この11月は嬉しい出会いが幾つかありました。 音信が途絶えていた、数年以上前にお会いしていた、共通の知り合いがいたといった人の縁がありました・・・
いよいよ今日から12月です。 来年へ向けた準備も本格化しますが、その代表例が年賀状です。 私は日常的にパソコンを利用しており、メールも活用していますが、年賀状は特別です。 メールは使いません。 確かにメールは便利ですし、大勢の人へ同じ文章で送信しているのが分からないようにして送信することも出来ます。 しかし、正直なところ、手間暇をかけているとは言い難いのではないでしょうか。 手間暇をかけることが、どれだけ面倒で大変なのか本人が一番良く分かっています。 だから、年賀状には戻りたくない人も結構いるようです。
私は3,4年前まで手書きで両面を書いていました。 が、印刷やプリンターの味を覚えるともう後戻りできなくなってしまいました・・・ 簡単で楽で綺麗だからです。 しかし、どこか画一的で特徴のない年賀状になってしまうばかりか、我が家での風物詩であった年末の夜なべがなくなりました。 女房と二人で夜中まで、書いたばかりの乾いていない年賀状を床一杯に広げることもなくなりました。 書いても書いても一向に減らない年賀状を見ながら、書き損じたり辞書で調べたりといった時間が懐かしくさえあります。 手書きはそれはそれで大変なのですが、書き終わった時や投函する時の喜びは、苦労して山頂に辿りついた登山家のようです。 確かにプリンターでは便利で美しいのですが、便利さと引き換えに何かを忘れて行くような気がするのです。 時間がなくて忙しいからこそ、その時間を割いてその人の為に書く、これ以上の気持ちの込め方はないと思います。
このことは、企業の社会奉仕活動で欧米との考え方の違いを聞いたことと類似しています。 向こうではどんなに偉く忙しい立場の人でも、実際に自分の時間を割いて奉仕活動をするのだそうです。 ところが、日本では時間がないからとお金を寄付することで終ってしまう人が多いのだそうです。 これは成る程なあと思う話です。 誰にでも時間は共通に一日は24時間あります。 寿命の長短はあるにせよ、一秒という時間は誰にでも共通で貴重な財産です。
その貴重な時間を割いて参加することが尊いという欧米の考え方に比べ、そんなことは余り考えない日本では、人生観や社会観の違いを感じるのです。
15年前、初めて会社経営をやった際に、ある友人がこう言いました。 「はしげんさん、年賀状って何枚書いている?」と。 「200枚ちょっとかな・・・」 「だめだなあ。1000枚書くようにならなきゃ」 「1000枚??」 「そう、それ位書かないと・・・」 「ウ・・・ン」 それから15年・・・、未だに枚数は300枚です。
縁が薄くなって書かなくなった人、消息が分からなくなった人、書かなくて構わないと自分からは出さなくなった人、返事が来ない人・・・・そんな様々な理由で人の縁をコントロールしていました。 だから、15年経っても個人用と合わせて450枚程なのです。
年賀状も人の縁に関するものですが、人の縁は不思議なものです。 人が人と繋がっているというのは、大きく見ると、全く赤の他人でもひょっとしたら共通の知り合いを何人か通じて繋がっているのかも知れないということです。 人は全く知らない人よりは、誰彼を知っているといった方が警戒心は緩みますし、会話も弾みます。 また、人の縁は自分から切らない限り続く可能性があります。 勿論、相手から切られることもあるでしょう。その時は自分がそれだけの人間だったということなのです。 何かしら印象や心に残る人間なら相手も憶えてくれていると思うのです。
現在、日本人の寿命は男子が78歳、女性が85歳です。 その間にどれだけの数の人に出会い、どれだけの人に刺激を貰い自分を少しでも高めることが出来たかが人生の転機にもなるし、人生の成果にも繋がると思います。 生きていることは死ぬことに一歩一歩近付いていることです。 生きていることは多くの能力が減退して行くことです。 そんな中、一つだけ伸ばし続けて行けるものがあります。 それは知己や友人の数です。 これだけは新しい出会いがあり自ら消し去ることがなければ確実に増えると思うのです。
ソニーの故盛田会長は世界中に4000通のクリスマスカードが送れる友人や知己を持っていたと何かの本で読んだことがあります。 人生は人との出会いで感化を受け、自らを成長させてゆく繰り返しです。 幕末の薩長土肥の若者達も20代で感化を受け、人の為、日本の為に命を投げ打ったのも元々は師と仰ぐ人との出会いから始まっています。 縁を大切にするということは、現代でも立派に通用する非常に大事な人生訓なのではないでしょうか?・・・ その為には、より多くの方に出会い、頭でっかちにならず素直に心で話を聞くことが大事だと思います。 人生は可能性に溢れています。 人との縁はその人の財産です。 縁を大切にしたいと思います。
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