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海外留学の勧め 第172号

先月、当社にベトナムの青年が入社しました。 29歳になったばかりの彼は、日本で働くようになって3年目で、日本語はまだまだですが英語は社内で一番使えるし話せると思います。 彼には海外留学経験の経験はありません。ベトナムの学校教育と独学でそこまでの水準になったそうです。

私は、これからのアジアでは彼のように若くてエネルギッシュで、海外経験もあり、複数言語を使う若者達が主役になっていくだろうと確信しています。 反面、心配なのが、日本の若者達です。 日本人の中には、そんなに心配しなくても大丈夫、日本人は勤勉で、真面目で、一生懸命に働く国民だからと言う人達も多いのも事実です。 しかし、もはや日本人よりも彼らアジア諸国の若者達の方が、真面目でエネルギュッシュで、海外留学経験もあり、一生懸命に目標を持って頑張っているというのが私の実感です。

彼らは、日本の戦後から今までの発展話を聞かされたり、教えられていたりするので、日本への親近感も生まれ、日本のようになりたいという憧れすら持っています。 かつて、日本人がアメリカに抱いた、豊かさや余裕や個人主義、自由主義などに憧れたように、アジア諸国の人達も同じような希望や夢を持っています。 だからこそ、豊かになりたい、国を立派にしたい、家族をもっと幸せにしたいといった、日本では既に風化した目標観がまだあるように思います。

一方、日本の若者達には「もうこれ以上欲しいものはない。むしろ、今のレベルのままで、そこそこ幸せで、そこそこ収入があって、そこそこの幸せな人生でいい」といった価値観の持ち主が多いと感じます。 事実、採用の面接でもそのような若者が増えているように感します。 ですから、電車やバスがあるからマイカーも別段要らない、お金も生活に困らなければそれ以上には要らない、ガツガツ働くよりも自分の時間に大切にしたい、といった価値観が中心ではないでしょうか?・・・

会社とか国ではなく、個人が先にあり、個人の価値観の中でもお金とか地位とか権力とかではなく、むしろ逆で、生活水準や社会保障が揃っているので、そんなに働きたくもないし、そこそこ収入があればそれで満足だという人が多い。

しかし、私は敢えて問いたいです・・・ 今の安定や繁栄は今後も続くのでしょうか? そのことをどう思っていますかと?・・・

安定や繁栄、或いは余力は継続した努力の上で手に入れられるものであり、そのままでは継続できるものではないだろうか? という問いかけです。 今まで決して裕福でなかったかも知れないアジア諸国は今、この瞬間も懸命に努力し、勉強し、日本のようになりたいと考え、行動を続けているのです。 一方、日本では徐々に若年者人口も、勤労の価値感も変化して来ています。 国際社会、特に経済は生き物のようにその勢力や力関係が変化します。

日本は今、世界第三位の経済大国ですが、人口は減り、若者も減り、65歳以上の人口が急激に増えています。 今でこそ人口が多いので、GDPは世界第三位ですが、一人当たりで観ればトップ10位にも入っていません。 アジアではシンガポールだけがトップ10に入っています。 確か日本は20位後半です。これでも世界では高い方です。

日本はかつて、世界第二位の経済大国でしたが、これからは随分とそのポジションは落ちると思います。 本当はそれでいいと思います。 グロスではなく一人当たりがこれからは重要です。 それを新しい日本の目標にしなければならないと思います。

この意味において、日本の若者の海外留学が半減している現実は、将来への大きな問題になると考えます。 増してや、海外で働く若者もまだまだ少ないと思います。 以下の問題点は、日本の一人当たり指標として徐々にカウンターパンチのように効いて来ると思います。

・海外留学生の減少・・・10年、20年後には留学生数の減少が国際力での差になって現れる ・日本人の平均年齢は今や45歳・・・インドネシア、ベトナムは27~28歳 ・豊かさを維持する努力が欠け始めている・・・日本は先進諸国ですがそこに留まる努力が足りない ・英語が話せない、学問化している・・・英語は話す言葉であり、読む、聞く、書くよりも大事 ・失敗を恐れ恥じる文化・・・失敗は成功への道。決して恥ずかしいことではない。挑戦しないことが恥 ・何がしたいのか、何が大事なのか、日頃から考えていない・・・豊さの中で見失っている ・異質との交わりが少ない・・・身の回りに少なく、人との接触もまだまだ。異質から新しい価値は生まれる

今月はまとめにくい内容になりましたが、結局、集約すれば、21世紀はアジアの時代であり、アジア諸国は日本を標榜して来た国が多く、それでいて独自性も持っていると思います。 今までは日本もLOOK EASTばかりでしたが、これからはLOOK WESTが重要になると思います。 つまり、今までの逆で、日本はアジアの国々から取り入れることが多くなります。 その例として、以前には日本でもバイリンガルという二か国語を話す若者達を表す言葉が流行りましたが、今やアアジアではトリリンガル、三か国語を話すことが一般化しつつあります。 もうバイリンガルでは遅すぎるのかも知れません。 日本でも英語の次を考える位でないと、世界の国々に遅れ始めていることを気付いて欲しい。

最後になりましたが、当社にいる外国籍の社員は多くが三か国語をこなす人が多いです。 これが今のアジアの国々へ広がっている実感です。 こんにちは、グッモーニング、アニョンハセヨ、チンチャオ、ニイハオ・・・ 時代は変わりつつあります。 正にダーウィンの進化論のようにです。

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