top of page

記念館と美術館 第29号

昨年11月末に2か所の興味ある施設を散策して来ました。 それは「司馬遼太郎記念館」と「アサヒビール山崎美術館」です。

一見、何の関係もないと思われる両者の施設に2つの共通点がありました。 それが分って、ビックリするやら感激するやらでした・・・ その共通点とは ●建物の設計者がコンクリートの打ちっぱなし工法で有名な安藤忠雄だった。 ●施設にエネルギーが溢れていた の2つでした。

司馬遼太郎記念館は近鉄奈良線の八戸ノ里駅南側にあり、閑静な住宅地の中にあります。 居宅と別棟の記念館からなり、居宅には故人が執筆で愛用していた書斎が当時のままの状態で残されてきました。 愛用の万年筆やメガネや机や鉛筆、そして執筆の合間に一息ついたでろう人工的な手が入っていない木々が多い広い庭がありました。 記念館は居宅と同じように白を基調にした背の高い建物で、中に入ると司馬氏の蔵書がズラリと高い天井まで収納してありました。 蔵書は何万冊とか言っていましたが、相当な数であることは誰にでもすぐにわかります。 この施設が作られる前は居宅や倉庫?に置いてあったのでしょう・・・ もしそうでなければ、相当凄い環境であったに違いないと思います。

司馬氏は随筆も書けば、時代小説も書き、現代物も紀行文も書いた実に多才な作家でした。こんな作家はもう なかなか出てこない気がします。 好奇心なのでしょうか、物を書くのが好きだったからでしょうか、兎に角、膨大なエネルギーの塊みたいな人だったと思います。 表面的にはそう見えないかも知れませんが、あれだけの作品を残すのですから、それは並大抵のエネルギーがあったに違いないのです。

執筆をした原稿なども展示されていましたが、その中に「21世紀を生きる君たちへ」とういう随書があり、このタイトルに?と興味を持ちました。 その冒頭にこんな文章のことが書かれていました。 「自分は歴史に接しているので、縄文時代から現代まで何千年もいきているようなものだ。普通ならばたった数十年の人生なのに、時代のあちこちに知己や友人がおり、有難い天職のような気持ちになる。これは私に与えられた使命ではないか」と。(あくまで私個人の感じた文章です)

この文章を目にした時、言いがたい大きな感動を覚えました。 この随筆の中で、「私は21世紀を見ることは恐らくできない。しかし、皆さんは21世紀を目にする事が出来るでしょうから、今からの話を何かの参考にして貰えれば嬉しく思います。」みたいな文章で、色々なことが書かれてありました。 その中に大阪の適塾を開いた緒方洪庵のことが書かれていました・・・ 私はこのことがキッカケになり、後日、緒方洪庵に関する本を買い、適塾跡まで訪れてしまうことになりました。(適塾のこともいつか書こうと思っています。)

それからアサヒビール山崎美術館ですが、こちらも大変に感動しました。 私事で恐縮ですが、私は絵が好きで、たまに美術館巡りをしたりします。 特に、印象派のモネが好きで、あの何とも言えない水面のキラキラした光やその照り返しや、一瞬の影やその捉え方や大胆な描写にとても魅かれています。 モネは日本の浮世絵に大いに興味を持ち、自分の絵にそれらの表現方法や考え方を取り入れた西洋画家でした。 住居のある敷地内には日本風の池や橋や灯篭などを置き画材にした人でした。

特に睡蓮の絵は、たった一度しか行ったことがないニューヨークでも近代美術館に出かけ本物の絵を見たほど好きです。 写真集でしか見たことのない本物の絵を前にして、直立不動で15分間、涙が出て来そうな程、嬉しくて、嬉しくて眺めていたことがある位です。

山崎の美術館にはモネの絵として、「日本の橋」と題された小さな絵が展示されていました。紛れもなくあの独自な描写のモネの絵でした・・・ 溢れるばかりのエネルギーです! 勢いのある筆のタッチ、ほとばしる光と汗、感じた色やイメージ、瞬間、何もかもエネルギーそのものです。 年老いても、体中から出てくるその強大なエネルギーは、一体どこから来るのでしょうか? いやあ、感動しました・・・良かった・・・ またまた、モネのエネルギーに圧倒されました。 私はモネの絵から、途方もないエネルギーを感じるのです。

さて、安藤忠夫氏ですが、素人の私には何にも言えないのですが、ただ直感として横より縦の使い方が好きな方ではないかと思います。 感じただけなので、何の論理的な根拠もありません。本当にそう感じただけなのです。 さらに不思議な事に、この2カ所の施設と安藤氏の設計と何か共通点があるのではないかと思いました。 私流に言えば、それはエネルギーが存在しているということです。

是非、二つの施設の一つでも結構ですので、出かけられてみては如何でしょうか? 先人達の残したエネルギーをビンビン感じられると思います。

最新記事

すべて表示

生成AI時代 第274号

最近と言うか、正確には2年も経っていませんが、私達が今まで経験したことの ない驚きが世界中へ拡がりました・・・ 例えて表現すると、今から170年前の1853年、嘉永6年に永く鎖国をして いた日本へ、アメリカ東インド艦隊のペリー提督が率いる4隻の黒船が横須賀の 浦賀沖に突如として現れた時くらいの衝撃だと思われることが起きました。 ペリー提督の時は日本へ矢継ぎ早やに開港や貿易取引など、不平等な契約など

好奇心 第273号

生きている間には誰しも、何かの時に強い好奇心を感じたり、駆られたりすることがあ ると思います。この好奇心は人間には特に強く備わっているようで、他の生物にはない とは言いませんが、人類に備わっている特徴の一つではないでしょうか?・・・ この好奇心こそ、人類が地球上で最も高い知能や文明、繁栄をもたらした正体ではない かと思うのです。この好奇心は星や星座に名前を付けたり、神話を重ねたり、幾何学と いう学

シリコンバレーの思い出 第272号

年令を重ねて来ると、これから先の抱負や希望よりもいつの間にか自然と昔の思い出 を懐かしく思い出す時が増えて来るような気がします・・どうしてそうなるのかは自 分では分かりませんが、脳自体が特に意識しなくても何かの拍子に働き始めるのかも 知れません。それでも自分の意識があるのだろうと思います。 また、脳は新しいことに対しては活発に動くようで、その時にはエネルギーも多く必 要になるようです。昔の思い出な

Comments


bottom of page