中小企業の経営者が抱える3大悩みは、1番目がお金、2番目が人材、3番目がこのままでいいのかといった事業目標や方針ではないでしょうか?・・・ 永い間、人、もの、お金と言われて来ましたが、中小企業では少し違って来ているように思います。
やはり、その一番は「お金」ではないでしょうか?・・・
私を含め中小企業経営者には、お金で苦労している人が実に多い・・・ 大手銀行の経営者向けセミナーでも、日本の中小企業の8割が赤字だと言われていましたし、実際に公的融資機関にはそんな経営者の姿が尽きません・・・ 反面、新聞紙上では円安により、アベノミクス効果や思い切った日銀政策により、大手企業の収益がアップしたとの記事が毎日のように書かれていますが、その実感は中小企業にはないように思います。 果たして、お金で苦労している私を含めた中小企業経営者は、いつになったらお金が足りなくなる心配から開放され、気持ちの自由を満喫できるのだろうかなどと思ってしまいます・・・
経営は結局、経営者自身の姿を写し出している「鏡」なのですが、経営者といえども一人間です。癖もあれば、癇癪って起こします。 聖人君子のようになれたら経営が安定し心も穏やかになり、お金にも困らなくなるようなことはないと思います。 例え、経営規模が異なろうが、経営者が油断すると奈落の底へ突き落とされてしまうことは大企業も変わりがないと思います。 現に、大幅赤字の家電メーカーの経営者は、夜もろくに寝付けないのではないだるうかと思います。 その責任の重圧は私の比ではありません。
よくよく考えてみると、この世に生きている限り、「お金との縁」は切れません。 生れた時には、病院や産科にお金がかかるし、死んだら死んだで葬式代やお墓や供養、飲食に、これまたお金がかかります・・・ この両者の間、つまり、生まれた時から生きている間、ずっーとお金との縁は切れません。 むしろ、かなりその縁は大きいと思います。 また、古代からお金にまつわる人間の欲望や富への執着、落とし入れ、騙しなども後を絶ちません。
生きている人間の大半の悩み、苦労、欲望などが即座に解決される力がお金にはあります。 だから、人間は苦しみや欲望から解放されたいと、お金を欲しがることは仕方ないと思います。 幾ら、偉そうなことを言ってみてもお金がなくなれば、会社の経営者など周囲に迷惑をかけるばかりで、場合によっては社員の人生までも狂わせてしまうことになります。 お金は大切です! お金には大きな力も備わっています! しかし、どうすればそのお金をより入手出来るのかが難しい・・・
今、投資セミナーが主婦や退職者、あるいは資産家に大人気だと聞きます。 確かに法的に問題はないし、自分のお金だし、羨む必要も妬む気持ちもありません。 しかし、汗水流して働く労働の価値や尊さとは絶対に違うと思うのです。
私が愚鈍なのか、それとも時代が変わり働き方が違って来たのか、私自身には妙に違和感を憶えてしまいます。 でも、私もお金は欲しい・・・切実に欲しいです・・・ 1年や2年は心配しなくてもいい経営者になりたい。 本当にそうなりたいと毎日、思います。 しかし、自分の甘さからか、我慢の足りなさなのか、或いは人への優柔不断さなのか、そうはなっていません・・・
松下幸之助氏がこんなことを言っています。 「世の中に儲からない商売などありません。どんな商売でも儲かるようになっています。儲からないのは、儲からないようにしているからです」と・・・
この言葉に経営者としての強い決意や厳しさを感じます。 この言葉の通り、周囲や環境や人ではなく、問題は自分にあるということは何となく分かっていても、甘い自分にはその厳しさが欠けていたり、逆に温かみも欠けているように思います。
かつて、私の知り合いに近所でも有名な子育ての上手なお母さんがいました。 その方に、子育てのコツを聞いたことがあります。 「何も難しいことはしていません。間違ったことをした時は叩いてでも叱りますし、正しい良いことをした時には、強く抱きしめてあげます。子供は小さい頃は、やっていいことと悪いことの違いが説明しても分かりません。でも、叩かれたり、抱きしめたりされれば子供は自然に、どんなことが良くて、どんなことが悪いことなのか分かるようになります」と。 扱いを一歩間違えれば、今や虐待と言われかねません。 そうなれば、子供は間違った方向へ進むでしょうが、そうはなっていませんでした。
この話には大事な土台があります。 それは「愛情」です。 愛情があるから、叱ったり、褒めたり出来るのです。 これは会社でも同じだと思います。 会社では四六時中、一緒に生活などしていないので、どうしても本人のことが全て分かっている訳ではありません。 また、会社が大きくなれば個々のことなど分かりはしません。 だから、どうしてもルールが必要になるし、目先も行き届かなくなります。 こうなると、個々の力は活かされなくなり、会社の業績も下り気味になります。
この話を当社に当てはめれば、60名にも満たない会社が、お金の苦労から抜け出せないのは、私自身の精神的な甘さに端を発した、個々の力を最大限に引き出せない、私の弱さや甘さが根本の原因なのだと思います。 つまり、私の指導に問題があるのです。
以前、ある大手生保の役員だった方から、こんな事を聞かれたことがあります。 「今、一番、悩んでいること、苦労しているは何ですか?」と。 私はすぐに「お金です!」と答えました。 すると、「そうですか、お金ですか・・・ まだ最初の段階ですね」と言われました。
その方によれば、経営者の悩みには4段階あるそうで、その最初の段階が「お金」だそうです。 お金の悩みも大変なのですが、それを通過出来ても、次には別の問題、更にそれを乗り越えても、更に別の新たな悩みが待ち受けているのだそうです。 「そんなに経営とは大変なのか?、楽になることなどないのか?・・」と思い、そんなにエネルギーが残っているだろうかと思いました・・・ 本当に経営者は大変だなと思うと共に途中下車出来ないことも事実なのです。 いろいろ書き綴って来ましたが、要するにお金は最初の悩み、段階にすぎないのです。早く通過したいと切実に思います。
奇しくも、京セラの稲盛名誉会長が言われるように経営の計算式は、至極、簡単です。 売上 - 経費 = 利益 利益は結果です。プロセスの結果に過ぎません。 無駄な経費を抑え、売上を伸ばす、このシンプルな式の中に精神を集中して、トコトン知恵や工夫や努力を行う愚直な継続こそ必要なのだと反省しています。 全ては自らが源なのだと思います。 お金は上の計算式の結果に過ぎません。 結果を追い求める考えではなく、結果が残せる経営をしなければなりません。 その為に必要なのは「売上確保」なのです。 ここが足りなかったと素直に思います・・・ お恥ずかしい話を今月はしてしまいましたが、私とて人間です。 心から吐き出すことによって、瞬間的でも楽な気持ち、前向きな気持ちになります。 事実は昨日も今日も何も変わりません。 自分と戦い、明日を変える必死の努力をしなければ、少なくともチャンスは手に入らないのです。 日々、努力する、昨日よりも努力する、この一念が必要なのです。
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