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ITスクール 第191号

当社では先月から無料のITスクールを始めました。 25歳未満で専門卒以上の方なら、外国人でもOKというスクールです。 講師は現役の技術者であり、ここが他社とは一味違う特徴だと考えています。 つまり、専任講師ではなく現役の技術者が教えています。

何故、無料で社内に設備や環境まで設けてITスクールを始めたかというと、もう高額のお金を 求人情報業者に払って人材を集めることに嫌気がさしたからです。 そうやって、例えばキャリア採用出来ても、後々、また離職する可能性が高いからです。 技術力はあっても帰属意識は低いですし、また前職までの価値観を持ち込んだりと、現在の会社に 全面的に馴染もうとする姿勢が低いからです。 正に、売り手市場で転職する典型的な人材が多いからです。

そこで、ここまでいてもなかなかキャリアのある人材が採用出来ないのであれば、もう自前で育てよう、 時間をかけてもいいから自前で人材を育てようと思ったからです。 業者へ高い費用をかけるなら目の前にいる若い経験のない人達にチャンスを与えてみようと思ったから です。 これがITスクール立ち上げのキッカケなのです。

しかし、やったことのないスクールを運営していくのは、やは大変です。 講師、カリキュラム、テキスト、実習環境、実習で開発するシステム設計書やドキュメント、落伍者の 出ない進め方、予想外の出来事への対応などやるべきことが山積しています。 また、知名度のない当社ITスクールがどの程度の参加者を集まられるかも心配でした・・・ それでもやると決めたからにはやることが大切だと思っています。

もう、スクールが始まって1ケ月が過ぎました・・・ 受講生も少しずつ変わって来たように感じます。 受身から徐々に自主的になって来たように感じるのです。

ITスク⊶ルの狙いは、単に技術や知識を教える、学ぶだけでなく、この情報社会で新しい価値観や未来感 に根ざした創業者を見つけて育ててみたいという個人的願望も含まれています。 その背景には当分の間、新しい情報企業は残念ながらアメリカからが殆どだろうと思うからです。 コンピュータの発明、プログラム言語、設計開発技法、UNIXやPC、インターネット、ソーシャルネット、 検索エンジン、こんなものが次々にアメリカから生まれて来た訳です。

何故、日本から生まれないのだろうか? 私の行き着いた結論は「多様性の享受」でした。 単一民族である日本からは新たな新しい考えや価値観は生まれにくいということです。 新しい価値観や製品はいろいろな考えや価値観があってこそ生まれるという結論です。 この点では日本はアメリカに絶対に勝てないのす。 まとまりのないいろいろな価値観があるからこそ、新しいものは生まれるのです。 日本人はどうしても価値観の共有を求めがちですが、これが逆に新しい価値観の創造を妨げていると思います。

新しい価値観を生み出し、世の中に創出していくには若い世代が最も適しています。 ハーバードのマイケル・サンデル教授の白熱教室を最初にテレビで観た時には何がそんなに凄いのだろう? どうしてハーバード大学で人気を博していたのだろうと考えてみると、サンデル教授は解を出さない、解は 一つではなく、いろいろあるということを表現してくれたと感じました。 ここが日本の教育や価値観との違いです。

一つの能力を伸ばすことが重要なアメリカと落伍者を出さない教育の日本とは自ずと社会の仕組みや価値観も 違います。 日本はチームワークであり、アメリカは個人プレーなのです。 こう考えると、解は一つではないというアメリカの方が自由で快活で能力を伸ばすことに向いている様に 思います。 サンデル教授の上手いのは自然に学生を誘導していろいろな価値観に気づかせることです。 考える力、答えはいろいろあるという考え方、創造性を成長させる進め方、こういった事に気づくのです。 つまり、それは立派な経営者そのものなのです。 松下幸之助氏は人を育てる名人でした。 その要諦は気付かせることです。 これが成長に有効な育て方だと思います。

私はこの点に注目して、若い人の中から原石を見つけ出したいと願っています・

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