vol.157 - 「生成AIとどう付き合っていくか - ITエンジニアが思うこれから」
- 株式会社ビジョンクリエイト
- 8月1日
- 読了時間: 6分
はじめに
前回の記事で「生成AIを考察してみる」というテーマで、生成AIのできること/できないこと等を書かせて頂きました。
生成AIは我々の仕事や生活に浸透しつつあり、その波はもはや避けられないものと言えるでしょう。
恐らくですが、皆様の会社でも生成AIのツールを使われたり、もしくは、「そろそろ生成AIを導入しようか?」といった議論が交わされているのではないでしょうか。
筆者も生成AIのツールを使いながら業務を行うことがありますが、使いながらも「どうすればもっと使いこなせるのか?」や、「使っていてリスクが無いか?」といったような事も感じる時があります。
「使うにはなんだか難しそう」「自分には関係ないのでは?」といった事を感じる方もいらっしゃるかもしれません。
今回の記事では、この生成AIというものと今後どう付き合っていけばいいのか、という点を主にして記してみたく思います。
仕事への影響
生成AIが登場してから、仕事のやり方は確実に変わり始めていると思います。
まずはエンジニアとしての目線からの例を挙げてみます。
1.1. エンジニアの現場で起きていること
エンジニアの仕事は様々なものがありますが、代表的なものの一つに、ソースコードの作成という作業があります。
一から作成することもあれば、既存のソースコードを修正する、ということがありますが、生成AIはこの作業にかかる時間を大幅に短縮してくれます。具体的には以下のような変化があります。
設計内容/方針を一緒に考えてくれる
APIの使用方法を質問すると、サンプルコードをすぐ提示してくれる
コードのバグになる原因を一緒に考えてくれる
簡易的なテストを実行してくれる
今までだと、多くの時間がかかっていたことがはるかに短い時間で完了するようになる。
これは、効率化という意味ではとてもありがたいことです。
1.2. 他の業種で起きていること
これはエンジニアに限った話ではありません。色々な職種/業界において、生成AIの波は押し寄せてきています。
新しい商品の企画やサービスのアイデア出し、資料の下書き
議事録やマニュアルの下書き作成
画像やデザインの生成
サンプル曲の生成
勿論、生成AIですべてを代替できる訳ではありませんが、「時間のかかる作業」をAIに任せられるようになったことで、人間が本来やるべき判断や創造に集中できる環境が生まれつつあります。
AIとどう付き合っていくべきか
ここまで読むと「じゃあ全部AIに任せれば良いのでは?」と思うかもしれません。でも、そう簡単な話ではありません。ここからは、生成AIと共に生きる上で私たちが意識すべきことを、いくつかの観点から考えてみます。
2.1. AIは万能ではない
前回の記事でも触れましたが、AIは万能ではありません。
生成AIはあくまでも、大量のデータを学習したパターンの集まりにすぎません。
「ハルシネーション(幻覚)」と呼ばれる、事実に基づかない情報を、あたかも真実であるかのように生成することもあります。
聞いた事に対して、正確な情報が返ってくるかもしれませんが、必ずしも正確な情報であるとは限らないのです。
なので、正確でないことを返してくる、という前提で付き合っていく必要があります。
2.2. あくまでツール(道具)である
生成AIはあくまでツール(道具)です。「何のためにそれを使うのか」という目的が大切です。
文章を効率よく書くために使う
考えを整理する為のブレストに使う
仕様書や資料の草案づくりの支援
AIに任せられるところは任せ、人間にしかできない「文脈を読む」「本質を考える」「相手に配慮する」ような部分に集中する。これが今後の基本になるでしょう。
2.3. 学び続ける姿勢
生成AIの進化はめまぐるしいです。昨日までの事が今日にはガラッと変わっている事もあります。
そのため、「使い方を学ぶ」「リスクを知る」「自分なりに検証する」という姿勢が、あらゆる職種の人に求められるようになるでしょう。
プロンプト(指示文)を工夫して、より精度の高い結果が得られるようにする
AIの出力結果は、必ず人間が検証する
機密情報や個人情報の取り扱いには慎重にする
2.4. 得意な事を活かす
生成AIは、大量のデータを高速で処理してパターンを認識し、新たなコンテンツを生成することに優れています。人間は、創造性や倫理観、そして共感力といった、AIには真似できない能力を持っています。
といったように、生成AIが得意なことは生成AIに任せ、人間は人間の得意なことに集中する、という働き方が求められるでしょう。
生成AIがデータ分析や情報収集、コンテンツ生成の初稿作成などを担当し、人間がそのアウトプットを評価し、修正し、品質の高いものに昇華させていく。
それぞれの強みを活かし、協力し合う事で、それが可能になるでしょう。
3. 「生成AIに仕事を奪われる」の?
「生成AIに、自分の仕事が奪われるのではないか?」 これは生成AIの話題で最も多く聞かれる懸念・不安でしょう。
前回の記事でも記させて頂きましたが、筆者の意見としては、定型的な事務作業、単純なコンテンツ作成、カスタマーサポートなど、AIによって効率化され、人間の介入が不要になる領域は増えていくと考えています。単純な作業、コピー&ペースト、定型文の繰り返しなどは、AIの得意分野です。それらが自動化されていくのは時間の問題だと思います。
ですが、それは生成AIによって時間的な余裕が生まれてくると言えます。
そして、人間らしい創造性や判断力がより重要になる。ある意味、仕事の「質」が問われる時代になったという事だと思います。
人と人との関係構築や感情に寄り添うような事や、意思決定、未知の問題に対する創造的な解決策などといったものは、これからも人間の役割であり続けるでしょう。
4. これからの生成AI時代に向けて
繰り返しになりますが、生成AIは我々の仕事や生活に浸透しつつあり、その波はもはや避けられません。
これから先、どんな世界が待っているかは誰にも正確にはわかりませんが、ひとつ確かなのは、
「生成AIを拒むより、使いこなせる人が強くなる」
という事です。
仕事の「質」、人間の価値がより問われるようになってくる。生成AIとどう付き合うかを他人任せにせず、自分自身の事として考え続ける必要があると思います。
まとめ
生成AIは、我々の仕事や生活を大きく変える可能性を持っています。
我々の仕事を効率化し、新たな価値を生み出すための強力なツール(道具)です。しかし、万能ではなく、その利用には「情報の正確性の確認」や「目的の明確化」など、気をつけねばならない事が多くあります。
生成AIの得意な事を理解し、我々の創造性や倫理観等と組み合わせる事で、生産的な未来を築くことができるでしょう。恐れることなく、しかし慎重に、そして前向きに、新しいテクノロジーとの付き合い方を模索していけえばと思います。
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