vol.158 -「GPUってなに? - AI用途で注目されるパーツ」
- 株式会社ビジョンクリエイト
- 5 日前
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はじめに
「NVIDIA」という言葉をご存知でしょうか?
「NVIDIA」はGPU関連の半導体を開発・販売している企業です。株式市場の話題でも良く出てきているので、名前は聞いた事があるという方も多いのではと思われます。
そして、昨今のAIブームにより、GPUはAI学習や推論等に欠かせない存在として注目を集めています。
GPUはPCのパーツの1つとして、重要な役割を担っています。
ですが、AIブームが起きる前までは、そこまで注目されるようなものではなかったと思っています。
PCにそう詳しくない方にとっては、「GPUってなに?」っていう位の認識ではないでしょうか。
そこで今回は
・GPUとは一体何なのか?
・何に使われているのか?
・AIとどう関係があるのか?
のあたりをテーマに、GPUに関する事を記事にしてみたく思います。
GPUとは?
GPUは「Graphics Processing Unit」の略で、PCやスマホ等で映像や滑らかなグラフィックスを描画するために生まれたパーツです。
AIで使われているのは勿論ですが、その他の分野でも幅広く活躍しています。以下に事例を幾つか挙げてみます。
ゲーム
2Dや3Dのグラフィックスを高速、かつ、滑らかに表示したり、影や光の表現をリアルタイムで計算(レイトレーシング)したりする役割を担っています。
代表的な用途の1つと言えるでしょう。
動画編集
最近のPCは性能も向上してきているので、GPUが無くても行えますが、快適に編集したかったり、映像効果を付けたり、動画のエンコードを行いたいなど、高度な動画編集を行う場合には欠かせないものです。
3DCG制作
3DCG制作の現場でも、動画のレンダリングや特殊効果の計算を高速化するのにGPUが使われています。
例えば映画などでCGを制作する際には、膨大なフレーム数を短時間で処理する必要があります。
GPU無しで作業するのは非現実的、と言える程重要です。
CAD
家などの建築物の設計図や製図の作成に使われるCADのソフトでもGPUを活用しています。
複雑な3Dモデルを回転させたり、リアルタイムで素材や光の反射を確認する場合、大量の計算が必要です。
様々な分野でのシミュレーション
天文学や気候などの分野で計算処理に使用するのに使われています。大量のデータを高速で処理する必要があるため、純粋な計算能力の高さが求められます。
CPUとの違い
PCやスマホ等のパーツにはCPU(Central Processing Unit)があります。
GPUでなくでも、CPUでも画像の処理を行うことは可能ですが、違いがあります。
コアの違いとかを挙げだすとハードウェアの深い内容に入ってしまう為、簡素に申し上げさせて頂きますと、専門家かそうでないかの違い、と、処理の仕方の違いがあります。
GPUは画像処理に特化した専門家と言えます。
CPUでも処理を行う事自体はできなくはありませんが、(言葉悪いかもですが)画像処理を扱うのは素人のようなものです。
例えば、プロ野球の経験が無い方が、現役のプロ野球選手の様に試合で活躍できるか?というと厳しいと言わざると得ない、その位の違いがある、とイメージ頂けば良いかと思います。
次に処理の仕方の違いですが、GPUは並列処理(同時に多数の処理)に長けています。
対してCPUですが、1つ1つ順番に処理していきます。
ある作業があったとして、1つずつ順番に処理していくのがCPU、大人数で一斉に処理するのがGPUです。
CPUがAIで利用されるのは?
AIが話題になりだした頃、ディープラーニング(深層学習)という言葉が出てきました。
ディープラーニングは、大量のデータを処理し、パターンを学習することで成立します。
この学習のプロセスは、数千万といった膨大な数の演算を繰り返す、非常に計算負荷の高い作業です。
この計算をCPUで行うとした場合、CPUは1つ1つ順番に処理するため、非常に膨大な時間がかかってしまいます。
ですが、GPUなら大量の演算を並列処理できるので、圧倒的に速く学習を進めることができます。
これがAIにGPUが利用される理由です。
GPUによる圧倒的な計算速度があったからこそ、いまのAIブームがあると言っても差支えないでしょう。
課題(品薄、価格、消費電力)
AIでの利用も含めGPUが重要な役割を担っているとお分かり頂けたと思いますが、課題もあります。
ここ数年のAIブームで、GPUが品薄になり、その影響で価格が急騰する現象が起きています。
特にAI学習用の高性能GPUは数百万円するものもあり、そう手が出せないケースも増えてきています。
また、GPUの性能向上に伴い、消費電力も増加しています。
消費電力の増加は、GPUの電力量の増加や発熱、電力の使用料金や、冷却するための設備投資などのコストの増加を招いており、データセンターを持つ企業の負担が大きくなっています。
GPUのこれから
課題も出てきていますが、GPUはAIだけでなく、様々な分野で使われています。
大量の並列処理を効率よく処理できるものとして、GPUは引き続き中心的な役割を担い続けるはずです。
表立って活躍するようなものではないですが、我々が見えないところでAIの進化を支え、未来を形作る重要なテクノロジーの1つです。
まとめ
AIで注目されたGPUは「縁の下の力持ち」のような存在と言えるでしょう。
GPU無くして、いまブームになっているAIは成立しません。
この記事を契機に、少しでもGPUに興味を持っていただけたら幸いです。
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