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IOT 第178号

最近、IT業界でよく耳にするキーワードにIOTという言葉があります。

INTERNET OF THINGS という略語です。

言葉自体は古いようで1998年から言われ始めて来たようです。

意味は、従来までインターネットにはパソコンやスマートホンが接続されていたのですが、今では工場で動いている機械や家庭のテレビ、ビデオ、或いは映像機器などまで接続され、そこに新しい膨大な情報や新しい価値ある情報やビジネスまでも生まれて来ていることを指しています。

2015年には、世界中で150億個の機器がインターネットに接続されており、2020年には500億もの機器が接続されるであろうと言われています。

日本でも2019年に7000億円の市場になると言われています。

世界でも日本でも、この新しい情報化の流れが製造業を中心に起こっています。

世界中に散らばった多種多様な機器の稼働状況、消耗度合い、交換時期なども全世界を対象に集中管理出来たり、事前交換指示を出したりと情報活用で新たな価値を顧客へ提供することが出来ます。

もっとはっきり言えば、このIOTによる情報社会の変化は、全てのデジタル機器が接続された新しい世界が、新たな可能性を持ち始めたと言えます。

つまり、世界のIT社会が変わりつつあるということです。

しかし、日本では高品質、高性能といった「もの作り」にこだわる傾向が依然強く、その出遅れは他の先進諸国に比べて遅れているという指摘があります。

この変化に伴い、次第にグローバル企業は、よりグローバルになり、家電、自動車、鉄鋼、半導体、石油業界などを問わず、企業社会の行く末が変わるとさせ言われています。

誠に残念ですが、日本のIT業界の対応は遅れています。

本来ならば、IT産業、特にソフトウェア産業は時代の最先端を行く、新しい頭脳集団が必要な産業群なのですが、日本では魅力の低い労働集約産業として、新3K(きつい、帰れない、厳しい、給料が安いなど)などとも言われています。

その背景には、仕事に夢や将来性が持てず、時間や肉体的な負荷が高く、給与も低く、創造的な仕事も少ない、若い内だけの仕事、職種も少ないなどの慢性的な日本のソフトウェア業界の問題点があります。

私は、更に国の新事業創出への具体案の乏しさもあると思います。

例えば、同じアジアでも、私が実際に行ったことがある韓国やベトナムなどは、国が将来へ向けて重要な産業になると見込み、長期的な政策や各種支援策を打ち出して取り組んでいます。

韓国では日本より先に光ケーブルを敷設し、高速通信網を活用した社会作りを目指して必要となるインフラやソフトウェア開発を奨励し、予算も使い、支援を実施しています。

特に目立つのが、国内だけでなく海外へ情報発信を続けていることです。

また、ベトナムも永い間、農業中心の国でしたが、第二次産業へシフトさせることと同じく、ソフトウェア産業の育成にも力を入れています。

ソフトウェア産業は、広大な場所も必要なく、環境汚染もなく、必要なのは人材といつでも世界とつながるネットワーク環境、そして勤勉さです。

ベトナムのソフトウェア産業は日本との取引も多く、日本語を話す技術者も多くいます。中には日本との取引が売上の100%というソフト会社すらあります。

これに比べ、日本では情報処理資格者ですら国家資格にもなっていません。

この業界に40年程いますが、昔は国家資格になるのではと言われていたものです。

実態優先で、国家資格という熱意も日本には消え失せたように思います。

私は、日本の製造業は高付加価値製品を除いて、価格競争に翻弄され、次第に衰退すると観ています。

一人当たり年収が2万どる(USD)以下で急成長を続けていた中国やブラジルがいまや更なる新興国や先進諸国の逆襲にあって低迷していますが、今後は第二の中国やブラジルである年収5000USD以下のインドやインドネシアに猛追されることは必至です。現に、GDP伸び率はベトナムが中国を上回っています。

このような国々が、中国よりも安く同じような製品を作り始めると、中国だけでなく日本の製造業の多くも更に一段と仕事が減少することになります。

先日の台湾の鴻海精密工業のように、日本のパナソニックやソニーや東芝を足しても敵わない売上や従業員数には圧倒されます。鴻海精密工業は世界的な下請企業です。

その企業がシャープを傘下にしたということは、いよいよ下請ではなく自社ブランド製品を作り、直接、市場へ提供する姿を現わし始めたと私は観ています。

このことは後々、日本の製造業は更に厳しいポジションに追いやられることを意味しています。

高品質、高性能と日本人はよく誇らしげに言いますが、それではもう戦えないことも意味しているように思います。単純なもの作りの時代は終わったと考えるべきです。IOTを備えた製造業への進化がこれからは生き残る条件の一つだと確信します。

かつて、日本の製造業は、海外市場に溶け込むことが苦手で、長い間、その国のニーズを勘違いして来ました。高性能なら高くても売れると・・・

そんな時代はもう過ぎました・・・

これからは日本人特有のキメの細かさや細部までこだわった精密さや性能をソフトウェアへ活かす時だと思います。

この為には、海外へ日本人はまずは出ていくことが必要です。留学生数が半減し、英語が苦手で5%しか話せない、

日本は日本で海外とは違うんだという閉鎖的な言動では今後の国際社会で次第に置いていかれることは必至です。

私自身、IT業界に永くいますが、これまでも技術変化や設計思想の変遷がありましたが、インターネットほど社会にインパクトを与えた社会インフラの発明はないと思っています。

単なるメールやネット販売から、IOTという新しい扉の向こうに全く予測出来ない世界が待っているように思います。

これからが正にギヤチェンジしたIT社会へ突入する瞬間だと思います。

このように世界は、果敢に挑戦して新しい扉を開ける勇気と失敗と情熱を持った人達で動いていくと思います。

この事が日本のIT業界にも今まさに求められているのではないでしょうか?・・

未来は無限に拡がりを持ち始めた方向へ向かい始めたと思います。

だから、決して新3Kなどと考えることだけで敬遠することでは駄目だと言いたいのです。目標は何か、どんな風になりたいのか、何を成し遂げたいのか、こんなことが非常に重要であり、ソフトウェア業界に携わる若者にもそんな人材を求めたいと思います。

最後にIOTの次もあるそうで、何とIOEと言うそうです。

INTERNET OF EVERYTHING だそうです。

これでは加速度的に情報社会は変化し始めることは間違いありません。

新しいビジネスチャンスも生まれると確信します!

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