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  • 執筆者の写真株式会社ビジョンクリエイト

韓国へ出かけて 第85号

つい先日、所用で韓国のソウルに出かけて来ました。 韓国はこれが2回目で、サッカーのワールドカップが開かれた4年前に社員慰安旅行で行ったのが初めてでした。 その時は空港につくなり、韓国語が文字ではなく記号にしか思えず、見るだけか食べるだけだったことを憶えています。 今回はその時と全く逆で、観光は一切ないばかりか、ビルの中や人との話か、或いは食事と宴席ばかりでした・・・

しかし、今回の訪問では観光旅行では知るすべもない、一般の人達の素顔に触れた気がします。目的はビジネスでしたが、それでも直に言葉を交わし、韓国の働く韓国の人達の素顔を垣間見たように思います。 そこには、今の日本人が忘れてしまったり、捨ててしまったり、経済発展という名の下で軽んじてしまった幼い頃に教わった価値観が幾つも残っている感じでした。 人と人との信頼、一生懸命に頑張るということ、親と子の関係、夫婦の役割、働くことの意味、素直や謙虚や尊敬ということ、友情や信頼、・・・そんなことを考えさせられたような気がします・・・

2泊3日の短い滞在でしたが、日本との違いを肌で感じたように思います。 それは観光客相手とかではなく普段着の韓国そのものだったからだと思います。 今回の訪問目的は韓国の20代、30代のIT学生の採用面接だったのですが、日本でも採用面接を永い間やっていた私には学生の違いを肌で感じることが出来ました。 それは何といっても日本で働きたいという真面目な気持ちが強く、単に外国に住んでみたいとかではなく、それ以上に自分を成長させたい、会社の役に立ちたいという気持ちが強いことでした。 日本への就業条件として、日本語検定や情報処理技術資格が必須条件になっているのですが、半年や一年で日本語があそこまで話せるとは思えないほどでした。 反対に日本の若者が半年や一年で英語や韓国語があそこまで話せるかと考えるととても敵わないのではないでしょうか?・・・ 毎日の授業は午前9時から午後6時までということも日本と比べ長いと思います。 その内、IT教育は大半の時間だと聞きましたので、日本語習得の熱心さが分かると思います。 中には日本に1,2年住んでいた学生もおり、そんな人はかなり流暢に日本語を話します。

日本の若者とはかなり違うなというのが実感です。 社会的環境やお国柄と言えばそれまでかも知れませんが、人間としての基本的なルールがまだ守られている、大切にされている、そんな印象を持ちました。 学生だけではありません。大人にもそんな人達が多いことに気付きます。 人と人の信頼や信用を重んじる価値観がまだまだ生きているのです。 だから学生も大人の話に耳を傾けながら、目頭に涙を浮かべる様子も見かけました。 大人の話にじっと耳を傾けて聞き入っているのです。 こんなことはもう日本では殆ど見られなくなりました・・・

先に書きましたが、日本で働くことが憧れだけではなく、それ以上に一生懸命に働きたいという気持ちが嘘ではないことは、生徒の話や緊張気味の表情から分かります。 学生の親も日本へ行くことに当初は反対したようですが、結局は我が子の希望を応援している様子が感じ取れました。 意地悪な質問をして「もしご両親が反対されていたら日本へそれでも行きますか?」と聞いたところ、「行きません」という学生が大半でした。 今でも学生は親の最終決定に従う姿に日本との違いを感じました。 ましてや、兵役に2年ほど行って来ているのです。

一世代前の日本のように昔の話だからとか古いからということではなく、むしろ良いことを捨ててしまった、置き去りにしてしまった、見た目の欲しいものと交換してしまった、そんな日本があります。 このままで良いのだろうかとさえ思ってしまいます。 特に、家庭内で親の影響力が薄れてしまった日本では、強い者が弱い者を支配し、正直者が損をしてしまう、そんな社会になってしまいました・・・ 今や企業経営者の価値観も随分と様変わりしました・・・

昨年だけでも老舗とか高級とか、まさかと思われる企業が不正を行っていることが暴露されました。まさかという信用の高い企業で起こったこれらの不祥事は日本企業の一部に過ぎないことを意味しています。 多くの企業で善悪よりも損得が優先されています。 一瞬だけ魔がさしたのかも知れませんが、それでも信用や信頼は失墜します。

そんなことがこれらの生徒を通じて思い出されてしまいました。 かつは日本もそうであったと思うのです。 豊かになるにつれ、価値観が心という無形のものからお金やものという有形ものへと変わり、そしていつも間にかものに支配されてしまった日本人になってしまいました。

私は韓国の若い人であろうが日本の若い人でもいいのです。 一生懸命に一緒に働いてくれる人なら、それで結構なのです。 国籍という見えない壁があるでしょうが、そんなことは構わないのです。 人間として基本条件が揃っていれば、後は本人の努力だけでの話なのです。

帰りの飛行機の中でこんなことを考えていました・・・ 関空とインチョン空港はたったの1時間40分で結ばれています。 格安チケットを使えばビックリするほどの価格で往復出来ます。 大阪と九州の実家を往復することと時間も料金も変わりません。 こんな時代だからこそ、何が大事なのか改めて自分に問いただして対策を決めることが大事ではないでしょうか?・・・ 私は学生に会って決心しました。 韓国の学生を社内に入社させることを決めました。 社内が変わるか否かはやってみないと分かりません。 だから、やってみる価値があるのです。 韓国は近くて遠い国でしたが、今やそうではないと強く感じた出張でした。

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