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本を捨てよ! 第87号

  • 2008年4月1日
  • 読了時間: 6分

更新日:2022年6月21日

今月のタイトルは私にしては、珍しく私らしくない題となりました。 全てが対象ではなく、無論、例外もあることを申し開きしておきます。 また、初めからそうだった訳ではなく、あることがキッカケでそうなったことも併せて申し開きしておきます。

皆さんもご自宅に本棚があって、本の量に差はあるとしても、整然と本が並んでいるか、棚一杯に詰め込めるだけ詰めて雑然と本が置いてあるか、まあ、大体いずれかの状態ではないでしょうか?・・・ 私もかつてはそんな一人でした・・・ 床から天井まである本棚に所狭しと、かつて読んだ本やこれから読もうとしている本が、所狭しと詰め込まれていました。 今は、全くといい程、その本棚に私の本は全くありません。 かつてはこれ見よがしに戦歴を誇った本棚にも今は、オモチャやブロックやDVDや貯金箱や携帯電話の充電器などで埋め尽くされている状況です。 その情景はまるで、かつて手入れのされた庭であったのに、今や雑草が生い茂るジャングルに化したも同然になっています。

何故、こんなことになったのかと言いますと、理由はいたって簡単なのです。 私が一日で禁煙できた理由や、その心情に近いものがあります。 それはある日、突然に起こりました・・・

ある休日。それは女房の一言から始まりました・・・ 「この本棚に詰まっている本、何とかならないの?」 「増えるばかりで、この狭いマンションじゃ他のものを置く場所すらない!・・・」 私はこう言われ、ムキになってこう反論しました。 「いつかまた読みたいと思っている本もあるし、折角、高いお金で買ったのだから勿体ないじゃないか!」と。 「それに、これだけの本を読んだという満足感もあるじゃないの?」

それに対し、女房殿は曰く 「全部が必要な本なの? 見栄で飾ってあるだけじゃないの?」 私は「・・・・・」 (正直、心の中で見栄もあるのは何が悪いんだと思っていました。これだけ読んだんだ。時間とお金をかけて・・・ それに、一冊買うと読みたい部分だけを読むことが出来ないケチで、全て頭から最後の著者紹介まで全て読まないと勿体無いと思う性格でした)

「本を引き取ってくれるチェーン店があるから、要らない本は今日、持って行きましょうよ?!・・・」 「エッ???」、「今日?~」 「そう、今日!」

確かに新しい本を置くべき場所もなくなりつつあったので、思い切って捨ててみようと思いました。 絶対に、これだけはもう一度読むと判断できる以外は、その店で高く買い取って貰い、そのお金で新しい本も買えるなと密かに期待もしたのでした。 「分かった。そうしよう。捨てられる本は思い切って売ろう!」

そして、片っ端から片付け始めました。 片付けた本はビニール性の紐で何重にも巻いて整理しました。 何十冊あったでしょうか? 優に百冊ところか二百冊、三百冊はあったと思います。 手元に残した本は30冊程度となりました。 今、それらの本は押入れの最上段に収納されています。

ここからなのです。 私にとってカルチャーショックだったのは・・・

車のトランクに積んで、そのチェーン店に我が家全員は着きました。 そして、何回か車を停めた場所と往復して、私はカウンター近くにそれらの本を並べました。 「本を買い取ってくれると聞いたんですが・・・」 「ハイ、買い取らせていただきます。ただ、買い取らせていただける本とそうではない本がありますので、お調べしますのでお待ち下さいますか?」 「ハイ、待ちます・・・」 直ぐに終るような作業ではない様子だったので、私は店内の本棚を見て回っていました。 そして、暫くしてカウンターから呼ばれて戻ると、その店員さんが驚愕することを言ったのです。 「引き取らせていただく本は全部で×××円です」 「ナ、何? 幾らだって?!」 「×××円となりますが・・・」 「それに、引き取り出来ないものはお持ち帰りとなりますが、こちらで処分させていただくことも出来ますが・・・ どうなさいますか?・・・」 「こんな重い本をわざわざ持ち帰るの? そっちで処分して貰えないの?」 「ハイ、かしこまりました」 私はこの間、買う時に幾らしたか分からない程、お金をかけた本が売る時にはたったの×××円!??? と思ってばかりでした・・・ 本の値打ちって本当はこうだったんだ。今まで後生大事に本棚に飾ってあったのは一体何だったんだ??・・・」

そして、後日、売った私の本が気になって再度訪れてみると、何と、あの引き取ってくれなかった本までが売られていたのでした・・・ ショック! 大ショック!・・・・世の中とはこんなものなのか?!!

それからです。 私は本を捨てることに慣れたのは。 そればかりではありません。 読みたいところだけ読んで捨てることも出来るようになりました。 一見、捨てることはバチが当たるような気がしますが、本の値打ちとは本の価格そのものではなく、自分にとってその内容が自分の人生に活きるものか否かということが価値なのだと思うようになりました。 こうなると、自分にとって活かせないなと思う本は簡単に捨てられるようになりました。 本当に役に立つ、活きた本というものはそうそうあるものではありません。 知識として活きる本もあるでしょうが、私が求めているのは自分の生き方が変わる本なのです。 そんな良書には滅多に出会えません。 大抵は読んで、それなりに思う部分もありますが、暫くの間は印象に残っていますが、半年も経てば他の本に興味が移っており、ろくに内容も憶えていないのが実情です。 こんな訳で、いっそのこと、本自体も捨ててしまった方がきれいさっぱり、何一つ未練なく忘れることが出来ます。 それどころか、大事な本とはどんな本なのか、逆に良く分かるようになりました。 しかも、室内に本を飾っておくスペースが殆ど不要になります。 だから、私は本をよく捨てます。 最後まで読んだ本もあれば、数十ページしか読まないで捨てる本もあります。 勿体ないのかも知れませんが、中身が自分に役立たない限り、本当に勿体無いとは言い難いのも事実だと思います。

こんなことを書きながら、1月にソウルに出かけた折、向こうの人達と飲食を共にした時のことを思い出しました。 日本では食べ物を残すと勿体ないと思われるのですが、向こうでは平らげると足りないと思われ、お代わりが来ます。 つまり、残すことの方が満足してこれ以上食べられないと思うのだそうです。 だから、食べた後は食べ残しだらけです・・・(失礼な表現ですが) どうも、日本の常識は必ずしも万能ではないようで、ところ変われば常識も文化的背景もあり全く異なるようです。 ここにも何か捨てることに通じる部分があります。

また、松下幸之助氏が経理関係の資料だったと思うのですが、各部門からそれらを集めさせ、ある部屋の中に何もしないで暫く放ったらかしにしていたそうです。 そうすると、仕事で困る部門が出て来て、返して欲しいと連絡が来たそうです。 そうすると幸之助さんは、それに対して素直にその資料を返してやったのだそうです。 そうして、一定期間の最後まで残った資料に対し、その部門へ今後一切、不要にすると指示したのそうです。 これも同じな話で、廃止してみて初めて必要な資料なのか、そうではないのかが分かったというです。

人は、生まれて来る時に何も持っては来ないし、死ぬ時もあの世に何も持っては行けません。この世のものは仮のものだと思うのです。 だから、ものやお金や欲望に執着してはならないのではないでしょうか・・・ 貴方の机の中に残してある資料も案外、不要なのではないでしょうか?・・・ 思い切って、今すぐ貴方の本棚にある本を捨ててみませんか?

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