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  • 執筆者の写真株式会社ビジョンクリエイト

四カ国会議 第90号

つい最近、IT商材に関する中小企業経営者の集まりがありました。 六カ国会議という話題は有名ですが、その会議には四カ国の経営者が集まりました。 韓国、中国、オーストラリア、そして日本です。 一昔前までなら想像も出来ない程、世の中、特にアジアの国々との文化、経済、観光、果ては冠婚葬祭といった面まで、その「顕著な変化」には目を見張るものがあります。

我々のような中小零細企業まで、この大きな社会変化が押し寄せて来ているのです。 現代の経済環境の中で身近にはなかなか感じ取ることが出来なかった小規模企業の私達ですら、街を歩けば中国や韓国、或いは東南アジアの人々の会話を聞くことが多くなっています。 電車の中やホーム、或いは空港で、観光バスで、レストランで、コーヒーショップで、観光名所でといった具合です。 今年四月、上野公園へ出掛けた桜見物では、アジア系観光客が大勢来ていました。 あと何年もしない内にこんなシーンでも、日本人自体を見つけることが難しくなる位、アジア諸国の人達の存在が増えているのではないでしょうか?・・・

こんな当社にも、あと一ケ月前後で韓国から正社員が入社します。 日本在住の方ではなく本国からの入社です。 日本語での会話レベルはまだまだなのですが、会話よりもやる気や頑張り、本気さがまるで違うのです。 これからは日本人社員だけでなく、優秀な社員を広く日本国以外から確保する時代もやがて本格化して行くのではないでしょうか?・・・ 日本人特有の問題もありますが、いつまでも他国とは違うとか、日本人には独特の価値観があるとか、そのような考え方はもう海外には通じにくいのではないでしょうか・・・

日本は確かに特殊な社会構造や価値観で成り立っているのかも知れません。 しかし、その価値観だけに頼っていると、ビジネスチャンスを見失ったり、国際的な疎外感を味わったり、働くことへの意識付けを見失ったり、頭でっかちの「働かざる労働者」になる危険性があるように思います。 現に、他人へ求めるばかりの若者達が多くなって、単純で変化が少ない、単価も安い仕事に目を向ける若者が少なくなったように思います。 そこには「求めることが当たり前」の社会観があるのではないでしょうか・・・ その証拠に、今年も6月で大卒の内々定が8割だそうです・・・ 同じ時代に2時間も行けば大卒就職率5割弱の国もあるのです。

私はもはや、韓国が中国がといった時代ではなく、21世紀は間違いなくアジア諸国の台頭が間違いなく顕著になり、アジア新時代と呼ばれるような「多国間コンソーシアム時代」を掲げても何らおかしくない時代ではないかと思うのです。 地球温暖化問題ですら、中国やインド、或いはブラジルなど顕著な発展途上国が対象にもなっていますが、既に随分前から西欧諸国や日本はエネルギー消費大国でもあります。

これからは国境や民族、或いは肌の色などは大した意味を持たないばかりか、「人間として尊敬に値するか否か」のアジア的思想や価値観が到来する社会になっても良いのではないでしょうか・・・ 物は確かに必要なのですが、それ以上に人間として何が正しいのかが問われる新時代にならなければ人類は滅亡への道を辿ることになるのではないでしょうか・・・

例えば、製造業ならば海外現地工場で生産に従事する人達を大々的に採用すると思います。労働集約的な安い工賃という魅力があると思うのです。また、日本の居酒屋では夜のバイトの多くはアジア系外の人達が働いています。 日本の若年達は安くて就業条件のキツイ仕事はやってはくれません。 事実、当社に入社予定の韓国人も日本の若者とは随分と違います。決して日本の若者がダメだとかそんな話をしているのではありません。 これからは日本人だろうが外国人だろうが、余り関係のない時代になると思うのです。

先ほど書きました会議でも韓国から3名、中国から3名、オーストラリアから1名、日本から数名の参加者で、時には英語で、時には中国語で、時には韓国語でといった内容でした。 日本語しか話せなくても根本的に支障はないのです。 何故なら、まずは人として信用出来る、信頼出来る人達かが先決だからです。 言葉は出来る人が通訳すれば何とか通じるからです。

その会議ではこんなことも感じました・・・ 確かに、言葉や国籍は重要なことであり、ビジネスで障害になることもあると思います。しかしながら、敢えて、それ以上に人間として五感や態度、或いは接し方で人柄を感じ取れるように思うのです。

つまり、私達のビジネスレベルはまだまだ幼くて人間味のある範疇だということです。大企業のビジネスではないからです。 結局は、酒も飲み、顔を観て、分からぬなりに一生懸命に話をして、その上でお互いの琴線に触れてみて、そして五感で人間として感じるものがあれば、それが共通語ではないかと思ったのです。 よく、韓国人はどうのこうのとか、中国人はどのこうのとか言う人達が大勢いますが、日本人にも良い人もいれば、悪い人もいるのです。 日本も海外も結局は同じではないのでしょうか・・・ 確かに、ある程度の違いが顕著にあるとは思いますが、それは歴史や食生活、土地や気候、環境の違い、四季の違いや資源や産業発展の違いなどから来る、当たり前のことであり、結局は「人間として何が正しいのか、何が悪いのか」ということに尽きると思うのです。

こう考えると、日本人は単一民族であり農耕民族でもあり、そして島国で他国との人的交流も限定された民族であり、大陸的な移動性の高い民族とは生き方(=環境への順応性)が根本的に異なっているのではないでしょうか・・・

例えば、梅雨は嫌な季節ですが、この季節がないと夏も来ないし草花も夏を乗り切れないのではないかと思います。 外国人からは嫌われる梅雨は、視点を変えると、文化や情緒のある季節だということでもあり、このこと事態が日本人の自然への付き合い方だと思うのです。 外国人の方には、ジトジトして過ごしにくい嫌なシーズンとして写るようです。

こんな自然への感じ方、捉え方は日本人独特の感性であり価値観でもあると思います。 何故こう違うのか私には分かりませんが、兎に角、自然と共に共生して来たのだと思います。 秋の虫の音を聞くなどといった風雅もそうです。 虫は虫でしかないのが外国人の感じ方だと思います。

こういった優れた感性を周辺の国々や人々との交流に活かせば、きっと日本人は上手に国際社会を生きることが出来ると思うのです。 特に、アジア諸国は道徳面や宗教面、或いは食文化でも似たような同じルーツから派生しているのではないでしょうか・・・ 本質的には西洋諸国よりも接しやすい類似した価値観が多いのではないでしょうか・・・

これからITビジネス面でのアジア諸国との交流が盛んになり、当然のように人的交流も盛んとなり、国同士とは異なり一味も二味も違った友情や信頼関係が築かれて行くと思います。 そんな流れが徐々にですが、私の会社にも起こり始めています。 キッカケは結局、「人」なのです。

人という字は支えあって出来ています。 一方が支えていなければ、片方は倒れてしまいます。 全くその通りで、支えあって人は生きているのだと思います。 自分ひとりの力ではなく、そこに集まる人達の大きな力で更に人が集まり、エネルギーが集積され、夢や努力や忍耐が出来るのではないでしょうか・・・

先月号で「さくらプロジェクト」を取り上げましたが、正にその通りです。 1000人の起業家とは随分と大きく出ましたが、自分一人ではとても実現は出来ません。 そこに人が集まり、その人達と一緒に頑張り続ければ、到底不可能に思えることでも実現出来ると確信します!

決して諦めないこと・・・この言葉が今月号の最後を飾る言葉です。 決して諦めないでやり続ければ、必ずや半歩や一歩は目標に近づきます! 決して諦めないのです!

その証拠に、この四カ国会議の輪が更に拡がれば、今よりも大きな友情やビジネスの輪になることは間違いないからです。 その積み重ねが力になり、友情になり、人生になって行くのではないでしょうか・・・

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