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  • 執筆者の写真株式会社ビジョンクリエイト

自分探し 第45号

すっかり梅雨入り前というよりは、初夏を思わせる季節になって来ました。 街中で新入社員の姿が目立たなくなる、そんな季節でもあります。 徐々に、社会や先輩達の流れに従って動き出したのかも知れません。 当社ではまだ新入社員を迎い入れる規模にはなっておらず、有料の即戦力採用にて採用を行って来ました。 その採用面接で思うことの一つに「自分探し」があり、今月はその話をしてみたいと思います。

さて、現在までの15年間に採用面接を行って来ましたが、その対象者数は数百人から千人までの範囲だと思います。 そんな面接を通じて、目標を持っていない方に出会うことが度々ありました。 目標とは、自分の一生を通じての生き方であり、一生をかけての仕事観や職業なのです。 多くの方が具体的に考えている時間は3年から5年位の期間までで、割りと明確な目標を持っているのですが、それ以上となると考えても確実性がない為なのか、それとも変わるに決まっているからでしょうか、具体的に考えている方は少ないと思います。 むしろ、漠然とぼんやりと先にある問題だと感じているようです。

しかし、よく考えてみて欲しいのです。 自分の人生とは、かけがえのない、二度とない、自分だけに与えられた人生です。 他人とは違う自分という肉体と頭脳と能力を持った自分だけのものです。 そのうえ命は、たった一つしかありません。 こんな人生をより良く生きたい、充実したいと思うのは当然であり権利でもあります。

話は変わりますが、幕末に活躍した志士たちは20代から30代の若者達でした。 長州にも薩摩にも高知にも、それ以外の国元にも大勢いました。 その多くは、日本国の将来を憂い、日本国を守ろう、日本国を強い国にしよう、日本国を栄える国にしよう、そんな気概を持った多くの若者達でした。 しかし、彼らには元々そんな日本国全体を考える程の高い教養や見識はなかったと思うのです。 そこには必ず見識を高く、人の道を説く指導者というべき「教育者」がいました。 長州なら吉田松陰、薩摩なら島津斉彬公、他の藩でも同じだと思います。 身分の上下や貧富の差など関係なく若者達を育てました。 その若者達は日本国中を駆け巡り、人に会い、人と話し、人と交わり、更に大きく成長して行きました。 その実例は、この大阪のど真ん中にもあります。 適塾です。緒方洪庵の私塾ですが、全国からその高名を聞き多くの生徒達が集まりました。 生徒には町人もいれば、農民、或いは下級武士などもおり、学費も安く少しでも学習する志があれば洪庵は迎い入れたのでした。 この塾からは本来の医者だけでなく、教育者や政府の要職についた人物も輩出しました。 医者を育成することは勿論のこと、それ以上に人(=若者)を育てたからです。 塾頭だった福沢諭吉が後年に、こんなことを話しています。 「自分の一生の中であれほど懸命に勉強をした時期と後にも先にもない。机にかじりついたまま眠ったかと思うと、またそのまま起きて勉強を続けていた。そんな日ばかりが続いた」と。

こんな話から私は、元々素晴らしい素質を持った人間はそれ程いるものではないと思います。 多くは平凡で先のことなど考えていないような若者だったが、素晴らしい師と出会い、薫陶を受け、次第に目醒め成長を遂げて行くのではないかということです。

これは企業にあっても同じことだと思うのです。 かの松下幸之助氏のように「松下電器は何を作っているかと聞かれたら、人を作っていると答えなさい」という示唆に富んだ言葉も残されています。 企業で最も大切なことは「人つくり」だと思います。 まだ一生を通じての目標はないけれど、人より感化を受け、次第に自分に目醒めて行く、こんな若者を育てる経営者が必要なのだと思います。 企業の業績が良くなる、規模が大きくなる、立派になる、そんな過程には経営者の哲学なり、人生観なりが色濃く反映され、そこで働く社員達を惹きつけ、勇気や本気さが増すのではないでしょうか。

先に採用面接で出会った方に自分探しの途中だったり、考えてもいなかった方が多いと書きましたが、当社での面接がキッカケとなって悩み始めたり、再考し始めたり、他の分野に行かれる方も多いようです。昨日もそんなメールが来ました・・・

自分探しはとても大事なことです。 自分の一生の進路を決めます。 自分探しは一生続きます。

他業界から転職希望者の半分は時代的な先端職業への憧れで、残り半分は情報化社会という背景から来る職業の将来性にその理由があるように見受けます。 また、同業他社からの転職組では、技術的にもっと上の仕事がしたい、給与が低い、尊敬出来る先輩社員がいない、会社に魅力を感じない、・・・こういった理由が大半のようです。 こういった転職希望者の多くに「自分探し」が完了していない方が多いと感じます。 自分の一生を通じての仕事は何なのか、仕事に求めている最も大事なことは何なのか、ずっと一生、選んだ仕事をやって行く覚悟はあるのか、・・・こんな内面が浮び上がってきます。

職業選択の自由な時代、ものが溢れ欲しいものがすぐにお金さえあれば手に入る、欲しいもの自体が特にない、頑張れと言われても何で頑張らなければならないのかが理解出来ない、自分の意思で決めたことが少なく周りから決めて貰ったことが多い、整理が出来ないままに時間が過ぎていつの間にか流されてしまう、自分に関わりのないことには無関心、・・・こんなことをつい感じます。

当社で「人生相談」みたいな面接になると、初めて本格的に自分自身を見つめ直すことになったり、応募した道とは別の道を選ばれる方も多いようです。 「選択」と「決意」は違います。 人生では決意の方が大事です。決意した志を持って生き続けて生きたい。

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