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  • 執筆者の写真株式会社ビジョンクリエイト

vol.129-「”小売りDX加速”」

最近、みなさんの”周辺”で、”店に置いて売っていた”、”その店に行かないと飲食できなかった”こんなものまで”ご家庭”に届けますとか、”近所のコンビニ”などで受け取れます・・・といった広告・宣伝などをよく見かけませんか・・・ただし、そのためには”予約”とか”前払い”が必要とか、そんな制約もあります。

イオンは千葉県などの大型スーパーから”通販商品”を発送・・・小売り大手がインターネット通販の”配送短縮”・”欠品回避”に向けて”物流改革”に乗り出します。イオンは”専用倉庫”に代えて複数の”大型店”から最大5万品目を発送し、東京など”三大都市圏”で”翌日配送”します。ユニクロは”店舗在庫”を適宜”通販”に回すと発表しました。米国ではウォルマートが店舗発の”分散型配送”で”通販”を急拡大させています。コロナ禍で膨らむ”通販需要”を狙い、さらなる”店舗”と”ネット”の融合が進むでしょう。

日本の小売り各社はアマゾンに対抗しないと生き残れません。アマゾンは関東と関西を中心に全国に主なものだけで21カ所もの”専用倉庫”を構え、国内の広い地域で”翌日配送”を提供しています。イオンは、”衣料品”・”日用品”などの”ネット注文品”を今夏までに”大型スーパー”から”発送”する体制に切り替えます。

実店舗を使い複数の”配送拠点”を持つことで、東名阪地域では多くのエリアで”翌日”に宅配します。生鮮食品の”通販”では国内約200店舗から配送しており、これを”衣料品”や”日用品”など3万~5万品目に広げ、アマゾンに対抗することで、”専用倉庫”を廃止し年”数億円のコスト”を削減できる模様です。ただ、経営者が気にしている本来の目的は”配送短縮”・”欠品回避”によって”機会損失”・”逸失利益”を無くすことだと考えます。

電子商取引(EC)向けに独自に”注文”や”在庫”を管理するより、”店舗側のシステム”も巻き込んで”発注”や”在庫”を”一体管理”することで”競争優位”を築く狙いです。


小売り各社は最適な配送体制を模索している。

”既存実店舗”を持つ点を”徹底活用”しアマゾンに対抗します。家具などは”店頭”で実際の”商品”を見て”質感”や”色合い”を確認し、持ち帰る”手間”を省くためにネットで注文するといった”納得いく買い物”ができます。実店舗主体で”通販事業規模”が小さい各社がアマゾンと同じように”倉庫”を増やすのは困難です。在庫を抱え込む”リスク”も大きいため、全国チェーンの小売業が”既存実店舗”を”配送拠点”として活用することはリスクを抑えた現実的な”対抗策”といえます。

ユニクロは国内での”ネット注文品”を東京と大阪の”専用倉庫”からすべて発送していましたが、”店頭在庫”を一部で”併用する方針”に切り替えます。近くの店に”在庫”があればその店から発送し、店で受け取ることもできます。従来は”通販用倉庫”に”在庫”がないと”入荷”するまで顧客に待ってもらうこともありました。

小売り各社が通販の”サービス改善”を急ぐのは、[コロナ禍]で”消費のネット移行”が急加速していることが背景にあります。実店舗の「倉庫化」について、「究極的には集約した”専用倉庫”からの発送が効率的と考えられますが(多くの事業者はその段階に達するまで)相当の時間がかかるでしょう。これからは、時間との闘いになります。いち早く有効な”仕組”・”仕掛け”を俊敏に構築した企業が勝者になります。

ネット通販との”競争激化”や、”常態化する生活様式”の変化で、消費者の”行動データ”などを基にしたマーケティングの重要性が高まっています。海外の大手IT・小売業が先行してきた分野ですが、日本の大手小売業も”急ピッチ”で動き始めました。消費者の”買いたい心”をいち早く”解析”するのはどこが最適でしょうか。リアル・ネットの”垣根”を越え、”的確”かつ”迅速”な対応が迫られています。


イオンはAIが値引きを判断

[イオン:AIが値引き判断]: 「リアル店舗・物販中心」から「店舗・デジタルが融合されたシームレスな体験」へ・・・イオンは2025年度までの5カ年の中期経営計画で、「デジタルシフトの加速と進化」を”最重要テーマ”に掲げました。毎年の「デジタル・物流」への投資を全体の35%と、前”中期経営計画”平均より19ポイント引き上げる一方、国内店舗への”投資割合”は71%から40%まで減らす計画です。


イオンスタイル川口のカメラによる顧客分析

イオンは「DXを駆使した初の”本格スマートストア”」を標榜します。この”中核技術”の1つが店内に約150台設置した「AIカメラ」です。これで捉えた映像で”滞在人数”を把握できるほか、”来店顧客”がどの商品に”頻繁”に手を伸ばしたかなど”商品棚情報”も自動収集し「ヒートマップ」で”可視化”できます。これらのデータを分析すれば、”商品棚レイアウト”や”品ぞろえ”の”改善”につなげることができます。イオンスタイル川口では専用の”映像解析マシン”も導入して”逐次検証”できるような体制を構築し、接客にも活用します。

(注)ヒートマップ(heatmap)とは、”サイト訪問者”がよく見た”コンテンツ”や”ページ”を、”サーモグラフィー”(物体から放射される赤外線を分析し熱分布を図として表す映像のこと)を利用し、直観的に理解できるように可視化する手法のこと。

消費者の”購買心理”をくすぐるには”割引”など”値付け”の”妙”も重要となります。そこでイオンスタイル川口では、商品の”販売実績”や”来店顧客数”などのデータをAIが学習し、商品の適切な”割引率”を割り出して従業員に指示する「AIカカク」を導入しました。売り場”責任者”の「経験とカン」に頼っていた時代と比べ、値引き”精度”が上がるほか、食品の”廃棄ロス削減”につなげることも期待されます。AIカメラは今年度中に約80店に広げ、約140店で導入している「AIカカク」は2021年7月までに約350店に広げる計画です。

[セブン:最適配送・AI発注:データ人材増員]: コンビニ最大手のセブン&アイは”ビッグデータ分析”などを担う”データサイエンティスト”採用を拡大します。業務委託を含めると既に約100体制で、さらに150~200人規模の部隊に育てる計画です。彼ら彼女らが担うのが、同社が強化している様々な”IT施策”です。例えば、グループ店舗の商品を”消費者”に届ける「ラストワンマイル」の”配送サービス”は、”配送利用状況”などから、最も素早く運べる”配送網”を選択・宅配するシステムを構築・展開します。

一部地域では”AI発注”も始めました。千葉県などのセブンイレブンとイトーヨーカドー全店対象で、日々の”変動要因”に影響されにくい”調味料”や”冷凍食品”などの”発注”に役立てています。ネットが普及し始めても、国土が狭い日本では”リアル店舗”の力が強いという根強い意見もあり、小売り各社は”出店による成長”を重視し続けてきました。しかし、アマゾンが日本でも着実に成長する中、いや応なくDX対応を迫られるようになっています。

これに、追い打ちをかけたのが[コロナ禍]です。例えば”特売”などで人を大量に”集客”して売上を上げればよいといった”従来常識”が通用しなくなりました。一方で店舗での”デジタル活用”は、消費者の”潜在需要”を掘り起こして”売り場展開”するなど、”リアルの魅力”をより高める”可能性”も秘めています。しかし、”実店舗”には思いがけない”商品”や”的確な助言をくれる店員さん”との出会いという魅力があります。こうした”実店舗”の”価値”・”利点”を”DX”で、どのように補完できるかが大事になります。

ただ、”個人データ利用”に関する”社会の目”は厳しいのも事実です。特に”技術革新”が急速に進む”顔認証”などの”画像認識”活用は今後、様々な議論を呼ぶでしょう。データ利用に”正当な目的”があり、カメラの”設置場所”などが適切であれば、”顔画像”のデータ利用は”適法”とされています。その上で「生活者からの疑問に応じられる”窓口設置”や、”カメラ画像”の”利活用目的”の”消費者への周知”といった点に十分に配慮することが重要になるでしょう。

[米ウォルマートや老舗の逆襲]: 「提供するサービスを拡大し、取引先や顧客への価値を創出していく」・・・DX戦略に突き進む小売り世界最大手の米ウォルマート・・・。次に注力するのが”デジタル広告事業”です。ウォルマートは”広告配信”プラットフォーム大手の米[トレードデスク]と提携し、2021年2月上旬には企業の”ネット広告”を”自動生成”する[サンダー・インダストリーズ]の”技術”を買収すると発表しました。狙いは”広告収入”だけではなく、”ネット通販”と”実店舗”から日々、膨大な”顧客データ”を取得し、こうしたデータを”広告配信”に活かし、”購買促進”につなげる考えです。

実店舗内で”デジタル看板”や”セルフレジ端末”など、約17万台の”ディスプレー”を”広告媒体”として活用しています。店舗ごとの”人気商品”や”顧客層”・”時間帯”による”売れゆき”の違いなどの”ビッグデータ”と関連付けることで、”消費動向”に合わせて広告を出す”タイミング”や”内容”を変えます。

通販から”実店舗”内での”買い物”まで広く使われる”自社アプリ”などを組み合わせた”広告”も展開します。消費者の”推定年齢”や”属性”に合わせて最も”宣伝効果”の高い”広告”を”自動計算”し表示します。こうした”サイト”や”アプリ”の”トップページ”のほか、”商品検索”・”決済”画面にも消費者の”購買履歴”などに応じた”商品広告”を表示します。この”アプリ”上の”広告内容には、店内における”リアルタイム”売上データを反映します。来店した”顧客”が”価格”・”在庫確認”などに”ストアアプリ”を使う際、”購買履歴”に合わせた”おすすめ商品”や”値下げされた食料品”を適時表示し、「今買わないと損ですよ・・・」と”消費行動”の”背中を押す作戦”です。

かつて小売業は”店舗”を増やし、仕入れで”スケールメリット”を発揮し、そこで得た”利益”を次の”出店投資”に回すのが”成長戦略”でした。しかし”DX時代”到来でその”前提”が崩れました。大量出店で成長してきた米ウォルマートはすでにDXへ完全にシフトしています。「米国事業」では2021年1月期、約78億ドルの投資のうち”新店投資”はわずか1億ドル。7割は”電子商取引”(EC)やIT関連などに振り向けました。投資を”出店”からDXへシフトする動きはここにきて、日本でも潮流となっています。

米ウォルマートは、DX戦略で”素早い方針転換”を見せました。約1,500店に導入した戦略設備をあっさり放棄し、1.5兆円を投じ”5分以内”に”商品袋詰め”できる”設備”や”ライブ通販”へと舵を切ったのです。コロナ禍で変化した”消費者需要”を直視し、DXに磨きをかけます。ウォルマートの2021年2~4月期決算は”西友株”売却費用などで”純利益”こそ3割減ったものの、”売上高”は3%増の約15兆円と”市場予測”を上回りました。同社決算は、”米経済の屋台骨”である”個人消費”の”回復度合い”を示す指標として注目を集めています。

例えば物流施設「マイクロ・フルフィルメントセンター」の拡大です。ロボットを駆使し、”おもちゃ”・”家電”・”医薬品”・”食料品”まで商品をかき集める”店舗併設型”の”自動配送システム”を設けました。マイクロ・フルフィルメントセンターはニューハンプシャー州セイラムの”スーパーセンター”に導入済みで、今後2~3年のうちに100以上の”店舗”で稼働させる計画です。


コロナ後を見据えた各社の取り組み

ウォルマートはDXを中心に2022年1月期に約1兆5,000億円を投じる計画を立てています。動画投稿アプリの[TikTok](ティックトック)を通じた”ライブ販売”に乗り出しました。多数の”フォロワー”を持つ”インフルエンサー”が”衣料品”や”化粧品”などの”商品”を紹介します。これに参加した”視聴者”は気に入った”商品”を”アプリ”上で”タップ”するだけでその場で”購入”できます。ウォルマートは(ティックトック)上で”インフルエンサー”が”化粧品”や”衣料品”を紹介する”ライブ販売”に力を入れます。

視聴者は”ライブ配信中”に自由にコメントし、”友人との外出”のように”コミュニケーション”をとりながら”買い物”を楽しみます。ウォルマートは”イベントでの売上高”を公表していませんが、2021年2~4月期決算では”衣料品”や”化粧品”など”非食品”の”売上”が20%台前半の”伸び率”を記録しました。「コロナ後も通販需要は継続する」と想定しており、オンラインでの”買い物体験”を充実させていきます。

米小売り各社の2021年2~4月期決算では、ディスカウントストア大手[ターゲット]の”純利益”が前年同期比7.4倍、家電量販の[ベストバイ]が同3.7倍と急伸しました。米政府が3~4月に支給した最大1,400ドル(約15万円)の”給付金”の”恩恵”を受けました。[コロナ禍]で”老舗”が”バタバタ”と”破綻”した1年前からの”復調”が鮮明となっています。

しかし、”真価”が問われるのは”特需”がはげ落ちるこれからでしょう。今後”投資の手”を緩めたら”自滅”します。特に目立つのが”買い物”の「時短」につながる”技術”や”サービス”となります。[ターゲット]は1,500店超の”店舗”で、車での”受け取り”サービス「ドライブ・アップ」を導入しています。利用客が”駐車場”に到着してから”商品”を受け取るまで5分以内で完結します。例えば”青果”や”精肉”など”生鮮品”についてはスタッフが別途”売り場”から集め、一つにまとめておきます。受け取り場所には”冷凍庫”・”冷蔵設備”を設けてあります。消費者は”自宅”や”職場”でネット注文、”店舗到着時”に”アプリ”で”メッセージ”を送ると、”一般の商品”から”冷凍食品”まで購入した”商品”を店員が車の”トランク”に入れてくれるという”用意周到”さです。

アマゾンは4月、米食品スーパーのホールフーズ・マーケットの”一部店舗”で、”手のひらをかざす”とわずか”1秒”で”支払い”を済ませられる決済サービス「アマゾン・ワン」を導入しました。事前に店舗内の”専用端末”で、”クレジットカード情報”と”手のひらの生体情報”を登録し紐づけしておく仕組です。

このように小売り大手は、一時的には[アマゾン効果]によって”大打撃”を受けたはずです。しかし、経営者たちは、それにめげることなく、”知恵”を絞り”変化への適応力”・”復元力”を発揮している点はさすがです。そして、いつもこのメルマガに書くことですが、このような改革で絶対減ることのない”仕事”・”職業”は”IT関連”です。[コロナ禍]に遭遇して”運輸”・”旅行”・”宿泊”・”飲食”・・・他にもたくさんの”業種”・”業態”がもがき苦しんでいます。この先どうなるのかまったく分かりません。しかしPG・SE・PM・・・企画・設計・開発・運用・保守・インフラ・・・この関連の仕事はプロ野球の”読売巨人軍”・”阪神タイガース”と共に永久に不滅だと思います。

以上

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