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vol.118 – 「非接触テック」

  • 執筆者の写真: 株式会社ビジョンクリエイト
    株式会社ビジョンクリエイト
  • 2020年8月29日
  • 読了時間: 3分

更新日:2021年12月10日

新型コロナによってもたらされた常態化する生活様式の中、「非接触」という新たなトピックも生まれました。その仕組を支える企業の株価はコロナショック下でも上昇しています。

NECネッツエスアイはビデオ会議システム「ズーム」の取り扱いが材料視され、株価は年初から7割上昇しました。2019年1月までは国内で独占販売権を持っていたこともあり、現在でも販売シェアは高いことが材料視されたのでしょう。6月末時点のズームの導入社数は約3,700社と、1月から3倍以上に膨らみました。2020年3月期はズームなど「DX(デジタルトランスフォーメーション)」事業の受注高は60億円でしたが、2021年3月期はさらに拡大が見込まれ、2022年3月期までに150億円に伸ばす計画とのことです。

しかし、相場全体の回復局面で上昇に弾みがついた「非接触テック」銘柄には過熱感も出ました。大手企業では1倍を割り込むこともあるPBR(株価純資産倍)が2ケタの銘柄も多いなど、指標面では説明がつきにくい場面もありました。ただ「次世代通信規格(5G)などを背景にオンライン化が進むトレンドは簡単には崩れず、息の長い需要を生む」との声は根強いようです。

新型コロナウイルス対策で「非接触」が注目を集める中、その実現に既存のセンサー技術を活用する動きも広がっています。電子部品大手のアルプスアルパインや液晶パネル大手のジャパンディスプレイ(JDI)は、触らずに操作するタッチパネルの活用先を広げつつあります。多様なセンサーが普及すれば、あらゆるモノがネットにつながる「IoT」市場の拡大につながるでしょう。

アルプスアルパインは、車載機器などで使われていた静電気を感知する既存のセンサー技術を活用し、触れずに操作できる公共施設向けのパネルを開発する計画です。新型コロナの感染拡大を受けて公共施設のトイレやエレベーター操作に使いたいとの引き合いが増えており、2021年にも製品化する目論見です。JDIはタッチパネルの開発で培ったセンサー技術を医療現場向けの製品に応用します。これまで自動車向けを中心に開発していた、画面を触らずに操作できる非接触ディスプレーを医療現場にも売り込みます。

手術用の医療機器や病院受付機のタッチパネルなどを触れずに操作するといった感染防止対策など「コロナ後の世界に向けて、技術の応用可能性が広がる」と考えます。コロナ禍では人と人の接触機会を減らす必要もあります。自動運転や自動配送の用途を見込んだセンサーの需要も伸びるでしょう。

「非接触の需要が増え、自動運転以外にも用途が広がる」と期待できます。「人の位置を検知でき、室内の『3密』回避にも役立つ」ことからコロナ禍で非接触技術の需要が高まり、普及ペースが速まることは間違いありません。様々な情報を活用していくデータ社会で新たなセンサーの活躍場面は一層発展していくでしょう。

「非接触」という観点で自分の行動や身の回りを観察してみると、だれがどんな手で触ったかも分からないあらゆるものに対して疑惑が生じてきます。それが消毒・殺菌されているのか、考えてみると危険がいっぱいあることに気づきませんか。もし情報通信技術によって、人間の五感では感知できない危険を前もって知らせてくれる仕組があったら、コロナだけでなく、災害や事故からも人間を守ってくれる道具ができるはずです。IT業界関係者は、こうしたことに商機を見出していくことで、世の中のお役に立ちたい・・・そのような事業がこれから有望だと考えます。

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