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衝撃が走る! 第138号

10月31日、大阪へ戻る新幹線の中、車内の電光掲示板にこんなニュースが飛び込んで来ました! 日本の某家電メーカーが来年3月末決算で「7650億円の損失」を計上見込する見込みだと・・・

昨年も同様の大損失を計上したばかりなのに、今年度もとなると、これはもう日本の家電業界の先行きに大きな大きな暗雲が垂れ込めており、実に深刻な状況なのだと思い知らされて、とても滅入ってしまいました・・・ 今朝の新聞にもこの5,6年の決算状況が掲載されていましたが、赤字体質になっている状況は目を覆うばかりでした・・・

昨年の日本中が驚愕した記憶から半期しか経っていない時期に発表された、その余りにも大きな衝撃に誰もが同じ思いを感じていることと思います。 家電業界と言うよりも、もっと広く、日本人が頑張って築いてきた自信や誇りを、これでもかと引きちぎられている気持ちになりました・・・

実はつい先日、その創業者の経営哲学や家電製品を展示している「歴史館」を訪れたばかりでしたので、その余りにも大きな違いに胸が詰まる思いでした。 「経営の神様」と呼ばれていた数々の伝説や偉業は、もう過去のものなのだろうかと自信を失うほどの衝撃を感じています。 一言で国際化だとか、第三国での生産遅れとか、内需不信だとか、デフレとか、そんな問題を超越した何か根本的な「何か」を感じざるを得ません。

中国や韓国に追い越されたばかりか、徹底的に痛めつけられ、これでもか、これでもかと、やり込められている現状にただただなすすべもないようにすら感じてしまうのは、果たして私一人の偏見でしょうか?・・・ どこか第二次戦争突入前の状況に似てきたのではないでしょうか・・・

どうしてこんな日本になったのか?、日本の大企業はそんなに脆かったのか?、これから日本はどうなって行くんだろう?などと思わずにはいられません。 他人事ではありません。 一人一人の日本人が直面しなければならない問題だと思います。

しかしながら、こんな時代なのに日本の立法や行政は有効な対策も打てず、解散させるとかしないとか、任命責任がどうのこうのとか、円を放出してデフレにカンフル剤を与えるとか、どこか昔流のお金ばかりばらまく時代遅れの対策しか出来ない姿が目立ちます。

日本をこんな国にするぞ!と指し示せない、そんなリーダーのいない国に成り下がっているのが現実です 果たして、日本の大企業がこれほどまで苦悩しているのに、消費税は上げるわ、社会保険料もジワジワと連年に渡って上がるわでは、中小企業の経営者から愚痴も出るのも当然だと言えます。

先ほどの歴史館でこんなビデオがありました。 当時、日本の人材育成についてこれからどうしたら良いかという委員会があり、その創業者も呼ばれて意見を聞かれたとがあったそうです。 その時に、その創業者はこう答えました。

「日本をどんな国にしたいかという目標がないのに、どんな人材を育てたらいいかはないもんだ」と・・・ 時の首相はこれを聞いて苦虫を潰したような表情をしていたそうです。 創業者は続けます。 「国も企業も同じで、企業なら経営者がどんな会社にしたいのかという目標があって、その目標に向かって人材を育てて行ける」と。

正に、今の日本が抱える問題点の本質はここにあります! 国にビジョンがないのです! 明確なビジョンを持ったリーダーがいないのです。 つまり、政治家(=立法)に国家目標がないのです! また、官僚(=行政)にも民がいないのです。 企業と共に、立法も行政も協力して行かなければ国家全体の運営は出来ません。 税収がその典型です。

企業は苦しんだ挙句、リストラを行い、それを公的な税金で支援しますが、やがてリストラされた元社員は海を渡り、海外の同業他社へ再就職して、昔の会社に敵対することになります。 競争相手の製品化に一役買っているのもこれまた事実です。 企業の中で働くことが出来たならば、こんな事態にならずに済んだと思います。

今は世界を市場にしたグローバル経済圏になっています。 グローバルならば、国を超えたレベルが求められます。 この国というレベルを超えた活動に日本は出遅れています。 特に出遅れているのは立法です。 国のリーダーがこうもコロコロ替わる国は先進諸国では考えられません。 日本の大企業の低迷は、ある意味において、国レベルの無策の犠牲者とも言えるかも知れません。

「ビジネス=事業=商売=商い」は、買ってくれる人が何を求めているか、それに対して安く、高い品質で提供することが、原理原則だと思います。 この一点はいつの時代でも不変の原理だと思います。

日本企業は再び、奮起して意地を見せる時です。 日本はそんな歴史を築いてきた国です。 再び人々が一つにまとまり、汗を流し、知恵や工夫を出せば、新しい日本を生み出すことが可能だと私は信じます。 その為にはリーダーが必要です。

試練というには、余りにも自信がなくなりそうな状況ですが、必ずやそうなる日が来て欲しい。 日本人にはそんな力があります。 私も日本人の端くれとして日々の中で頑張ります! 5年後、10年後にどんな日本になっているか? それは今からの私達次第で決まります。 皆さん、頑張りましょう!!!

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