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  • 執筆者の写真株式会社ビジョンクリエイト

当世気質 第54号

来月から多くの企業では「新」が付くことが始まります。 新年度、新組織、新給与、新任者、・・・などです。 そして、何よりも欠かせないのが「新入社員」です。 当社は永い間、採りたくても採れない会社でした・・・ そんな余裕がありませんでしたし、教えることも中途半端になるからでした。

しかし、今年は一人の若者が入社してくれます。 私は親のように緊張し、自分の責任の大きさを感じています。 その若者に対しセレモニーらしいことも何もしてあげられないのですが、何かちょっとしたことはやろうかと考えています。 入社初日の写真でも良いし、何か形になり、ずっと残しておけるものを考えています。 その写真を壁かどこかに貼っておき、新入社員の数が少しずつ増えてゆくことを自分の人生と重ねて保存しておきたいと思います。 新入社員にとっては人生において初めて社会人となる門出であり、その後の人生に大きく影響を与えて行くですから、出来れば一生この会社で働いていて欲しいと願っています。 今どき、流行らない考え方でしょうが、家族が増えて行くのと同じ感覚なのです。

その新入社員が入社することになったのは偶然がキッカケでした・・・ 当初、来年あたりから新入社員は欲しいなあと思っていたのですが、今回は急な出会いでしたが採用することにしました。 その青年は真面目で、素直で、頑張り屋さんだからです。 また、地方出身でどこか都会の若者のようではなく、田舎育ちの香りが残っているのも好感が持てました。 こんな若者が何故残っていたのかと思いましたが、実は、昨年夏には異業種他社で内定を貰っていたのだそうですが、学校を通さず自分で探して内定を貰ったのですが、その後、両親等から反対されたのだそうです。 世間知らずと言われればそうなのですが、世間ズレしていない半面もあるように思います。 と言って、若いのに世間慣れして上手に立ち振る舞うのも行過ぎるとどうかと思います。

こうして当社の新入社員は決まりました。 天から授かったようなものです。 だから、大事な、大事な新入社員なのです。 私は心の中で唱えます。 「どうか定年まで一緒に働いてください。一緒にいい会社にしましょう!」

ともすれば、現代の若者はドライで自分の世界と仕事の世界を割り切っています。 仕事後の飲会への誘いも嫌がるというより個人主義として扱われたりしますし、社員の慰安旅行すら毛嫌いされたりします。 仕事は仕事、私事は私事と割り切る傾向があります。

ある会社では一泊する社員慰安旅行への参加率が100%ではなかったので、休日を出勤日にまで規程を改訂して全員が参加しなければならないようにして慰安旅行を企画したのですが、そうすると参加したくない社員から、「出勤日なら有給休暇の申請をしますので休みます」と言われてしまい、唖然としたそうです。 それほど、若い世代とは価値観が違っているのかと私も思いました。

当社でも同じような傾向が見受けられます。 社内行事には出来れば参加したくない、仕事だけやって後は自由に過ごしたい、何でそこまでしなきゃならないの?個人の時間まで関係ないでしょ?・・・・こんな社員が増えて来たと思います。

昔流のやり方や価値観が全て最上とは言いませんが、かといって仕事だけで後は無縁というのもコミニュケーションの水準として最上とは言い難いと思います。 日本人は元々、コミニュケーションが上手な民族ではないように思います。 例えば、新幹線や飛行機の中で知らない隣席との会話なども殆どなく、知らない人との接し方にその傾向が顕著に見受けられると思います。 アメリカなどでは飛行機の中で知らない客同士が自己紹介し色々な話をしています。 降りる際には握手までして何事もなかったように分かれてそれぞれの行き先へ消えて行きます。 これが社会性というか社交性というか、そんなものだと思います。

コミニュケーションは人間同士の気持ちを大事にした意思の確認手段です。 近くにいるのにパソコンで伝え合うのおかしい現象だと思います。 人と人の対話では脳を活性化しますが、そうではない非対面的なコミニュケーションでは人間の感情までは伝わりません。 現代は左脳型人間が増えて来ています。右脳型人間は減少して来ているように思います。 しかし、人が感動するのは左脳ではなく右脳です。 右脳型人間を増殖させなければ、感動ある会社や人生になりません。 しかし、左脳型人間もいなければ実際の課題も解決しないことも多いのも事実です。 このあたりのバランスというか、求心力が経営者には求められているのだと思います。

当社の新入社員は姿や形は現代風ですが、その心は以前の若者のように素直で前向きです。 どうか、当社に縁があったのですから、素晴らしい人生であって欲しいと願う次第です。 当社が若い人達に支えられ、ますます発展することを祈ってここに筆をおくことにします。

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