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車掌さん 第281号

令和7年も1ケ月が過ぎました。今年の干支は十二支の中で6番目にあたる巳年ですが、巳年は物事の始まりも意味しているそうです。永い冬を越して温かくなると活動し始める生き物でもあり、また胎児がお母さんのお腹の中にいる丸まった姿が巳の字体になったとも言われているそうです。

干支の話はこれ位で、今回は電車の車掌さんについて話をさせて貰います。


何故、この題目にしたかと言いますと、このコラムを書き始めた日の朝、出勤中の地下鉄車内で車掌さんのアナウンスの声がとても印象的で、雑誌の中のゴルゴ13のように男らしくダンディな声だったのです。強く印象に残らない訳がありません。年令は30才代の若い方だと思います。声の歯切れがよく、ひとつずつの単語もクリアで、強くて良く通る低い声でした。車掌さんによっては、クニャクニャと口の中だけで話しているような方もいるし、ちゃんとボイストレーニングをやってるの?と言いたい車掌さんもいます。地下鉄会社もサービス業ですので、それ位はやるべきだと思います。例を挙げると、日本を代表する新幹線ではそこまで聞き取れない車掌さんはいないようですが、モゴモゴ話す方や早く喋ろうとする車掌さんはいます。特に、英語のアナウンスについては正直なところ、誇れるような発音ではないと思います。それこそ日本語英語、カタカナ英語に近くて、しかも早いだけで何を言ってるか聞き取れない車掌さんもいます。きっと苦手なんでしょうが、外国人も多く乗っている日本を代表する新幹線なのですから、発音の訓練ももっと強化して少しでもネイティブに分かり易い程になって貰えたら素晴らしいと思います。新幹線の車内アナウンスが変われば、他の路線や民鉄でも英語のアナウンスは必ず変わってもっと良くなります。たまに帰国子女かなと思う発音や外国人が吹き込んだアナウンスもありますが、新幹線なら一定水準以上の発音でなければ、新幹線の車掌にはなれないようにした方が良いと私は思います。これは航空会社のCAさんも同じです。これだけ国際化が進むと、インバウンド客も日常的になり、英語はそうなって欲しいなと願っています。

ここで言うのも場違いな話かも知れませんが、韓国の地下鉄や航空機の英語のアナウンスは日本より発音レベルが高く、英語教育が違うなと感じます。発音の練習がきっと素晴らしいのだろうと思います。

ビジネスホテルでの受付の英語も本格的な感じがします。

先月号の社長コラムでも書きましたが、日本は根本的に英語教育の違いがあると思います。読み書きより話す方がはるかに重要だと私は考えているので、話すことが中心になれば、流石の引込み思案で有名な日本人も少しは変わるだろうと思います。カタカナ英語は日本人の特徴だと思います。


今回のコラムでは車掌さんとは何ぞや?のことを話してみようかと思ったのですが、車掌さんという呼称は電車や地下鉄、或いは昔のバスや列車や新幹線まで使われています。しかし、航空機ではCAと呼び、車掌さんとは呼ばない。どうしてなんでしょうか?

よく考えて見ると「車の掌」を書きますが、掌が言葉の鍵を握っている気がします。

そこで調べてみました。copilotでCAさんと車掌さんの違いを聞いてみたら、大きな違いは「働く場所の違い、安全指導や教育の違い、そして給与の違い」ではないかと感じました。この車掌という言葉は1900年以前は列車長と呼ばれていたそうです。これも凄いネーミングですね。それを当時の山陽鉄道(今のJR西日本の山陽本線部分の鉄道会社)の社長であった中上川彦次郎氏が「車両を管掌する」という意味で「車掌」という名称を考えたそうです。しかし、今では管掌とか車掌とは何ぞや?となりませんか?・・・これも調べたら、自らの管轄を職務としてきちんと取り仕切るという意味だそうです。何かとお堅い話ですが、似たような言葉に統括という言葉がありますが、統括はバラバラなものを一つにまとめる意味や職種だそうです。ここまで来ると漢字も使いにくくなりますね。やはり、車掌は何か古臭い、難しい感じがします。何か新しい言葉はないものでしょうか?英語では車掌をコンダクター”CONDUCTOR”と言うようです。


さて、実際の新幹線車内では誰しも聞いたことがある、あの柔らかくて、ゆっくりとした、耳に優しいネイティブ発音の英語が出発駅で流れます。調べてみると、ドナ・パークさんというオーストラリア人女性で、永く日本に住んでいる方が吹き込んでいるそうです。

オーストラリアも英語圏ですがオージー・イングリッシュという、DAYをデイではなく、ダイと発音します。一例で、こんな笑い話があります。日本人が現地で病院へ入院することになった時、ドクターから「you will have a good day」と言われたのに、発音がday がダイだったので、貴方は今日死ぬだろうと言われてショックだったというジョークです。また、日本では英語を習う時、どこへは「to」とか「for」で習ったと思いますが、新幹線では「bound for」と話しています。最初は何だろう?と思いました。英語圏の人達も広い範囲に住んでいるので、地域によっては発音や使う単語が違うこともあるだろうと思います。

最初に新幹線でドナさんの声を聴いた時には本当に驚きました。こんなに柔らかい英語を話す人もいるのかと思いました。確かに、それまでこんな柔らかな英語は音楽以外では聞いた覚えがなかったからです。この声を聴くと、多くの日本人は新幹線のアナウンスだと分るようになっています。それほど愛されている声だと思います。


新幹線と言えば、車掌さんも乗車されており、時々、英語のアナウンスが流れますが、やはりジャパニーズ・イングリッシュの発音なのでもう少し何とかならないものかと思ってしまいます。日本人らしいと言えばその通りなんですが、外国人には訛りがキツイのではないでしょうか?

たまに車内で真似ている外国人もいます。面白くて、楽しいのでしょう・・・

英語圏ではないロシア周辺諸国、東ヨーロッパ、北欧諸国、西ヨーロッパ、アフリカ、東南アジアでも

英語を話す人達はいます。しかし、日本人はそこまで話す人が限られているように思います。ここに面白いyou-tubeがあったので紹介します。日本人が聞いた外国人が話す日本語、逆に英語を話す外国人に聞こえる日本人の英語の動画がありましたので、面白いので紹介しておきます。


実は、私も発音で失敗した例が勿論あります。今でも思い出すのは、カナダのバンフtにあるお城のようなホテルで食事した時の経験です。食べていたパンが足りなくなったので、ウェイトレスさんにもっとパンを下さいと言ったのですが、後でそのウェイトレスさんがこのワインはどなたですか?・・と持って来たのです。誰も頼んでいませんよと言ったら、そのウェイトレスさんが”レッド”と言ったでしょう?みたいに言うのです。そこでやっと気付いたのです。”ブレッドが”レッド”に聞こえたのでこうなった訳です。

この時、英語は難しいなあと思った瞬間でした。よく”RIGHT”と"LIGHT"の発音の違いで下顎と上顎の違いみたいな練習をしますが、難しいですよね。そんな話し方、日本語にありますかね? 

意識し過ぎると何が何なのか分からなくなります。失敗して耳で憶えていく方が良いと思います。無理に舌を付ける付けないよりも真似てみることから始めればいいと私は思っています。だって、英語圏の赤ちゃんは舌をこうしないとかで音を憶える訳ではありませんからね。何度も話していて徐々に上手になる訳ですから・・・

話が”脱線”しましたが、日本を代表する新幹線ですので、もう少し発音の練習をネイティブな先生を付けて練習した方がスピードや乗り心地以上に海外の方には印象も良くなると思います。それ以上に前作でも書きましたが、勇気を出して話すことが大事です。話してみないと、英語なんて話せないのですから。勇気=気にしない=相手を見て=外国人に日本語を話せますか?と聞いてみる位でやってみましょうよ。


今は車内放送で英語も多くなりましたが、そろそろ韓国語や中国語も併せてやればどうでしょう?・・やっている路線も増えていますが、インバウンドの方はこれからどんどん地方へ出掛けるようになります。例えば、地下鉄御堂筋線で韓国語が流れたら、きっと乗客の多くの人は耳がジャンボになります。”ひとこと韓国語”でもやれば乗客は次第に憶えていくと思います。例でいうと、コーヒーはコピーなので違いも憶えることになります。そうすると、韓国へ出掛ける人も増えていきます。中国語なら台湾や中国へ行く人も増えます。駅ごとの企業案内もいいですが、もっと乗客に楽しんで貰う方法も考えて欲しい貰えたら車内がもっと楽しくなります。

もし、万一、車掌さんがそのワンポイントレッスンをしたら、大うけするのは間違いないです。国内の方言でも面白いと思います。楽しい車内にして欲しいですね。私の故郷言葉なら「おやっとさあ」と言われると、乗客は少々驚くと思います。大阪弁でも面白いですね。


車掌さんに端を発して結構何だかんだと書いてしまいました。あのゴルゴサーテーンを連想させる声にまた会える時が来るでしょうから、それを楽しみにここら辺りで筆を置きます。

最後に現在の新幹線アナウンスのドナさんは2代目で、初代の方はカナダの方でリンダ・フェアチャイルドさんという方だそうです。

では、最後に目をつぶってお聞きください。



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