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  • 執筆者の写真株式会社ビジョンクリエイト

vol.133- 「進化する”電子看板”」

[お答えいたします。進化する”電子看板”が狙った顧客層をピタリと当てて消費者が吸い寄せられる場面が見えます。]


[電子化する看板(デジタルサイネージ)]

みなさんは、最近パチンコ店で遊んだことがおありでしょうか。私は、昔はよく通いました。そのとき、なぜこんなに”頻繁”に台を入れ替えるのか、釘の”調整”・”出玉”の管理も大変です。当たりが出て玉を入れる箱を床にいっぱい積んでいて、玉を床に落としたままだと”危険”です。さらに、お客様が”機械”に何か”小細工”してないか見張るため、店員さんがウロウロしてました。下に落ちた重い”金属の玉”を集めては上から流していて、それがかなりの”重装備”になります。遊戯が終わると、店内では景品として”文鎮”のようなものを渡し、店の裏の”景品交換所”にいる、とても”文鎮”集めがお好きなおばさん(顔が見えないのでおじさんかもしれません)にそれを渡し、景品より割安の”現金”を受け取る・・・こんなんいつまで続けるのか・・・と疑問に思い、「パチンコの電子化」という”論文”を書いたところ、それが大いに受けて[論文最優秀表彰]をいただき30万円を獲得、さらにある”大手パチンコ業”の”役員”さんが会社に来られ、当社に出向しませんかと打診されました。それが25年以上前です。しかし、いまはほぼその内容が”現実化”しつつあります。


屋外・店頭・公共空間・交通機関など、あらゆる場所で、大型液晶などの電子的な”表示機器”を使って情報を発信する媒体を総称して 「(デジタルサイネージ)”電子看板”」と呼びます。液晶などの”表示機器”の発展、デジタル情報通信・Wi-Fiの普及とあいまって、施設利用者・往来者に深く届く”新しい市場”が形成されています。こうした”電子看板”の市場規模は現在年間約5,000億円です。



"時間"が経過すると画面が切り替わるのも"電子看板"の利点です。 普通の看板だと一枚で一つの絵しか使えません。 "電子看板"だと一つの画面で絵を何枚でも次々に使えます。  「(デジタルサイネージ)"電子看板"なら設置場所(屋内/屋外)はどこでも自由に選択できます。 "画面"の大小も自由自在になります。


私たちの身の回りには、すでに多くの場所で様々な”表示画面”や”表示機器”が設置され、広告に限らずいろんな情報が提供されています。街頭の大型看板・駅や空港・百貨店はもちろん、エレベーター・小型店舗・大学・ホテル・病院などにも”電子看板”は急速に広まっています。つまり、”電子看板”という言葉に代表される「屋外の大型画面による広告」にとどまらない”広がり”と”深み”が、ここにはあるのです。 屋内でも、小型の”表示画面”でも、広告以外の領域でも、さまざまな場所・機器・情報の内容が”デジタル”でつながって流れる、そうした総合的な”環境”を称する”概念”なのです。


例えば20代女性に見せるなら今ここ――。ビルなどの”電子看板”に流す”屋外広告”で、見せたい”顧客層”が多い”場所”や”時間帯”を狙い澄ます”仕組”が登場しています。匿名化したスマホの”位置情報”などを分析し、全国各地の”電子看板”から最適な”場所”を”瞬時”に選び出します。コロナ禍の”収束”による”人出回復”に備え、広告業各社は”電子看板”を間違いなくより”効果的”な”媒体”へ変貌させていくでしょう。


[日本全国どこでも”電子看板”が活躍する]:

サッカー「アジア最終予選・日本代表戦・全試合配信」・・・今夏、スポーツ動画配信サービス「DAZN(ダゾーン)」の動画広告が東京都内など約30カ所の”電子看板”で流れました。適当に流したわけではありません。ここならサッカーに興味を持ちそうな”顧客層”が多いと分析できた”地域”・”時間帯”に絞り、劇的な”効果”・”反響”が得られたのです。



データを活用し、最適な電子看板に広告を流す


広告はビル壁面・東京メトロや私鉄各線の”構内”、携帯電話店店内など全国各地の”電子看板”に配信できます。しかし”電子看板”だけではできないことがあります。例えばそれは”閲覧者数”・”属性”を把握し、広告主が求める”顧客層”が多い”場所”と”時間”を効率的に選ぶ仕組を構築したことです。その”仕組”の”根拠”となるのは、スマホが持つ”位置情報”でした。


[位置・性別・年齢の匿名データ活用]:

個々の”電子看板”について、視認できる”範囲”にいる”人数”を”時間帯”ごとに算出します。さらに携帯大手が保有する性別・年齢・居住地といった属性データも”匿名化”してかけあわせます。すると、若者が多い東京・渋谷の中でも「20代女性が35%を超える場所・曜日・時間帯」といった、より絞り込んだ”抽出”が可能になります。「実際にどれだけの人が見たか」も配信後に”位置情報”などで”検証”できます。



電子看板への広告出稿はコロナ収束で回復する見込み


スマホ向け”メール広告”などを併用して「ダメ押し」もできます。ある牛丼店大手企業は、”新商品広告”を”電子看板”で放映するとともに、スマホ決済を”飲食店”で使う人を対象に”ポイント還元特典”を伝える”メール広告”を配信します。屋外広告を見られる”位置”に滞在し、かつメール広告を受け取った人の”来店率”が高いという”検証結果”が出たそうです。


広告業界ではビルの屋上・外壁にある”電子看板”のほか、駅・店舗内・電車やタクシー内も含めて「屋外広告」と総称します。そのうちすでに4割が”電子看板”となっています。ただ、”活用手法”はながらく”アナログ”的でした。広告大手によると、屋外広告の”デジタル化率”が約5割と高い”英国”は4社が約8割を管理する”寡占市場”です。対して、日本は”ビル所有企業”や”鉄道会社”など大小約1,000社がひしめき、広告主は個別に”空き枠”を確認し”交渉”する必要がありました。閲覧者数を把握する仕組もなかったのです。


[渋谷・スクランブル交差点をジャック]:

広告の”比重”は”急速”にネットに”移行”しつつあり、「屋外広告は目に入りやすく幅広く認知してもらえる」ようになってきています。緊急事態宣言の”解除”で人出は”回復傾向”にあります。この追い風に乗るためにも”価値”と”効果”を”可視化”することが欠かせません。



渋谷の街で使われている電子看板

複数の”電子看板”を連動させれば、より印象的な”広告表現”も可能になる(東京都渋谷区)


多くの”電子看板”を抱える交通事業者系の”広告会社”も、”基盤”づくりに乗り出しています。ある私鉄業者は今年、全国の大型”電子看板”の”配信”ネットワークを整えました。ここでもスマホの”位置情報”などを活用し、”効果”を”把握”しています。このように”電子看板”を連動させれば、”広告表現”の幅も広がります。東京・渋谷のスクランブル”交差点”で展開した”広告”では、”回転寿司業者”が”近接”する5つの”巨大看板”をわたって”周回”するように見せ、この時は”自社”と”他社”の”電子看板”を連動させるために担当者たちが”映像”の”タイミング”を調整しましたが、”一括配信”できるようになれば”手間”をかけずに同様の”仕掛け”を打てたはずです。


[個別販促進めば反発リスクも]:

屋外広告は”不特定多数”が対象で、相手を狙い澄ましても、”閲覧履歴”などから個人を追跡するネット広告ほどの”拒否反応”は持たれにくいでしょう。ただ、データを結びつけた個別の”メール販促”などが行きすぎると、”消費者の反発”を招く”可能性”があります。消費者の”位置”・”属性”情報は、スマホ業者らが”個人”を特定しない形での”活用”について”許諾”を得たものです。消費者がネットで”データ共有先”を確認し、”情報提供”停止もできます。


2022年4月には「改正個人情報保護法」が全面施行され、丁寧な”説明”と”同意”の”取得”が一段と重要になります。日本では”位置情報”は”単体”では「個人情報」に該当しませんが、他社に渡して情報を組み合わせた結果、個人を”識別”できることが想定される場合は本人の”同意”が必要になります。もう一つの”課題”は、”広告”を見た人の数を測る”基準”や”方法”が”バラバラ”で、”効果”を比較できないことです。英国では業界団体の”共通指標”があり、”電子看板”を”視認”できる”範囲”への”滞在時間”を考慮することなどが求められています。


[製造業の改革]

製造業は新たな”市場”を探し求め、必死になって”事業改革”を進めています。広告主も徐々に”テレビCM”から他の”広告媒体”への”移行”をはじめています。 通信会社でも、”高速光回線”の利用に”拍車”をかけていきたいという”動き”があります。このように”電子看板”は「現実的な消費現場に近い媒体」として注目され、”劇的”に世の中を変えつつあります。今後”カメラ”や”センサー”によって”取得”された”情報”を”AI解析”することで、その時その瞬間に最適化された”情報”を”動的”に表示する”媒体”へと進化していきます。このように”電子看板”は、これからも多様な”広がり”を見せていくでしょう。


では最初に戻って、「パチンコの電子化」を”再考”してみましょう。パチンコ台は”液晶画面”で、”金属の玉”は見た目従来と同じですが、物理的には存在しない”仮想”のものです。今までの”金属の玉”なら”重力の速度”ですが、”仮想”なら、急ぐ人は”倍速”・”3倍速”にする、ゆっくり楽しみたい人はどこまでもゆっくり落ちるように”設定”できます。


もし、これが実現したら”台の入れ替え”は無くなります。さらに”釘”の”調整”とそれを行う[釘師さん]、”出玉”の”管理”、当たりの”確率的”な”管理”も”劇的”に”合理化”されます。相手は”電子媒体”ですから、”機械的”な”不正”を店員が”監視”すること自体が無くなります。換金するときも”文鎮”なんか使わず、おそらく”スマホ”だけでできます。お店の経営者も本日いくら儲かったかはほぼ”即時”に”把握”できます。「あのお客様は大事なので、ときどき多めに勝たせておこう」・・・こんなことが次々解決されていくはずです。こんな”重い球”は”不要”・”文鎮”も”不要”・”出玉を入れる箱”はいらない、店員は”重いモノ”を運ぶ”仕事”は不要、こんな楽なバイトだったら店員雇うのも簡単になるでしょう。このような変革によって、パチンコ店は当面”経営”に困ることはないかもしれません。


しかし、失うものもたくさんあります。どの台に座っても同じだから、どの台がいいかなと”選ぶ楽しみ”がなくなります。店の経営者がいろんな”不正”・”不公平”な”操作”を仕組んでも、”利用者”には分かりません。昔味わったような”ドキドキ”・”ワクワク”感も無くなるかも分かりません。そして”人間”が”機械”に支配され、”人間性”を失っていくことに対して”反発”・”抵抗”もあるでしょう。もし、”システム障害”が起きたら”営業不能”になります。それも”覚悟”の上で”前進”・”進化”していくでしょう。


今回は、「パチンコ」という分かりやすい例で考えました。しかし、他にも、”電子化”したらもっと”簡単”になるのに・・・と考えられる”事業”・”業務”・”仕事”はたくさんあります。そこでいつも同じ結論で申し訳ありませんが、こうした流れの”勝ち組”は誰か、この例では「パチンコ」店経営者と、”IT企業”の”仕事”は確実に増える・・・なぜなら”システム化”なくして、このような”仕組”は”構築不可能”です。他の”事業”・”業務”・”仕事”も、同様に”主催者”・”胴元”と”IT企業”にとってはきっと”追い風”になると考えます。



以上


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