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vol.87-これでいいのかAI(人工知能)製品開発

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昨今言われるAIの問題点

AIの問題点

 AI研究者にとって、予測がはずれるであろう”10年後無くなる職業”・”ターミネーター的未来像”(機械が人間を攻撃する)・来るかどうかも分からない”シンギュラリティ”(AIが人間を超えて自律的に知能を拡大していく技術的転換点)などはもう飽き飽きしているらしい。

 そこで、できるかどうかは別にして、研究者やメディア報道を聴いていると、

1) AI は、“意味”が分かっていない。(“中国語の部屋”問題)

2) AI は、”答え”を示すが、なぜその”答え”になるのか”説明”できない。

3) AI は、原因と結果間の因果関係を説明できない。とくに、原因と結果の間にAIにとって未知の”第三因子”がある場合、それに気づけない。

 この三点がよく話題になるので、ここに着眼して考察する。これらの課題から、ばくぜんと AI は 怖い・・・とか、 AI は 無能だと、案じる人が多い。しかし、もし、AI の能力として 結論はこう・・・なぜなら・・・ というふうに、「意味解説機能」、「答え説明機能」、「因果関係説明機能」(第三因子示唆機能)をつくれば、もっとかしこくなるはず。

 こんなことでも考えないと、日本企業は海外勢、例えば巨大投資し、優秀な人材を囲い込みしている、GoogleやAmazonなどに勝てる訳がない。AI製品の”差別化要素”として、対象事業・対象業務の”ドメイン知識”が重要になるというのも研究者たちの一致した見解である。

 ビジネスモデルも考えずに、AIプログラマばかり育成するのはダメだろう。基礎研究がかなり熟してきているので、ここからはアイデア勝負になると考える。専門的な確固たる”本業”をもつ企業たちの出番だろう。

AIと囲碁

AIと囲碁

 そこで、囲碁を例に考える。囲碁・将棋のAIは人間に勝てるほど強くなったが、なぜその着手を選択したのか理由(意味・意図)が説明できない、分からないという問題がある。 囲碁で学ぶことは、まずどんなゲームなのかという基本的なルールがある。次に、

(1) 布石(盤面全体を見渡す)、

(2) 定石(局所的な標準手順)、

(3) 手筋(攻めの”筋”、守りの”形”)、

(4) 死活(実戦の死活)、

(5) 形勢判断(大局観)、

(6) 寄せ(計算に基づく)、

(7) コウ(コウ立て、コウの解消)、

(8) 攻め合い(一手勝ちを読む)とシノギ・サバキ、

(9) 捨て石(用済みの石)・・・

これらには、長年培った【知識】がある。他にも”俗手”・”本手”とか、”厚み”・”薄み”・”切り味”・”様子見の一手”とか、いろんなことが研究されている。

なぜ、いまの AI は 、こうした知識ベースを使わずに、機械学習・ディープラーニング偏重になっているのだろう。【知識】を使わないから、意味が分かっていない、なぜ、そんな答えになるのか説明できないという問題が生じる。知識工学の”知見”と、機械学習の融合を考えたらいいのではないか。

【知識】だけではうまくいかない理由は、今の技術が[暗黙知]を可視化し、[形式知]に完全かつ正確に変換する方法・手段を確立しようがないからだと思う。では、ここに機械学習する仕組みを応用したらどうだろう。囲碁・将棋のソフトをつくる人は、そのソフトよりも強い人がまず考えて知識ベースラインをつくってから、機械学習を開始すればよいのではないか。

実はこうしたことは、実世界でも同じことが言える。まず、ドメイン(業界・業務・現場の)知識のある人が、対象世界を観測・観察した結果の知識ベースラインをつくってから、AIと共同で学習するような仕組みが有効だと考える。ドメイン知識を整備せず、いきなり機械学習・ディープラーニングからはいったために、AIの出力結果が、ダメだと評価しているケースが多いように思う。つまり、従来技術からの連続性を活用するのが得策ではないか・・・こういう方向を研究してはどうだろうか。

AIで変わる仕事や職業に関する”ジレンマ”

10年後無くなる職業

元に戻って、”10年後無くなる職業”と言われている分野について、予測がはずれると考える理由を述べる。【AIの技術革新がすさまじい勢いで進む中で、これまで人間にしかできないと思われていた仕事がロボットなどの機械に代わられようとしている】というのは本当か?

コンピュータ(AI)に置き換えられる可能性が高いと言われている職業・仕事として、例えば、 ・銀行の融資担当者 ・・・ これなんかどうだろう。確かに、中小企業向け融資の場合、直近三か年の財務諸表分析(粉飾がないかどうかとか財務的健全性はどうだとか)と今後の事業計画に基づく貸金返済能力判定など、定量分析は機械的にできるかもしれない。

しかし、高度な”融資判断”ができるベテラン融資担当は、この経営者・この会社なら信用できるということについて顔色をみて面談するはず。融資専門家は、融資額や返済能力に関して定性的に吟味し、その経営者の”器”を推し量って、ひとつここは、この人に賭けてみようという思い切った決断をしているのではないだろうか。

経営者として本物か、偽物かと言うのは、直に話をすることで、熱意・誠意・執念などを感じ取るのである。ちろんそういう”直観”とか”勘”といったことも、将来的には機械化できるだろうが、メガバンクや地銀が、今後10年そこそこで、そこまでたどりつけるのかおおいに疑問がある。

その他にも、電話(コールセンター)オペレーターとかレジ係・集金人といった仕事も、人間という感情を持った相手に対して、苦情処理も含め”打てば響く”ような”臨機応変の対応”が可能なのか。 『ああ、アンタでは話にならん、上(店長とかスーパーバイザとか)を出してくれ。』というような状況が逆に増えたりしないだろうか。 こんなのでコスト削減やリストラができるのかなと考えたりする。

ITベンダ側としては、コンピュータ(AI)を使って、人間を楽にしませんか、サービス価値を高めませんかと提案する立場なので、いいことばかり並べたいのだが、今のところ、自信を持ってお客様に推奨するのは気が引ける面もあり、大変悩ましい話である。

誤審の多いプロ野球審判、不愛想なタクシー運転手(逆に物騒な乗客もいて)とかがいて、人間らしいドラマがあるほうが、世の中楽しいのではと思ったりする。 と言いつつ、きょうも、【AIいかがですかぁ?】という資料をまとめているところである。

多動力

多動力

2017年5月に出版されて以来、反響を呼んでいる堀江貴文氏の「多動力」。 ネット等では様々な意見がありますが、実に考えされられる所が多かったと感じております。

これからの時代、以下で堀江氏が著されている様に、「水平分業型」、縦の壁を越えるような取り組みをしていく必要があるのではないでしょうか。

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Iotという言葉を最近ニュースでもよく耳にすると思う。これは、ありとあらゆる「モノ」が インターネットとつながっていくことを意味する。 すべての産業が「水平分業型モデル」となり、結果〝タテの壁〟が溶けていく。 この、かつてない時代に求められるのは、各業界を軽やかに越えていく「越境者」だ。

(堀江貴文氏 「多動力」より引用)

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IT業界では、俗に「縦割り」と呼ばれる、組織やチーム体制を組む事が多くあります。 メリットの1つとして、1つの分野、又は、それぞれの専門分野に特化した組織やチームの体制を組む事により 作業の分担化、役割の明確化を行うことができます。

しかし、「縦割り」を行うことによる、デメリットもまた存在します。 「縦割り」をする事により、どうしても組織・チーム間での連携が薄くなる。場合によっては、サイロ化に陥る事も有り得ます。

IT業界に私共が申し上げるのも恐縮ですが、これからの時代、『”タテの壁〟を溶かす。』。 つまり『「縦割り」の壁を越える所から始め、新しい価値を作っていく必要がある』のではないかと思います。 弊社でも、現在IoTの事業に取り組んでおりますが、初めての取り組みという事もあり、苦戦する事も多々あります。

ですが、この苦労を乗り越えた時、弊社としての「多動力」=「弊社としての価値」が出来るのではと信じる次第です。

ビジョンマガジンを最後までお読みいただきありがとうございました。これからも、皆様に有益な情報を発信していきますので、今後とも宜しくお願いいたします!

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