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車内広告 第103号

私は交通機関に乗ると、よく車内広告を眺めます。 今は地下鉄の利用が多いので、そこで見かけた話題を話したいと思います。

車内広告は社会の移り変わりを反映していると思います。 季節、休み、イベント、食べる、買う、・・・といった対象掲載が多いのですが、ここ1年ほどでしょうが、司法書士事務所の「借金返済が軽く済みます」とか、「返し過ぎが戻ってきます」といったポスターが多くなりました。 それだけ苦しんでいる人達がいるという裏返しなのでしょうが、ただそれだけで車内広告は良いのかという疑問があります。 車内広告がますます週刊誌化している気がしてならないのです。 「痴漢は犯罪です!」もその類だと私は思います。

勤労者にとって、例え、短い時間でも「ホッとする」とか「和む」とか、「成る程なあ」とか、「気持ちが休まるなあ」といったポスター等は張れないものでしょうか?・・・ 余談かも知れませんが、聞き取りにくい車掌さんの通り一遍の挨拶にも全く私達は反応すらしなくなっています。 ましてや、和みなど全くありませんし、それどころか、何を喋っているのか全く聞き取れない車掌さんもいます。 こんなこと、ちゃんと研修や教育はしないのでしょうか?・・・ 相手(=乗客)にとって、どう思われるかの研修や教育は無駄なのでしょうか?・・・ 民間では当たり前のこととしてやっています。

危険物とか、痴漢とか、乗り換え案内だけでなく、人間が乗っているのですから、たまには何か気の利いた話は出来ないものでしょうか?・・・ 以前、韓国映画で地下鉄の運転手役が主役だったものを観たことがありますが、その電車の車掌さんは人気のある車掌さんのようで、面白いことを車内放送で話していたりして、乗客が笑ったり和んだりしていました。 こんなこと夢なのでしょうか?・・・

話は戻りますが、少し前までは景気の影響で車内広告も少なく、空いているスペースも結構ありましたが、今は景気の戻りもあるようで、ホテルやレストラン、介護施設、結婚式会場紹介などの常連さんばかりでなく、墓地や遊園地など季節性のある案内も多くなってきているように思います。 広告収入も必要でしょうが、知らない人同士が乗り合わせているのですから、その間だけでも乗客を和ますようなことを考えてやってみたらどうでしょうか?・・・それこそ公共交通機関は出来ることだと思うのです。 広告でもいいし、車掌さんの話でもいいと思います。 軽音楽を流すのも結構、英語を流すのも結構、今日の出来事を流すのでも結構、天気予報でも結構、今日のイベントでも結構、 時間帯を考慮して企画してやってみたらどうでしょうか?・・・

大層にお金や人を使って、「大阪の地盤回復を図る」ことなんかより、地道だがいつでもやれることを確実に実現して、足元から変えて行くことの方が効果が本物になると思っています。 誰かが言っていましたが、御堂筋の並木に夜、イルミネーションをつけて活性化の一つにしたいというのは、至極尤もにも聞こえますが、植木から観たら迷惑至極の話だと言うのです。人間と同じで迷惑だというのです。人間の体に夜、電球を巻きますか?ということです。 自然生態系を人間の手で故意に変えてしまう危険性があるのではないかという危惧です。

りんごの無農薬、無肥料栽培で有名な木村秋則氏の著作にこんな文面がありました。 文面を正確に憶えてはいませんので意訳します。 原文で確かめて下さい。 神様が地球上の植物や動物など生命のあるもの全てに願いごとを聞いたとします。 人間は「家族が無病息災で幸せであって欲しい」と。

では、人間以外の生物は何と答えたと思いますか?・・・ ・・・・・ それはこうです。 「この世から人間はいなくなって欲しい」と・・・

木村さんは11年間かかって、りんごの無農薬、無肥料という前代未聞の栽培法を確立されました。 付近の農家からは変人扱いもされ、回覧板も回ってこなくなり、生活も困窮し、娘さんに買えるものも買ってあげられなかったそうです。 それでもやり続けた方です・・・

私自身もこの仕事に携わる前に、きのこに人工栽培をした経験がありますので、自然の正直さは少しは理解している積りです。 気を抜いたら抜いた分、きのこは正直に成長して、売りものにならないものが出来上がります。 カビが生えたり、傘が大きくなりすぎたり、黄色に変色したり・・・と。 本当に不思議ですが、自然は正直でピュアな生命体です。 私達も本来はそうだった筈ですが、余りにも多くの環境に挟まれ生きている間に、麻痺する生き方も憶えてきたように思います。

最後になりますが、せめて、地下鉄の車内は工夫できることが沢山あると思いますので、関係者の方々には是非とも知恵と工夫をお願いしたいと思います。

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