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素直な心 第5号

経営の神様といわれた松下幸之助氏が次のようなことを言っておられます。 「素直な心には段がある。碁でも将棋でも大体2万回(1万回?)打つと初段になるらしいので、私はやっと今、素直では初段あたりではないだろうか・・・ 素直になるのは本当に難しい。今でも行ったり来たりしている」と・・・

また、禅の修行で有名な曹洞宗大本山永平寺の貫主もこんなことを言われています。 「座禅を組むのは無になる為であり、悟りの境地に至ることだ。頭が無になれば、心が素直になり、考えることが素直になる。考えることが素直になれば、言うことも素直になる。言うことが素直になれば、やることも素直になる」と・・・ この貫主は10代から座禅を始めて80年、今も90歳を過ぎて毎朝座禅を欠かさないそうです。 話は変わりますが、高僧と言われる人達には本当に長寿な方が多い。 このあたりにも関係があるのかも知れません。

さて、「素直」とは一体、どういう状態なのでしょうか? 私なりに解釈すれば、文字通り「素=元(自分が自分であることの存在=自分の心の芯)が「真っ直ぐ」という事ではないかと考えています。 人間、生きていれば自分なりの考えや先入観や固定的観念などが出来上がり、よく頭で価値を判断しがちです。特に、高学歴の人に多いと思います。知識や技術だけで測る・・・ 心で聞き入れることが少ない・・・(かくいう私も例外ではありませんが) 心が素直で真っ直ぐであれば、何事も信じますし、受入れもします。 例え自分が傷つくことがあっても、損だとか怨んだりしないのではないでしょうか・・・ しかし、現代人の「損得」の価値観から観れば、損な結果が多くなると思いがちです。 果たして、損得の価値観から観ても損ばかりなのでしょうか?・・・

素直であれば、何人からの話も良く聞き、理解しようとします。勿論、混乱もすると思います。 しかし、それでも聞き続ければ何が良くて何が悪いのか、分かるようになるのではないでしょうか・・・ これは結構なことです。 また、偏りがないので多くの人が集まって来ます。多くの人が集まって来れば、自分では知らないことも色々と教えて貰えます。これもまた結構な話です。

先の松下幸之助氏はこんなことも言っています。「衆知を集める」と言う話です。 広い世間を一人で渡ろうとすれば、あっちでつまずき、こっちでつまずき、どうもうまく行かない。 どうせうまくいかずに人様に迷惑をかけるのなら、自分一人の知恵で歩まぬ方がいい。人様の知恵を借りた方がうまく行く。一人よりも二人、二人よりも三人、多ければ多いほど良い」と・・・ これも難しい困難な目標を達成するには、人の力を借りる、自分だけの力に頼らず、広く意見を求め、正しく判断し行動するというです。 これまた結構な話です。どうも素直には得なことが多いような気がします。 やはり、素直は頭ではなく心の状態と言えます。 言い方を替えれば、自我を捨て私欲を捨てるということではないかと思います。 心は自分で幾らでも大きく出来ます。人を自分の好みだけで好きになるのであれば、自ずと限界があります。 好みでなく、色々な人間として愛することが出来ればより多くの人が集まります。 多くの人が集まるようになれば、一人で出来ないような素晴らしい成果も残せます。 人は頭ではなく、心に惹かれるものでもあるからです。

改めて書きますが、素直に生きることは本当に難しいと思います。 頭で考え、頭で結果を出し、何もやらずに納得している人が多いように見受けます。 人生では行動してみると、頭で考えていたことと違った結果になることの方が実は多いように思います。 だから、行動してみることが大切ではないでしょうか・・・ 行動してみれば、ワクワク、ドキドキすることも起きます。 締め付けられ、苦しく、もがくこともあります。 しかし、それでもワクワク、ドキドキすることがあるから、生き甲斐や喜びがあるのだと思います。

ある新商品開発のコンサルタントの方がこんなことを話しておられました。 「百聞は一見はしかず。更に、百見は一験にしかず」と・・・ 前者は皆さんがご承知の通りですが、後者は百回見るよりも一回経験する方が分かるということです。 一回やるにも頭で考えてしまい、頭で結論を出す人が多いですが、結局は何も会得されておらず、結局は何も分かっていない人が多いということかも知れません。 また、ヒット商品を生み出すには「良い事はやる、悪い事は改める」ことをやり続ければ、必ずお客様ニーズを掴んで行けるとも言っておられました。 トップが悪い事を改めようと、人の話を素直に聞いて改善すれば、職場も自然と明るく活性化されて行くということです。

素直には大人しいとか、従順だとか、何も考えていないとか誤解される印象がありますが、むしろ、強い気持ちが込められているのだと思います。 不思議と偉い人には「エッ、あの人があんな偉い人なの?・・」という方がいます。 素直ということは、我を張らず心を傾けるという意味があります。 それから先ずは聞こう、それからだということです。 聞き上手は話上手という例もあります。 素直な人には反感を持ちませんし、敢えて敵になることもありません。 素直には勇気もあります。何事にも臆せずチャレンジする気持ちがあるのです。

日本には良い言葉が沢山あります。 情緒的と言われようが、抽象的と言われようが、その中で私達日本人は脈々として生きて来たのです。 全てが今様ではなくとも、良い言葉が一杯あります。 私は「素直」もその中の一つだと思うのです。 世の中がドンドン悪くなっています・・・ 多くが損得優先になっています・・・ 他人には分からないのだから・・・とか、私には関係ない・・・とか、誰にも迷惑を掛けていない・・・からとか、他のことは知ったことじゃない・・・とか、そんなことが一杯あります。 美しい日本、美しい日本人、そんな時代は本当になくなったのでしょうか?・・・ 今こそ、いやこれからだこそ、人間として人生に喜びを感じ、生きがいを味わい、充実した日々を送ることが本当に大切なのではないでしょうか?

最後になりますが、ご紹介したい施設があります。 松下電器歴史館(京阪、西三荘下車徒歩3分。無料)です。 私はここを何回も見学させて頂きました。 これからもお世話になると思います。 松下幸之助氏の歩んだ歴史が展示されているからです。 人の一生が表れていると思います。展示されているものもあれば、肉声を録音したもの、画像も一杯あります。 本で学ぶより勉強になります。(何しろ肉声や本物ですから・・・) 機会があれば皆さんも一度行かれてみたら宜しいかと思います。 時代は違っても、その時に生きている人間は皆、同じです。 いつでも素晴らしい人生を過ごすことが出来るのだと思います。 それは自分次第だということではないでしょうか・・・ 連れて行った社員がこんな話をしていました。 「幸之助さんの話には否定的な発言や強制的な話がありませんねえ」と・・・ 私はその時、ドキッ!としました。 私にはそんなことがまだまだ沢山あるからです。 あーあ、まだまだ遠―い、はるかな初段への道です。

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当初、今月は別のタイトルを考えていたのですが、たまたま観ていたYouーTubeで懐かしい歌手が歌っているのを観てしまい、自分の10代後半から20代始めを思い出してしまいました。その当時の友人や東京という大都会での生活や風景などが懐かしく思い出され、年を重ねた今になって懐かしい思い出となったその頃の話をさせて貰います。 私が若い頃は日本が高度成長期へ突進し始めており、経済成長と安保、ベトナム戦争と学