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  • 執筆者の写真株式会社ビジョンクリエイト

名経営者 第238号

私は毎週一回、「朝会」と題した会議を主だった幹部達と続けています。 本来は社内で起こるいろいろな問題について、担当責任者から報告を聞いて改善策や指摘や指示を出したりすることと、もう一つは私が考えていることや感じていることを話し合う場です。 最近はずっとテレワークで開催しており、特筆事項として名経営者と言われる先人の略歴、功績、考え方、更に苦境に際しての対応などの話などを紹介しています。

何故、自分以外の経営者の話をしているかというと、自分自身が未熟で考えていることの表現や話し方、そして内容もまだまだ披露できるレベルではないからです。 経営者にとっては業績が一番の評価点であると思っています。 この点においてまだまだ甘いなと自問することが多く説得力にも欠けるので、知名度の高い経営者から学んだ事を話す方が判りやすいと思ったからです。

自分の話ばかりいつも聞かされたなら社員への効果も半減するだろうし、聞き飽きてしまい、そこまで実績も挙げていない私が偉そうに話してもまだまだ信じないこともあるだろうし、実際に会社を発展させた名経営者の話の方が効果があると思います。 それでも名経営者の話を理解し体得することは難しいのですが、想いの差こそあれ私もそのような先人達のようになりたい気持ちがあるから話すのです。 最初は真似でもいい、出来るようになったら自分なりのやり方へ変えていけば良いのです。

温故知新という言葉がありますが、正に古きを訪ねて新しきを知る、結果を出した人達の話には時代や場所や事業は違っていても、それらを超えて通じるものがあります。 確かに時代と共に人々の価値観や感性は変わりますが、人として根源的な部分は変わらない。根源的な部分とは、喜び、悲しみ、楽しさ、苦しさ、幸せ、不幸、健康、病気、生と死などです。 日本人の人生は今も止まることなく100年人生へ向かっています・・・ 寿命が延びることは幸せなことですが、反面、全てが肯定的な人生とは言えない世の中にもなりつつあります。 犯罪も増えて来た感じがしますし、周囲の大人も注意しませんし、無関心、無感動、無気力など増えて来ています。 それでも諸外国に比べたら安心安全な国だと思います。 しかし、徐々にそういった面も良くはなくなるかも知れません。

人と同じように会社も、そこで働く人達も、周囲の価値観や生き方からいろいろな影響を受けます。 そして、人々の価値観も変化したりしますが、そこに先人達の生き様を振り返ることがキッカケになり、先人の知恵を活かして少しでも良くなろうとする力も湧き起こります。 人は今も以前も喜びもあれば、悩むこともあります。 それが経営者となれば量も内容もいろいろと増えて来ます。 社員と事業に対する考えや価値観を共有できることは大きな喜びであり、人生では大事なことです。 しかし、そう簡単に一致することはありません。 ましてやもっと具体的に、事業の方向性や実現目標の共有化までは時間も労苦もかかります。 それでもやり続けなければならないことだと思います。

先人達の知恵を活かすことが出来れば、同じ悩みを持っていたという共通感や安堵感さえ憶え、もっと頑張ろうという気持ちにもなります。 少し大袈裟ですが、先人達の話から難局を乗り超える勇気を貰い、これでいいんだという道標にもなるのです。 経営者も一人の人間であり、神様ではないのですから悩みますし迷いもします。 しかし道を示さなければならないのが経営者に課せられた責任です。 それが経営者の仕事ということになります。

話は少し変わりますが、日本の会社では上から下へ指示や命令が流れることが多いですが、今の新型コロナ下では効率の悪い指揮命令系統だったかも知れません。 今は直接的に社内の上司や同僚と会う機会が減っていますし、相手がお客様ともなれば尚更会える機会も少なくなり、その代わりにテレワークが増えています。 テレワークでは対面と違い制約もある為、効果的にやらないと時間も効果も半減してしまいます。 日本人は永い間にわたって上司や部下が近くにいる働き方になっていたので、日本人固有の常識や感情で仕事を行うことが当たり前になっています。 わざわざマニュアルとか標準化とか詳細説明をしなくても、意思疎通や確認が出来た民族でした。 ところが、テレワーク時代にはこういったやり方では同じような成果は生み出せなくなります。 逆に、上司が近くにいない前提で仕事をこなす習慣や生産性や質を重視した成果型に移行していかないと、仕事の成果は以前ほどは出なくなるのではないでしょうか・・・ 日本ではリモート環境下での自己管理や評価制度が出来上がっていません。 欧米社会とここが大きく違うと思います。

私が尊敬するソニーの盛田昭夫氏はこんな話を遺しています。 「日本人の中には意見に食い違いが生じると、友情もそこまでと考える人が多い。しかし、欧米人は相手を友達と思えばこそ、とことん議論し徹底的に思うところを説明しようとする」と。 この話はとても私が好きな言葉です。 感情で仕事をせず、異論があるならその説明をして自分との意見の違いを理解しようとする訳です。 日本人はここを見習うべきだと思います。 自分と異なる意見や価値を認め合う多様性を持っています。 これがどうしても島国の日本人は苦手です。 だから自分達と異なる意見には排他的になるし、自ら外国人に話しかけようともしません。 単なるシャイだということで片づけられる話でないと私は思います。 普通になって来た国際化社会では日本の存在感も薄れて行くと危惧します。

更に悪いことに社会システムも同じように古く、改革が必要です。 電車も通勤時間帯や帰宅時間帯が集中していて配車も人も同じ時間帯に集中し、数分おきに電車もバスも走り、それに応じた台数も必要になります。 昼食のレストランや食堂だって同じことです。 更に日常生活で良く通うスーパーも同じことです。 もし、社会システムが集中から分散に変われば、人々の生活はどのように変わるでしょうか・・・ 電車もスーパーも食堂も今よりは確実に混雑しなくなり、分散されて快適になります。 オフィスだって全員が一度に座わって仕事をする必要もなくなります。

新型コロナ下ではこのような疑問点も問われ始めて来ると思います。 行政は相変わらずの縦割り行政を改めて効率化やコスト低減化を図るべきです。 各行政機関に横櫛を通し、横割り行政を効率化した見直しをすれば、今よりも格段に効率的で無駄の少ない、コスト削減出来る行政サービスが提供出来ます。

教育制度も日本独自の4月開校を9月開校に変えれば国際化も図られ、多様性ある留学生や学生が 確保できるうえ世界で活躍でもすれば、その恩恵は日本へ大きく還元されることになります。 現実がどうのこうの意見ばかりでは時間のみ浪費され、一向に他国に比べ改革は進みません。 目標を世界に開かれた教育環境の実現と位置付け、9月開校を目標に実現方法を考えた方が効率的で実現性は高くなると思います。

一昔前、福田赳夫氏が首相だった時、松下幸之助氏が首相に呼ばれ、これから日本の若者はどのように育てたら良いかと意見を求められ、幸之助さんはこう答えたそうです。 「日本という国をリーダーがどうしていくかの方針もないのに、若者をどのように育てたら良いかなどはおかしい」と・・・(多少、意訳気味です) これにはさすがの福田首相も苦虫を潰したような表情で面白くない不機嫌な顔をしたそうです。 松下幸之助さんはよく周囲の人にこれはどう思うか?と聞いていたそうで、予め自分の答えを押し付けずに周囲の意見を聞いてから、物事を進める人だったそうです。 経営者なのに、わざわざ周囲にいろいろと聞く人も世間にはなかなかいません。 相手から厳しい非難の言葉を言われても、じっと耳を澄まして聞くことは、誰にも簡単に出来ることではありません。 こんな人達の話などを紹介しながら、私は学ぶべき所は学ぼうと思っています。 一人の頭脳や知恵など知れています。

この朝会で名経営者の話をまずは紹介して真似をしてみる。 次に自分なりに考えた事を実行すれば良いと思っています。 こうした話を社員にする前に、可能な限りいろいろ調べて話はします。 そうすることで更に新しい事実が見つかり、もっと驚くこともあります。

人は多くの人から影響を受けて生きています。 自分だけでの力では生きていません。 誰かの影響を受けて生きています。 それが分かると、人生は人との出会いが重要だと思います。 人から自分が影響を受けて成長し、更に人へ自分が影響を与えていくことが連鎖だと思います。 多くの名経営者は必ず誰かからの薫陶を受けています。 そして自らも人へそれを繋いでいます。 正に原点は「人生は感動ある歴史で綴れ」ということです。 一度きりの人生、思い切り生きていこうじゃないですか!

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