「Man is mortal.」高校1年のときに英語の授業で習いました。わずか3単語の文章ですが、「人間は死すべき運命にある」という重いメッセージを伝えています。
人生は一回しかありません。すべての人間はいつか死にます。我々人間が生まれ、死んでゆくのと同じように、恒星にも一生があります。太陽も恒星の一つですから、いつかは死にます。太陽の寿命は約100億年といわれています。現在の年齢は推定50億歳だそうです。
そして、太陽が死ぬ前に、膨張していく太陽に飲み込まれるため、”地球最後の日”が必ずやってきます。では、”地球最後の日”に人類も滅亡すると思いますか?ここに一つのすばらしい小説があります。「2001年宇宙の旅」の原作者として有名なSF界の巨匠アーサー・C・クラークの傑作短編「太陽系最後の日」(ハヤカワSF文庫『明日にとどく』所収)です。
ひらひらとした触手・ひとりの双子兄弟・銀河系に散らばる細胞の集合体のひとつ・・・などの異星人たちが、200光年かかって届いた電波信号を検知し、太陽の” 新星(ノヴァ)”化により消滅する”地球”の唯一の知的生命体・・・すなわち”人類の救助”に向かいます。
「われわれはいま、ある恒星に近づいており、それは新星(ノヴァ)と化そうとしている。爆発は7時間後に起きるから、1時間の誤差を見こむと、探検に残されたのは、最大でわずか4時間ということになる。破滅に瀕している太陽系には10個の惑星があり─その3番目(すなわち”地球”)には文明・知的生命体が存在する。その事実が発見されたのは、ほんの数日前にすぎない。その”悲運の種属”と接触し、可能であれば、その成員の一部を救出するのが、われわれに課せられた悲しむべき任務である。」
降り立ってみると、稼働中の”惑星間通信”の”電波ステーション”を残して、”放棄された空港”・”自動地下鉄”などがあるのみでした。太陽爆発の瞬間まで捜索が行われましたが、人類の存在を見つけることはできませんでした。
いったい人類たちはどこに消えたのか・・・異星人たちが、”電波ステーション”から発信されている映像通信が送られている方向の宇宙空間を捜索してみると、異星人たちが初めて遭遇する”驚愕の事実”を知ることになります。
まだお読みでない方には是非一読をお奨めします。結末はあえて書きません。そこにあるのは、人類は決してあきらめないという、”人類賛歌”です。
[誰にいつなんどき何が起きても悔やむことがないように]:
星の一生に比べると人間一人の一生は、ほんの瞬間です。しかし、みなさん自身にとっては実にかけがえのない一生のはずです。コンピュータ(情報技術)は、みなさんの”未来”・”将来”を予測し、シミュレーションできる能力を持ちつつあります。
しかし、誰もが突然”事故”や”災害”に遭うかもしれません。”一寸先は闇”です。私自身も自転車に乗り、横断歩道を青信号で渡ろうとしたとき、手前の左折車から一回・・・その数年後には、向こうから右折してきた車に一回跳ね飛ばされ、自転車に乗ったまま、空中で回転してそのまま車道に激突した経験があります。自転車は二回共破壊されましたが、いずれも足腰の打撲で助かりました。もし、頭から落ちていたら即死くらいの衝撃でした。私よりも車の運転手さんのほうが”顔面蒼白”で”悲壮”な感じでした。そりゃそうでしょ、自分の前方確認不注意で一生”人殺しの汚名”を背負っていく”寸前”でしたから。
みなさんも、そのような経験はおありだと思います。とくに大阪では、車で”阪神高速”に乗ったら、危険運転の人だらけで、これまでよく生き延びてこれたなと、何度かあった接触の瞬間を思い出してもぞっとします。十年前に大阪で車に乗るはやめました。
お笑い芸人のヒロシさんがBGMに使うテーマ曲は、イタリアの歌手・ペピーノ・ガリアルディさんが歌う「ガラスの部屋」です。[ケ ヴオーレ クエスタ ムーズィカ スタセーら]・・・今夜この曲は何をしたいというのだろうか…ヒロシです・・・のネタにこんな傑作があります。「自分の寿命がわかるというゲームをやってみました。2年前に死んでいたとです。」 ヒロシです・・・ ヒロシです・・・ ヒロシです・・・
朝日新聞の「むのたけじ」さんが「日本で100年、生きてきて」というすばらしい著作 (朝日新書)を遺しています。私たちは何のために生まれてきたのでしょうか。それは喜ぶため・楽しむため・・・だと書いておられます。なんといっても”今”を楽しく生きるべきです。「明日があるさ」といって、”楽しみ”を明日にとっておくのは構いません。しかし、現代人は、将来の”見果てぬ夢”のために”今”を犠牲にしすぎてきました。幼少期からはじまる習い事・受験地獄・就活・婚活・昇進昇格レース・転職・起業・・・いったい何のため誰のためにそんなに戦い続けるのでしょうか。もちろん働くことは大事です。しかし、戦争や争いはもうたくさんです。
“見果てぬ夢”(The Impossible Dream)は、ミュージカル「ラ・マンチャの男」で歌われる劇中歌です。フランク・シナトラ、アンディ・ウィリアムス、トム・ジョーンズ、エルヴィス・プレスリーらがカバーしています。同曲は、劇の中盤でドン・キホーテが歌い、”見果てぬ夢”を追う熱い意志が込められたコーラス部分は、ミュージカルのラストでも大合唱によって感動的に繰り返されます。「ラ・マンチャの男」は、セルバンテスの小説『ドン・キホーテ』をもとにしたミュージカル作品で1965年にブロードウェイで初演されました。
『The Impossible Dream』 作詞・作曲:ジョー・ダリオン/ミッチ・レイ
To dream the impossible dream “見果てぬ夢”を夢みて・・・
To fight the unbeatable foe “絶対勝てるわけない敵”と戦い・・・
To bear with unbearable sorrow 耐えがたき”悲しみ”に耐え・・・
To run where the brave dare not go 勇者さえも行かない場所へ向かう・・・
[一日の終わりに感謝をこめて]:
みなさんは、今日が終わったときに、いつも思い残すことはないと言えますか。もし、今日が”地球最後の日”だとしたら、あなたなら何をしますか。こういうことをしたかったと思い浮かぶことがあるなら、今からでもはじめたらどうでしょうか。ジョン・レノンさんがイマジンで歌ったように、“imagine all the people living for today”(想像してみて、みんなが今日のために生きているって・・・)もっと肩の力を抜いてみてはどうでしょうか。
極限まで自分を追い込み、男の意地をかけて戦い、燃え尽きた「明日のジョー」は、本当に幸せだったのしょうか。我々凡人には思い及ばぬ世界です。しかし、彼は最後の最後になって、「ふっふっふっ」と満足して笑ってました。
黒澤明監督の名作「生きる」の挿入歌「ゴンドラの歌」を、志村喬のように公園のブランコにでものりながら口ずさみつつ、”今”を生きる意味を考えてみませんか。
「いのち短し 恋せよ少女(おとめ)
朱(あか)き唇 あせぬ間に
熱き血潮の 冷えぬ間に
明日の月日は ないものを」
ついでにこんなのも・・・「どれだけがんばりゃいい誰かのためなの? 分かっているのに決意は揺らぐ。”結末”ばかりに気を取られこの瞬間(とき)を楽しめない・・・」・・・
今夜も寝るときには、毎日張りがあって、きょうも充実した楽しい一日だった、あしたのことはあした自身が心配してくださる・・・いつものように、あの人に「いつもありがとうございます。おやすみなさい。」とメッセージを送ってぐっすり眠りましょう。
以上
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