。大地震が襲っても人々は我先に争って順番を守らないことはありません。財布を落としても本人に帰って来る可能性が高いのはそういう国民だからです。私自身も台北で財布ごとパスポートもクレジットカードも落とした経験があります。しかし無事に拾い主が台北の警察に届けてくれて、一生忘れられない出来事を経験しました。拾い主は老人でそんな年代の方は、日本人からそのような教育を受けていたからですと現地の警察署で教えて貰いました。
バフェット氏がそんなことを考えている筈はありませんが、日本人の真面目さ、勤勉さ、困難でも負けない精神力、そんなものを案外、頭の隅に入れているのではないでしょうか?
日本の抱える問題
私自身が考える今の日本の大きな問題は多様性だと思います。
日本人自体の考えやアイデアなども問題点としてありますが、私は帰化や難民を含めた人道支援まで関係があることだと考えています。
大きく言えば日本はこれから地球規模で考える、お金を出すことよりも実行することが大事になっていると考えます。例えば、国境は確かに物理的に存在しますが、ウクライナ問題では一国の問題ではなく、世界共通の問題だと考えます。
人間自身の中に物理的な国境などありませんし、新たに受け入れる際には格差や摩擦も起こると思います。その過程を乗り越えてこそ新たな段階へ進むことが出来るのだと思います。日本はもっと踏み込んだ政策や主導的行動を実行する時期が来ていると思います。
もっと国際社会で貢献できる筈です。その為には勇気を出すべきです。
もう、そんな勇気を出していくのが日本の役割です。
今や日本は新たな国際関係を自ら率先して作り上げていく立場や時代になっています。
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