先日、久し振りに硬派の西部劇を観ました。Netflixのオリジナル映画ですが、7話から構成されていて一言で言えば結構、ハードな凄い映画でした・・・邦題は「神の消えた町」。
随分前に本場アメリカを凌いで世界的に大流行したイタリア産のマカロニウェスタンの再来のようにハードな西部劇でした。今回はこの話を紹介します。
舞台は19世紀後半、アメリカのニューメキシコ州にある小さな町”ラ・べル”です。
この町には小さな鉱山がありましたが、ある時、坑内で事故が起こり、多くの男達が亡くなってしまいます。こんな大変な時によくある西部劇の筋書きのような各地で悪行を繰り返すならず者達30名程が、その町を自分達のものにしようと、夫を亡くし子供達もいる女性達が中心に立ち上がり、そのならず者達相手に犠牲者を出しながらも銃を手に取って戦ったストーリーでした。
町を守る多くの女性達と少数の男性達は、そのならず者達と激しい銃撃戦を繰り広げますが、その迫力が銃撃戦で激しく、思わず凄いなあと唸ってしまう程でした。女性達の多くは銃の撃ち方も碌に知らない人達で町の建物内に隠れてかたずを呑みながら、ならず者達がやって来る瞬間を今か今かと固唾を呑んで息も殺して待っていました・・・
そして、ならず者達と女性達の間で一発の銃声から、いきなり激しい銃撃戦が繰り広げられます。ならず者達は銃の扱いには当然慣れていて射撃も正確なのですが、女性達は最初はなかなかうまく撃てずに相手に当たりもしませんでした。
町には保安官もいたのですが、その保安官は炭鉱会社の回し者で住民の味方とは言えない人でした。女性達の仲間の中には元ならず者達の仲間だった若い拳銃使いもいましたが、戦いの中でならず者達から裏切り者としてナイフを投げられ死んでしまいます。また、元々、保安官もいたのですが、その時は町を離れていて悪党達が暴れている頃には町にいませんでしたし、その間に勝手に保安官になった炭鉱会社側の保安官など知りもしませんでした・・
(実はこの本物の保安官は凄腕で悪党のリーダーとも以前に面識がある人物でした)
町には少しは男達が残っていましたが、バーの使用人や店等をやっている年配者達でした。銃も決して上手ではありませんでした。このように鉱山会社に雇われていた素性の悪い男達や町を留守にしている保安官の代わりに勝手に保安官になった悪党もいたり、後は年を重ねた店員などでした。
この映画を観始めた当初は、大して面白いとは思わずにいたのですが、次第にその残酷性やこれでもかというシーンを観ている内に妙に引き付けられてしまいました。そのならず者達のボスが前にライフルか銃で自分の左腕を失ったにも関わらず、その左腕を布にくるんで持ち歩いている異常さと敬虔なキリスト教徒で博学でもあったことにも興味を持ちました。賢くて博識なのに、どうしてこんな悪行を続けるのか最後まで分かりませんでしたが、残虐な反面、妙に優しく道理が通じる面もあり、そのボスの生い立ちや経歴に興味を持ちました・・・
私自身、西部劇は殆ど観ないのですが、観たことがあるのはジョン・フォード監督の古き良き時代のジョン・ウェイン主演作などです。ジョン・ウェインは男らしく、逞しく、明るく、大酒飲みで、下の面倒見も良く、ひと昔前はアメリカ人の好むリーダー像でした。特に記憶に残るのは騎兵隊や牛追いカウボーイでした・・・
このジョン・ウェインが一度だけ私の好きなカントリー歌手のグレン・キャンベルと共演した「TRUE GRIT」、邦題は「勇気ある追跡」は特に何回か観ました。ジョン・ウェインはよくある西部劇の主人公と同じで大酒飲みで、テレビ番組に出演する際にも落ち着く為にウイスキーを飲んでから出演したという逸話が残っています。正に一昔前のアメリカを代表する男性ヒーローです。この映画では刹那的な背景を持った、ならず者達のボスとは対照的ですが、実際に西部開拓時代いはいろいろな人達がいたんだろうなと思います。そういった文献も読んだことがあります。
さて話を戻しますが、そのならず者達30人が大挙して町へ襲いかかって攻撃を始めます。馬に乗って銃を撃ちながら押し入って来るのです。待ち構える女性達はテーブルの裏や壁の陰に隠れて悪党共の襲来に備えてじっと待ち続けています。
やがて、町はずれの遠くに大きな砂埃が見えて来ます。次第にその砂埃がどんどん大きくなって、とうとう町へ荒くれ荒くれ共が一斉に銃を所構わず撃ちながら押し入って来ます。
ライフルを構えた女性達はすかさず撃ち返し始めますが、なかなか当たりません。それどころかならず者達に撃たれる女性すら出始めます。ならず者達は更に襲い掛かり、女性達が隠れていた建物の中まで馬に乗ったまま押し入って来ます。一部は二階へまで馬に乗ったまま駆け上がっていく者もいます。そして、松明を建物へ投げ入れて行き、町全体が激しい戦いの場と化します。女性達も撃たれるわ、ならず者にも当たるわで一体どれほどの銃弾が飛びかったか分からない程すさまじい銃撃戦が続きます・・・
その内にも建物は次第に焼け始めていきます。その熱さに堪らず我慢できない町の人達が建物の外へ逃げ出そうとするとならず者達に撃たれてしまったりします。そんな場面が続きます・・・
こんな銃撃戦の真っただ中に、町を離れていた本物の保安官が戻って来ます。この凄まじ銃撃戦の中で生き残っているならず者達のボスと保安官は結局は一騎撃ちとなり、保安官が勝ち残ります。実はその保安官はならず者達のボスと顔見知りで、実は保安官自身も以前はそれなりに有名なガンマンだったのです。勿論、保安官は悪党ではありませんでしたが。
いろいろ細かい話やシーンが私には描けないですが、この最後に残った女性達と悪党共の打ち合いは凄かった・・・銃弾の数が凄くて印象に残りました・・・
アメリカの西部開拓時代はこんなこともあっただろうと思います。
私もアメリカやオーストラリアへ行った時に100年以上前の古い建物の中でセピア色した当時の本物の写真を見かけたことがありますが、当時の住居や服装や食器などは、正に映画の世界そのものでした。祖先の写真や両親や兄弟の写真もあり、町の様子や馬や建物や当時の人々の写真に心を奪われました。その頃、日本は江戸時代末期でしょうか・・・
実は私自身が西部劇やカウボーイに憧れがありました。その憧れはカントリーソングから来ているのですが、日本ではそのファン数はそれほど多くはありません。本場のアメリカでは日本には知られていない歌手が大勢います。また、カントリーは一度好きになるとなかなか離れられなくいなります。テンポが良かったり、歌声が独特だったり、情勢歌手に美人が大語りと話題は多いです。また、男心を歌った曲や失恋の曲や或いは自然を歌った曲など多彩で歌手も多く、楽器も独特で奥が深いジャンルだと思います。
カントリーの背景にはアメリカの歴史があり、you-tubeやDVDでは西部にある牧場なども良く使われています。服装もGパンを着ているシーンも多いです。このGパンですが、私の10代の頃は不良の男が着るものだと言われていました・・・ジーンズなんて言い方は当時はありませんでした。私には今もGパンです。
このカントリーも元は労働者の作業の合間や働いた後に楽器を持ち寄って生まれた音楽ですので、風景や服もそんな感じが似合うのかも知れません。そのカントリーが好きになってから半世紀も過ぎてしまいました。ファン歴は永いのですが、うんちくはそれ程知りませんので今もyou-tubeで、懐かしい歌手や新しい歌手をチェックしています。
先日もTammy WynetteやJim Reeves、Loretta Lynnを聴いていて、懐かいやら聞き惚れるやら、やはりいいものはいいと聞き入ってしまいました・・・
特にタTammy Wynetteは声自体がカントリー向きで、哀愁やどこか暗い影みたいな部分を持っていて歌を聴いていると心に沁みて来ます。いわば明るい曲でもどこか違う曲に聞こえてしまう歌手です。カントリーは日本の演歌と同じだと言う人がいますが、カントリ―とは違います。今回の西部劇のGODLESSにもカントリー曲が何曲か流れていたら、もっと映画の味が深まるのになあと思いました・・・男性と女性の歌手がいいと思います。
今月は西部劇とカントリーの話が混ざっていますが、実はカントリー音楽のメッカであるナッシュビルには行ったことがりません。死ぬまでに行けたら本望だと思っています。
最後に好きなカントリー曲を勝手に一曲紹介します。
良かったら聴いてみて下さい。これがカントリー?と思ったら、カントリーも裾野が拡がっています。私の最も好きな歌手、グレン・キャンベルが歌う“Try a little kindness” です。
勿論、you-tubeからの引用です。
“ちょっと優しいことしませんか“ という意味です。
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